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28.裏目
マジか!
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『でね、そこで彼女に貴方のアルバムを見せてあげたらしいんだけど……』
「はっ? 何でっ!?」
『それは柚子に直接聞きなさいよ。私がしたわけじゃないんだから』
幼い頃のアルバムなんて、ハッキリ言って恥のオンパレードだ。姉二人に女装させられているものもやたらあるし、とにかく『いつ撮ったんだ!?』と問いたくなるような無防備な隠し撮り系――伯父によると自然体の大葉らしいが――ばかりなのだ。
両親や伯父、それに姉たちは可愛いと褒めそやすけれど、大葉にとってみれば、全部処分して欲しいくらい恥ずかしい。
(俺のアルバムだけ異様に多いのも気持ち悪いんだ)
七味や柚子のアルバムも自分と同じぐらい何十冊も並んでいると言うのならまだしも、何故か自分のものだけ異常に多いことも、大葉を余計に弱らせている。
せめて厳選して三冊ぐらいにまとめてくれと何度家族へ願い出たことか。その度に伯父と母の壮絶な拒絶に遭って、願いが叶えられないまま現在に至る。
大葉は実家へ出向いた折、何度かこっそりアルバムを数冊抜いて持ち帰ったことがある。だが次に実家へ行くと、恐ろしいことに元通り欠番が補充されていているのだ。恐らくは、伯父がネガから焼き増しして、失くなったアルバムを補填してしまうのだろう。
実際に見たわけではないが、伯父の家には母が作ったアルバムに対応する形でネガが仕舞い込まれているとしか思えなくて、その執着ぶりにゾワリとしたものだ。きっとあの超絶妹溺愛兄貴な伯父のことだ。母に頼られたのが嬉しくて、ホクホクで焼き増したに違いない。
それを羽理に見られたと思うと、溜め息しか出ないではないか。
***
『――でね、二人でアルバム見てたら恵介伯父さんの話になったみたいで……』
「ああ……」
そんな大葉のてんやわんやな心情などお構いなしに七味が言葉を続ける。
実際大葉自身、柚子が羽理にアルバムを見せたという話を聞いた時点で、何となくそうなっているんじゃなかろうかと予測はついていた。だが、ハッキリと言葉にされるとくるものがあるなと思って……。
「なぁ、それってやっぱ……恵介伯父さんが土恵の社長だってこと――」
『柚子が何の気なしにバラしちゃったみたい』
口止めしていたわけではない。話の流れからそうなっても不思議じゃないよな、と頭を抱えたくなった大葉だったのだが、そこで怒り出す前の羽理から問い掛けられた文言を思い出して、ハッとした。確か羽理は、自分が今日〝社長に何を話しに行ったのか〟を知りたがってやしなかったか?
「あー、くそっ! マジか……!」
まさか自分が社長の身内だと羽理に知られているだなんて露ほども思っていなかったから、見合いのことは敢えて伝えなくてもいいと思っていた。だけど……社長が自分の伯父だと知られていたというなら話は別だ。
「なぁ、羽理のやつ……ひょっとして俺に伯父さんから見合い話がきてたこと――」
『うん。柚子がうっかり話しちゃったみたいなの。ごめんねって貴方に伝えて欲しいって……さっきメッセがきたのよ』
「はっ? 何でっ!?」
『それは柚子に直接聞きなさいよ。私がしたわけじゃないんだから』
幼い頃のアルバムなんて、ハッキリ言って恥のオンパレードだ。姉二人に女装させられているものもやたらあるし、とにかく『いつ撮ったんだ!?』と問いたくなるような無防備な隠し撮り系――伯父によると自然体の大葉らしいが――ばかりなのだ。
両親や伯父、それに姉たちは可愛いと褒めそやすけれど、大葉にとってみれば、全部処分して欲しいくらい恥ずかしい。
(俺のアルバムだけ異様に多いのも気持ち悪いんだ)
七味や柚子のアルバムも自分と同じぐらい何十冊も並んでいると言うのならまだしも、何故か自分のものだけ異常に多いことも、大葉を余計に弱らせている。
せめて厳選して三冊ぐらいにまとめてくれと何度家族へ願い出たことか。その度に伯父と母の壮絶な拒絶に遭って、願いが叶えられないまま現在に至る。
大葉は実家へ出向いた折、何度かこっそりアルバムを数冊抜いて持ち帰ったことがある。だが次に実家へ行くと、恐ろしいことに元通り欠番が補充されていているのだ。恐らくは、伯父がネガから焼き増しして、失くなったアルバムを補填してしまうのだろう。
実際に見たわけではないが、伯父の家には母が作ったアルバムに対応する形でネガが仕舞い込まれているとしか思えなくて、その執着ぶりにゾワリとしたものだ。きっとあの超絶妹溺愛兄貴な伯父のことだ。母に頼られたのが嬉しくて、ホクホクで焼き増したに違いない。
それを羽理に見られたと思うと、溜め息しか出ないではないか。
***
『――でね、二人でアルバム見てたら恵介伯父さんの話になったみたいで……』
「ああ……」
そんな大葉のてんやわんやな心情などお構いなしに七味が言葉を続ける。
実際大葉自身、柚子が羽理にアルバムを見せたという話を聞いた時点で、何となくそうなっているんじゃなかろうかと予測はついていた。だが、ハッキリと言葉にされるとくるものがあるなと思って……。
「なぁ、それってやっぱ……恵介伯父さんが土恵の社長だってこと――」
『柚子が何の気なしにバラしちゃったみたい』
口止めしていたわけではない。話の流れからそうなっても不思議じゃないよな、と頭を抱えたくなった大葉だったのだが、そこで怒り出す前の羽理から問い掛けられた文言を思い出して、ハッとした。確か羽理は、自分が今日〝社長に何を話しに行ったのか〟を知りたがってやしなかったか?
「あー、くそっ! マジか……!」
まさか自分が社長の身内だと羽理に知られているだなんて露ほども思っていなかったから、見合いのことは敢えて伝えなくてもいいと思っていた。だけど……社長が自分の伯父だと知られていたというなら話は別だ。
「なぁ、羽理のやつ……ひょっとして俺に伯父さんから見合い話がきてたこと――」
『うん。柚子がうっかり話しちゃったみたいなの。ごめんねって貴方に伝えて欲しいって……さっきメッセがきたのよ』
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