【完結】【R18】あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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21.朝チュンではないけれど

赤裸々な告白

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「ひょ、ひょっとして……歩くの、辛い……の、か?」

 結局迷った末、大葉たいようは割と見たままの問いかけをしてしまって――。

 一瞬だけ瞳を大きく見開いた羽理うりから「な、何かっ、……まだ足の間に大葉たいようのが挟まってる感じがするんですよぅっ!」と、こちらからも包み隠さない感想を述べられてしまう。

 その余りに生々しい告白に、大葉たいようは卵液を入れたボールを持つ手元が狂ってしまった。

「わわっ」

 ぐらりと揺れたボールの端から、トローン……と卵液が一筋、床に流れ落ちて。
 大葉たいようは慌てて体勢を立て直すと、ボールをシステムキッチンのワークトップへ置いた。


 先の羽理からの赤裸々告白に、大葉たいようがどう返したらいいか戸惑いながら床の卵をティッシュで拭いていたら、羽理が恐る恐ると言った調子で声を掛けてくる。

「あ、あの……私っ。今日は……その……お、お仕事……お休みしでもいい、でしょう……か?」


***


 今日はどう考えてもマトモに歩けそうにない。
 股の辺りの違和感もさることながら、とにかく腰にきている。
 一歩一歩足を踏み出すたびにズキズキと腰が悲鳴を上げて、家の中を移動するだけでも一苦労だったのだ。

 羽理うりはギュウッと胸前で両手を握り締めて、大葉たいようの出方を待った。

 と――。

 大葉たいようが口を開くより先。
 しんと静まり返った部屋の中に、ブー、ブーッという振動音が微かに響いて。
 羽理はベッドわきで充電器に差しっぱなしにしていた携帯電話が鳴っているのだと気が付いた。

 メールならブブッと短く二回振動するだけだが、長く鳴り続けているところを見ると、どうやら音声通話着信のようで。

「ごめんなさい、大葉たいよう。電話が……」

 言って、寝室へ向かおうと身体の向きをほんのちょっぴり変えた羽理だったのだけれど。

「ひゃぅっ!」

 その途端、腰にズキン!と激痛が走って、思わず壁に手を付いて立ち止まった。

「大丈夫か!?」

 壁をこするようにしてズリズリとうずくまった羽理を見て、大葉たいようがすぐさま手を差し伸べてくれたのだけれど。
 羽理は鳴り続けている電話が気になって、そちらへ視線を流した。

「あの、大葉たいよう……申し訳ないんだけど私の電話を――」

 取って来て欲しい、と告げるまでもなく、大葉たいようはサッと立ち上がって寝室へ向かうと、「法忍ほうにんさんからだ。切れないうちに応答だけしといていいか?」と問い掛けてくる。
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