181 / 313
27.実家とアルバムと、可愛いアレコレ
困った伯父さん
しおりを挟む
「それにしても……やっぱりたいちゃんのだけ異常に多いよねー?」
柚子がそう問いかけてくるから、羽理は『柚子お姉さま、やっぱりご自分の写真が少ないの、気にしておられるのかな?』と思って、恐る恐る「はい」と答えた。
「実は私たちの写真を撮ってくれたのって、殆んどが母方の伯父なんだけどね、その伯父さんが妹――つまりは私たちの母親を溺愛してて……。たいちゃんは母親似だから無意識にシャッターを切りまくっちゃったんだと思うの」
すぐさま「ホント、困った伯父さんなのよー」と付け加えて苦笑する柚子に、羽理が何気なく「伯父さまが……」とつぶやいたら、「そうなの。ほら、うちの両親商社勤めだからね、出張が多くて家を空けがちだったの。それで小さい頃は自営業を営んでる伯父さんが沢山面倒を見てくれたのよ」と柚子が補足説明をしてくれる。
自営業……ということはその伯父様が畑を手伝っていらっしゃるということかしら? と思った羽理だったのだけれど、さっき後継者がいなくて土恵商事が見ていると言っていなかったかな? と思い出して、すぐさま小首を傾げた。
「伯父さんってば、いっつもカメラを構える側だったから……沢山一緒にいた割に、ほとんど写真に写ってないの」
小さく吐息を落としながら、「えっと……確かこの辺に……」とつぶやいた柚子が「あ。この人! この人がその、うちの母とたいちゃんをエコ贔屓しまくりの困ったちゃんな恵介伯父さんよ? 羽理ちゃんも知ってる人じゃない?」と一葉の写真を指さした。
そこには一歳くらいの大葉を膝に抱っこして、嬉しそうに目尻を細めた一人の男性が写っていた。
写真の中のその人からは、自分たちにカメラを向けた相手が愛しくて堪らないのだという想いが、画面一杯に溢れていて、羽理はちょっぴり圧倒されてしまう。
「これは母が撮ったらしいのね。伯父さんがバカみたいにデレてるのはそのせい」
柚子の言葉を聞きながら、羽理はそのデレていると評された人物をよーく見て、「えっ? うそ。しゃ、ちょ……!?」とこぼさずにはいられなかった。
だってどう見てもその人は――年齢こそかなりお若いし、表情が緩みまくっていてちょっと分かりづらいけれど――、羽理が勤める会社の代表取締役社長・土井恵介に他ならなかったのだ。
柚子がそう問いかけてくるから、羽理は『柚子お姉さま、やっぱりご自分の写真が少ないの、気にしておられるのかな?』と思って、恐る恐る「はい」と答えた。
「実は私たちの写真を撮ってくれたのって、殆んどが母方の伯父なんだけどね、その伯父さんが妹――つまりは私たちの母親を溺愛してて……。たいちゃんは母親似だから無意識にシャッターを切りまくっちゃったんだと思うの」
すぐさま「ホント、困った伯父さんなのよー」と付け加えて苦笑する柚子に、羽理が何気なく「伯父さまが……」とつぶやいたら、「そうなの。ほら、うちの両親商社勤めだからね、出張が多くて家を空けがちだったの。それで小さい頃は自営業を営んでる伯父さんが沢山面倒を見てくれたのよ」と柚子が補足説明をしてくれる。
自営業……ということはその伯父様が畑を手伝っていらっしゃるということかしら? と思った羽理だったのだけれど、さっき後継者がいなくて土恵商事が見ていると言っていなかったかな? と思い出して、すぐさま小首を傾げた。
「伯父さんってば、いっつもカメラを構える側だったから……沢山一緒にいた割に、ほとんど写真に写ってないの」
小さく吐息を落としながら、「えっと……確かこの辺に……」とつぶやいた柚子が「あ。この人! この人がその、うちの母とたいちゃんをエコ贔屓しまくりの困ったちゃんな恵介伯父さんよ? 羽理ちゃんも知ってる人じゃない?」と一葉の写真を指さした。
そこには一歳くらいの大葉を膝に抱っこして、嬉しそうに目尻を細めた一人の男性が写っていた。
写真の中のその人からは、自分たちにカメラを向けた相手が愛しくて堪らないのだという想いが、画面一杯に溢れていて、羽理はちょっぴり圧倒されてしまう。
「これは母が撮ったらしいのね。伯父さんがバカみたいにデレてるのはそのせい」
柚子の言葉を聞きながら、羽理はそのデレていると評された人物をよーく見て、「えっ? うそ。しゃ、ちょ……!?」とこぼさずにはいられなかった。
だってどう見てもその人は――年齢こそかなりお若いし、表情が緩みまくっていてちょっと分かりづらいけれど――、羽理が勤める会社の代表取締役社長・土井恵介に他ならなかったのだ。
12
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
不倫するクズ夫の末路 ~日本で許されるあらゆる手段を用いて後悔させる。全力で謝ってくるがもう遅い~
ネコ
恋愛
結婚してもうじき10年というある日、夫に不倫が発覚した。
夫は不倫をあっさり認め、「裁判でも何でも好きにしろよ」と開き直る。
どうやらこの男、分かっていないようだ。
お金を払ったら許されるという浅はかな誤解。
それを正し、後悔させ、絶望させて、破滅させる必要がある。
私は法律・不動産・経営・その他、あらゆる知識を総動員して、夫を破滅に追い込む。
夫が徐々にやつれ、痩せ細り、医者から健康状態を心配されようと関係ない。
これは、一切の慈悲なく延々と夫をぶっ潰しにかかる女の物語。
最初は調子に乗って反撃を試みる夫も、最後には抵抗を諦める。
それでも私は攻撃の手を緩めず、周囲がドン引きしようと関係ない。
現代日本で不倫がどれほどの行為なのか、その身をもって思い知れ!
ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました
瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる