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12.苦しい言い訳
キミもうちの社の人間か?
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ちょっと荒木羽理から離れて買い物かごを取りに行っただけなのに。
屋久蓑大葉が、かごを片手に戻って来てみれば、見知らぬスーツ姿の男が羽理の前に立っていた。
ゆるふわな髪の毛をクラウドマッシュに仕上げたその男は、明るい印象のキャラメルブラウンの髪色をしていて、見るからにチャラい。
それで、即座に(ナンパか!?)と思ってしまった大葉だ。
何せ羽理は黙って立っていれば絶世の美女(←あくまでも大葉主観)。身長も小柄で、守ってやりたくなるような愛らしさも兼ね備えている。
ちょっぴり釣り気味の大きな瞳は、じっと見詰められると思わず戸惑ってしまうほどに蠱惑的だ。
(ま、口開いたら相当残念なんだがな……)
大葉はそのギャップがたまらなく好きなのだが、あの魅力が分かる人間は少数派だと思いたい。
大葉の視線の先、愛しの羽理が戸惑っている様子だったから。
大葉は大股で羽理の元へと急いだ。
と――。
「――ここで会えたのも何かの縁ですし、これから俺と一緒に食事でも……」
チャラチャラした雰囲気のスーツ男が、あろうことか羽理にそんなことを言っているのが耳に入って。
思わず手にしていたかごをヌッと二人の間に突き出して、「生憎だがコイツは俺の連れだ」と恋人宣言をしてしまった大葉だ。
なのに――。
「え? ――や、くみの……ぶちょ? ちょ、ちょっと待って? 何で先輩が部長と一緒にいるんっすかっ!?」
とか――。
(ん? 何やら俺を知ってるようだが俺はお前を知らん! キサマ、一体何者だ!?)
目を白黒させて自分と羽理を交互に見比べる若い男を見て、屋久蓑大葉がいの一番に思ったことはそれだった。
(俺のことを知ってて……なおかつ羽理のことを先輩呼ばわりするってことは……もしや会社の人間か?)
ややして、そう思い至った大葉だったが――。
すぐさま、(まぁ、けど……恐らくうちの部の人間じゃねぇな)と言う結論に達した。
そもそも自分のすぐひざ元にいた羽理のことすら――こんなに可愛いのに!(←重ね重ねしつこいようだが、あくまでも大葉主観)――眼中に入っていなかった大葉だ。
若い頃、目を惹く外見のせいで酷い目に遭ってきたのもあって、基本自分と関わりのない他者には線引きをして過ごしている大葉は、他部署の人間――しかも平社員などほぼ記憶に残していないに等しい。
だが眼前のチャラ男の、羽理との距離感が気に入らない!と言うことだけはハッキリと分かったから。
「……俺の名前を知っているということは――キミもうちの社の人間か?」
聞きたいことは山ほどあるが、とりあえず当たり障りのないところから、なるべく感情を抑えて問い掛けてみることにした。
(大体俺より背が高いと言うのも気に入らん!)
大葉は、一七六センチの自分よりほんの少し背の高い眼前のチャラ男に、どうしても好い印象が持てそうにない。
屋久蓑大葉が、かごを片手に戻って来てみれば、見知らぬスーツ姿の男が羽理の前に立っていた。
ゆるふわな髪の毛をクラウドマッシュに仕上げたその男は、明るい印象のキャラメルブラウンの髪色をしていて、見るからにチャラい。
それで、即座に(ナンパか!?)と思ってしまった大葉だ。
何せ羽理は黙って立っていれば絶世の美女(←あくまでも大葉主観)。身長も小柄で、守ってやりたくなるような愛らしさも兼ね備えている。
ちょっぴり釣り気味の大きな瞳は、じっと見詰められると思わず戸惑ってしまうほどに蠱惑的だ。
(ま、口開いたら相当残念なんだがな……)
大葉はそのギャップがたまらなく好きなのだが、あの魅力が分かる人間は少数派だと思いたい。
大葉の視線の先、愛しの羽理が戸惑っている様子だったから。
大葉は大股で羽理の元へと急いだ。
と――。
「――ここで会えたのも何かの縁ですし、これから俺と一緒に食事でも……」
チャラチャラした雰囲気のスーツ男が、あろうことか羽理にそんなことを言っているのが耳に入って。
思わず手にしていたかごをヌッと二人の間に突き出して、「生憎だがコイツは俺の連れだ」と恋人宣言をしてしまった大葉だ。
なのに――。
「え? ――や、くみの……ぶちょ? ちょ、ちょっと待って? 何で先輩が部長と一緒にいるんっすかっ!?」
とか――。
(ん? 何やら俺を知ってるようだが俺はお前を知らん! キサマ、一体何者だ!?)
目を白黒させて自分と羽理を交互に見比べる若い男を見て、屋久蓑大葉がいの一番に思ったことはそれだった。
(俺のことを知ってて……なおかつ羽理のことを先輩呼ばわりするってことは……もしや会社の人間か?)
ややして、そう思い至った大葉だったが――。
すぐさま、(まぁ、けど……恐らくうちの部の人間じゃねぇな)と言う結論に達した。
そもそも自分のすぐひざ元にいた羽理のことすら――こんなに可愛いのに!(←重ね重ねしつこいようだが、あくまでも大葉主観)――眼中に入っていなかった大葉だ。
若い頃、目を惹く外見のせいで酷い目に遭ってきたのもあって、基本自分と関わりのない他者には線引きをして過ごしている大葉は、他部署の人間――しかも平社員などほぼ記憶に残していないに等しい。
だが眼前のチャラ男の、羽理との距離感が気に入らない!と言うことだけはハッキリと分かったから。
「……俺の名前を知っているということは――キミもうちの社の人間か?」
聞きたいことは山ほどあるが、とりあえず当たり障りのないところから、なるべく感情を抑えて問い掛けてみることにした。
(大体俺より背が高いと言うのも気に入らん!)
大葉は、一七六センチの自分よりほんの少し背の高い眼前のチャラ男に、どうしても好い印象が持てそうにない。
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