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19.僕じゃダメかな?
ライバル変更!?
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***
「……大葉?」
「んー? 着替えたか?」
上のパーカーはそのままに、長ズボンに履き替えてきた羽理を見て、大葉が満足げに微笑んだ。
だが、羽理は大葉とは対照的に困惑顔のまま。
「あ、あの……。今、倍相課長とすっごく、すっごく! くっ付いてなかったですか……?」
「あー、見られちまったか。ま、気にするな。羽理には内緒で男同士のイケナイ話をしてただけだから。――そうだよな? 倍相」
「はい。〝大葉さん〟と、ドキドキするような時間を共有していただけです」
どこか上気したような色っぽい顔で、岳斗が大葉をうっとりと見つめるから。
羽理は何だか余計にそわそわしてしまう。
(ちょっ、もしかしてコレ。『皆星』で連載中の、『あ~ん、課長っ♥ こんなところでそんなっ♥』のヒロインのライバル役を男性に置き換えなきゃいけないんじゃないの!?)
なんてことを思ってしまうような……そんな雰囲気なのだ。
(大葉にその気がなさそうなのがせめてもの救いだけど)
これで大葉にまでそんな雰囲気を醸し出されてしまったら、羽理の立つ瀬がない。
***
まさか羽理にBL展開を心配されているだなんてこれっぽちも思っていない大葉は、急に岳斗から「大葉さん」だなんて呼ばれて、ポーカーフェイスのまま実はゾワリと全身に鳥肌を立てていた。
(な、何なんだっ、いきなり!)
口裏を合わせてくれたのは有難いが、妙に親密な空気を醸し出されて――。
さっきまで羽理を挟んで火花バチバチだったはずなのに何事だ?と思わずにはいられない。
(俺が羽理にヤツの悪事をバラさなかったからか?)
ただ単に、大葉としては羽理が敬愛している上司さまのイメージを崩すのは忍びないと思っただけだったのだが。
信頼している倍相岳斗が、まさか自分を陥れるような嘘をついただなんて知ったら、羽理が傷付く。
それだけは何としても避けたかった。
(俺は羽理が悲しい思いをすんのは嫌なんだよ)
本当にただそれだけだったのだが――。
案外大葉は、目の前の男から弱みを握られたとでも思われて絶対服従の権利を得てしまったのかも知れない。
***
倍相岳斗は屋久蓑大葉が荒木羽理のために本気で怒る姿を見た瞬間、電撃が走るような衝撃を覚えた。
今まで自分に対してこんな風にあからさまに牙を剥いてきた相手はいなかったし、ましてやそれが全て愛しい彼女のためとか。
(かっこよすぎでしょう、屋久蓑大葉!)
今でも大葉が耳元で囁いてきたバリトンボイスが岳斗の脳内を侵食している。
「……大葉?」
「んー? 着替えたか?」
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「あ、あの……。今、倍相課長とすっごく、すっごく! くっ付いてなかったですか……?」
「あー、見られちまったか。ま、気にするな。羽理には内緒で男同士のイケナイ話をしてただけだから。――そうだよな? 倍相」
「はい。〝大葉さん〟と、ドキドキするような時間を共有していただけです」
どこか上気したような色っぽい顔で、岳斗が大葉をうっとりと見つめるから。
羽理は何だか余計にそわそわしてしまう。
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これで大葉にまでそんな雰囲気を醸し出されてしまったら、羽理の立つ瀬がない。
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信頼している倍相岳斗が、まさか自分を陥れるような嘘をついただなんて知ったら、羽理が傷付く。
それだけは何としても避けたかった。
(俺は羽理が悲しい思いをすんのは嫌なんだよ)
本当にただそれだけだったのだが――。
案外大葉は、目の前の男から弱みを握られたとでも思われて絶対服従の権利を得てしまったのかも知れない。
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今まで自分に対してこんな風にあからさまに牙を剥いてきた相手はいなかったし、ましてやそれが全て愛しい彼女のためとか。
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今でも大葉が耳元で囁いてきたバリトンボイスが岳斗の脳内を侵食している。
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