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27.実家とアルバムと、可愛いアレコレ
ドライブがてら
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「でね、あの子綺麗な顔してたから……小さい頃はよく私とななちゃんの服着せて髪の毛結んだりして遊んだのよぉ~。結んだトコにリボンとか付けたらホント可愛くてぇ♥」
「ななちゃんって……彼のもう一人のお姉さんですか?」
「そうそう。一番上の」
「えー、それは私も見てみたいです!」
「実家にアルバムがあったはずだから……今度写真撮ってこっそり羽理ちゃんの携帯に送ってあげようか?」
「わぁー。いいんですか? 楽しみですっ」
そんなわけで、羽理は柚子とメッセージアプリのID交換をした。
「あっ。たいちゃんには私と繋がったの、内緒ね?」
シーッと唇に人差し指をあてがってウィンクする柚子に、「はい、内緒です」と答えてクスクス笑っていたら、柚子がふと真顔になって言うのだ。
「ね、羽理ちゃん。今日は丸一日フリーでしょう? 携帯で送るより今からうちの実家に行って、現物見ない?」
「え?」
「ほら、今日はたいちゃん、下に車、置いてってるし、ちょっと拝借してブーン!ってドライブがてら」
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫よ。たいちゃんにとって柚子お姉さまの言葉は絶対だもの。『ちょっと羽理ちゃんとお出かけしたいから車借りるわね』ってメールしとけば問題ないわ」
そんなわけで、羽理は急遽大葉の生家――屋久蓑家へお邪魔することになった。
***
「で、最初の話に戻るんだがな」
「……大葉さんが荒木さんとのことをしばらくは社内で伏せることにした理由……ですか?」
「ああ……」
大葉は岳斗に、社長の土井恵介が、ゆくゆくは自分のことを『土恵商事』の社長に据えたいと考えている旨を明かした。
もちろん内々のことだから、大葉だって第三者にポンポンと打ち明けるべき話ではないということは心得ている。
だが、それを分かった上で……敢えて岳斗にはちゃんと話しておこうと決意したのだ。
さっき、大葉が岳斗のことを信じると言った言葉に嘘はない。
「岳斗、お前は俺と社長が血縁関係にあることを知っている。だから話したんだ」
そう前置きをして、大葉は小さく吐息を落とす。
「社長は……俺がそう言う立場にあることで、羽理が他の社員らから妬みの対象になるんじゃないかと懸念しているみたいでな、羽理とのことを公表するのは待つようにって言われた」
「でも……大葉さん、それじゃあ二人の気持ちは……」
「俺たちの気持ちはもちろん大事だ。けど……かつての自分のようになってもいいのか?って聞かれちまったら……さすがにちょっと考えるだろ?」
恵介伯父の言葉を思い出した大葉が思わず自嘲気味に吐息を落としたのを見て、その原因を作っていた岳斗は罪悪感に駆られたらしい。
「ななちゃんって……彼のもう一人のお姉さんですか?」
「そうそう。一番上の」
「えー、それは私も見てみたいです!」
「実家にアルバムがあったはずだから……今度写真撮ってこっそり羽理ちゃんの携帯に送ってあげようか?」
「わぁー。いいんですか? 楽しみですっ」
そんなわけで、羽理は柚子とメッセージアプリのID交換をした。
「あっ。たいちゃんには私と繋がったの、内緒ね?」
シーッと唇に人差し指をあてがってウィンクする柚子に、「はい、内緒です」と答えてクスクス笑っていたら、柚子がふと真顔になって言うのだ。
「ね、羽理ちゃん。今日は丸一日フリーでしょう? 携帯で送るより今からうちの実家に行って、現物見ない?」
「え?」
「ほら、今日はたいちゃん、下に車、置いてってるし、ちょっと拝借してブーン!ってドライブがてら」
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫よ。たいちゃんにとって柚子お姉さまの言葉は絶対だもの。『ちょっと羽理ちゃんとお出かけしたいから車借りるわね』ってメールしとけば問題ないわ」
そんなわけで、羽理は急遽大葉の生家――屋久蓑家へお邪魔することになった。
***
「で、最初の話に戻るんだがな」
「……大葉さんが荒木さんとのことをしばらくは社内で伏せることにした理由……ですか?」
「ああ……」
大葉は岳斗に、社長の土井恵介が、ゆくゆくは自分のことを『土恵商事』の社長に据えたいと考えている旨を明かした。
もちろん内々のことだから、大葉だって第三者にポンポンと打ち明けるべき話ではないということは心得ている。
だが、それを分かった上で……敢えて岳斗にはちゃんと話しておこうと決意したのだ。
さっき、大葉が岳斗のことを信じると言った言葉に嘘はない。
「岳斗、お前は俺と社長が血縁関係にあることを知っている。だから話したんだ」
そう前置きをして、大葉は小さく吐息を落とす。
「社長は……俺がそう言う立場にあることで、羽理が他の社員らから妬みの対象になるんじゃないかと懸念しているみたいでな、羽理とのことを公表するのは待つようにって言われた」
「でも……大葉さん、それじゃあ二人の気持ちは……」
「俺たちの気持ちはもちろん大事だ。けど……かつての自分のようになってもいいのか?って聞かれちまったら……さすがにちょっと考えるだろ?」
恵介伯父の言葉を思い出した大葉が思わず自嘲気味に吐息を落としたのを見て、その原因を作っていた岳斗は罪悪感に駆られたらしい。
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