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■『嵐の夜の誓い』/寄り道的短編
茫然自失のくるみ
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実篤が御庄の家まで防災ボートでくるみを助けに行った日。
大雨の中、高台に停めていた車にくるみと無事乗り込んだ実篤は、走れる道を選んで何とか由宇町の実家へ辿り着いた。
この家、くるみの家に移り住んでからは殆ど帰って来ていなかったけれど、バタバタしていてライフラインを止め損ねていたのが幸いして、電気も水も普通に使えたから。とりあえず風呂、と思って軽く風呂場を洗って湯張りスイッチを押した実篤だ。
二人とも泥水をかぶったり雨に濡れたりしてドロドロのびしょびしょだったので、シャワーを浴びながら風呂が溜まるのを待つことにした。
きっと、廊下がずぶ濡れのまま歩いた絡みで酷いことになっているだろうが、そんなの後でどうとでもなる。
くるみが大事そうに抱き締めていた彼女の両親の夫婦位牌と遺影をそっと手から抜き取って、「風呂入る間、お父さんとお母さんにはここにおってもらおうね?」と声を掛けて、くるみの目の前で脱衣所の棚の上へ載せた。
***
「くるみちゃん、大丈夫?」
余りに汚れていたので服のまま浴室まで入った二人は、熱いシャワーを着衣のまま浴びる。
ホッとしたからだろうか。
車に乗り込んでからこっち、ずっと放心状態に見えるくるみを(何とかしちゃげんと)と思った実篤は、とりあえずさっさと全裸になって。
置きっぱなしにしていたボディソープをガシガシ泡立てて超特急で自身の身体を清めた。
その間もくるみはシャワーに打たれながらぼんやりと突っ立っていて。
実篤はそれが気になって仕方がない。
「くるみ、服、脱がしてええ?」
わざと彼女が意識を向けてくれるように呼び捨てにしたら、ぼんやりしたままのくるみが実篤の方を見て、コクッと首肯してくれたから。
くるみの着ている服をそっと脱がしにかかった実篤だ。
くるみは実篤のなすがまま。
手を上げて、と耳打ちすれば素直に万歳をしてくれて、足を上げてとお願いすれば、実篤が苦労して下げたジーンズから足を抜いてくれる。
そのまま下着まで脱がしていいものか迷った実篤が「ねぇくるみ。俺が全部脱がしてもええん?」と問いかけたら、くるみが「はい」とか細く答えるから。
実篤は恐る恐るくるみの下着に手を掛けた。
ブラが難なく外せたのはいいとして、問題は下だと思っていたのだけれど。
幸いサイドが紐になっているショーツを身に着けてくれていたおかげで、くるみに足を上げてもらうことなく脱がすことができた。
くるみの冷え切った身体に熱いシャワーを掛けてやりながら、実篤はボディソープを手のひらで念入りに泡立てる。
いつもはくるみがスポンジを使って身体を洗っているのは知っていた実篤だったけれど、何となく今日は手のひらで労わるようにくるみの全身を包み込んであげたくて。
ほわほわに仕立てた泡を、そっとくるみの身体に載せては手のひらで優しく伸ばしていった。
大雨の中、高台に停めていた車にくるみと無事乗り込んだ実篤は、走れる道を選んで何とか由宇町の実家へ辿り着いた。
この家、くるみの家に移り住んでからは殆ど帰って来ていなかったけれど、バタバタしていてライフラインを止め損ねていたのが幸いして、電気も水も普通に使えたから。とりあえず風呂、と思って軽く風呂場を洗って湯張りスイッチを押した実篤だ。
二人とも泥水をかぶったり雨に濡れたりしてドロドロのびしょびしょだったので、シャワーを浴びながら風呂が溜まるのを待つことにした。
きっと、廊下がずぶ濡れのまま歩いた絡みで酷いことになっているだろうが、そんなの後でどうとでもなる。
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ホッとしたからだろうか。
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その間もくるみはシャワーに打たれながらぼんやりと突っ立っていて。
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「くるみ、服、脱がしてええ?」
わざと彼女が意識を向けてくれるように呼び捨てにしたら、ぼんやりしたままのくるみが実篤の方を見て、コクッと首肯してくれたから。
くるみの着ている服をそっと脱がしにかかった実篤だ。
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手を上げて、と耳打ちすれば素直に万歳をしてくれて、足を上げてとお願いすれば、実篤が苦労して下げたジーンズから足を抜いてくれる。
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いつもはくるみがスポンジを使って身体を洗っているのは知っていた実篤だったけれど、何となく今日は手のひらで労わるようにくるみの全身を包み込んであげたくて。
ほわほわに仕立てた泡を、そっとくるみの身体に載せては手のひらで優しく伸ばしていった。
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