上 下
30 / 311
7.今夜は泊まって行け

襲われたいのかっ

しおりを挟む
「ああああああっ! すまん! お、俺っ、べ、別に今のはわざとじゃ……。いや、確かに触ってみたいとはずっと思い続けていたけど……そ、それはこういうタイミングじゃなくもっとじっくりな感じなわけで! ……じゃなくっ。あああっ、何を言ってるんだ俺はっ‼︎ ――お、お願いしましゅ、パパを助けてくだちゃい……」

 突然のラッキースケベにテンパる余り心の声を駄々漏らした挙句、キュウリのことをいつも通り〝ウリちゃん〟と呼んで幼児語で話しかけてしまった大葉たいようだ。

「なっ、何れ部長ぶちょぉより真っきゃになっれ照れてりゅんれしゅかっ。しょれに……わらしはぶちょぉをパパに持った覚えなんれありましぇんよっ⁉︎ あっ。もしかしれ、そのパパは……パパかちゅのパパれしゅか!? わらし、そんなちゅもりもありましぇんからね⁉︎」

 羽理うりポカポカとグーパンチしてくるから、大葉たいようは(何でそうなるんだ!)と声にならない抗議の声を上げながら、たまらずその場へしゃがみ込んで「ウリちゃん……!」と足元に近付いてきたキュウリを抱きしめた。

 そんな感じ。

 股間が、まさかギンギンに反応していて痛いだなんて、今の羽理にバレていいはずがないではないか。

「ほ、ぇっ?」

 ギュッと縮こまって羽理うりの怒りと、下腹部の熱が去るのを待つ大葉たいように、酔っ払い娘が頭上から間の抜けた声を落としてくるから。

 その声に思わず羽理の方を見上げたら、彼女の薄い下生えに包まれた大事なところを仰ぎ見る羽目になって、大葉たいようはキュウリを抱きしめる腕に力を込めて慌てて視線を逸らした。

 だが、羽理はそんな大葉たいようの様子に気付いた風もなく、キョトンとしてキュウリを指さすと、「ひょっろしれ……しょの子も〝うり〟ちゃん?」と問いかけてくる。

 大葉たいようはキュウリを二の腕に抱き締めてうつむいたまま、コクコクとうなずいた。

 そうしてキュウリを片腕で支え直すと、足元へ落ちたままのバスタオルをバッと羽理の方へ突き出して、「どっ、どうでもいいからっ! さ、先にこれ、巻き直せ! 襲われたいのかっ」と吐き捨てる。

 羽理は大葉たいようの言葉にと自分の身体を見下ろして、次の瞬間今更のように「きゃぁぁぁーっ。何れもっろ早く言っれくれないんれしゅかぁ!」と叫んでタオルを手にその場にへたり込んだ。

 そのせいで、大葉たいようの視線が再び真正面から自分とかち合ってしまうことになるだなんて、思ってもいないんだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

処理中です...