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12-3.キミの大事なモノを守りたい
やまない雨
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***
くるみと実篤の家がある御庄地域には、錦川水系の二級河川、御庄川が流れている。
岩国一の山岳として知られる高照寺山を水源として北へと流れるこの川の途中には、治水ダムの御庄川ダム(五瀬ノ湖)があり、支流・古宿川を合わせて御庄橋付近で錦川へと注ぐ川だ。
錦川ほど滔々と水をたたえているわけではないけれど、雨が降ったりするとそれなりに増水する。
そんな御庄川沿いに軒を連ねているくるみの実家は、大雨に対して排水が間に合わなくなると内水氾濫が起こりやすい危険地域として、市が発行するハザードマップに載っていた。
店仕舞いと台風に備えた養生をして、さぁ帰ろうかと皆で外へ出たら、目の前の国道一八八号線がちょっとした川のようになっていて――。
水を跳ね飛ばしながらも車が走れているところを見ると、自動車が走れなくなると言う水深一〇センチの壁はまだ超えていないようだが、ぱっと見すでに三センチくらいにはなっていそうに見えた。
近くのグレーチングや側溝に水が入りきらずに深く溜まっているのを認めて、実篤は排水許容量を超えたな、と思う。
「雨、全然止む気配ないけど……大丈夫じゃろうか」
クリノ不動産がある麻里布町付近には大きな川はない。
そんな地域でさえこれ。
市内にいくつも流れている川に面した地域のことを思うと気が気ではない。
実際、我が家がある御庄地区だって例外じゃなかったから。
河川が氾濫したとかそういう情報は入っていないだろうかとふと心配になった実篤は、無意識にそうつぶやいていた。
今朝、くるみにはなるべく早く帰って家で待つように伝えたけれど、あの指示は間違ってはいなかっただろうかと不安になる。
実篤の言葉を受けて、さすがと言うべきか。
若い田岡がすぐさま携帯を操作して。
リアルタイムで利用者たちが近況をつぶやく『ツブヤイター』の画面を操作して、岩国市近郊の最新のツイートをチェックしてくれた。
しばし黙って画面を見詰めていた田岡が、「あのっ! 社長が今住んでおられるのって御庄でしたっけ!?」と慌てたような声を出す。
「うん、そうじゃけど」
言ったら、「大変です。何か川西の方やら柱野の方やら、大水が出て道が水に浸かっちょるって」と画面を見せてくれた。
田岡が見せてくれたスマートフォンの画面には、見慣れた川西の交差点近辺の、見たことのない光景が写っていて。
玖珂方面・錦帯橋方面・平田方面に続く三差路付近がどっぷりと泥水に沈んでいた。
付近に県立岩国高校があるため、そこの交差点には歩道橋が掛かっているのだが、その歩道橋の状況から判断するに軽く一メートルくらいは水没していそうで。
交差点全体が、まるで泥水をたたえた池のように見えた。
くるみと実篤の家がある御庄地域には、錦川水系の二級河川、御庄川が流れている。
岩国一の山岳として知られる高照寺山を水源として北へと流れるこの川の途中には、治水ダムの御庄川ダム(五瀬ノ湖)があり、支流・古宿川を合わせて御庄橋付近で錦川へと注ぐ川だ。
錦川ほど滔々と水をたたえているわけではないけれど、雨が降ったりするとそれなりに増水する。
そんな御庄川沿いに軒を連ねているくるみの実家は、大雨に対して排水が間に合わなくなると内水氾濫が起こりやすい危険地域として、市が発行するハザードマップに載っていた。
店仕舞いと台風に備えた養生をして、さぁ帰ろうかと皆で外へ出たら、目の前の国道一八八号線がちょっとした川のようになっていて――。
水を跳ね飛ばしながらも車が走れているところを見ると、自動車が走れなくなると言う水深一〇センチの壁はまだ超えていないようだが、ぱっと見すでに三センチくらいにはなっていそうに見えた。
近くのグレーチングや側溝に水が入りきらずに深く溜まっているのを認めて、実篤は排水許容量を超えたな、と思う。
「雨、全然止む気配ないけど……大丈夫じゃろうか」
クリノ不動産がある麻里布町付近には大きな川はない。
そんな地域でさえこれ。
市内にいくつも流れている川に面した地域のことを思うと気が気ではない。
実際、我が家がある御庄地区だって例外じゃなかったから。
河川が氾濫したとかそういう情報は入っていないだろうかとふと心配になった実篤は、無意識にそうつぶやいていた。
今朝、くるみにはなるべく早く帰って家で待つように伝えたけれど、あの指示は間違ってはいなかっただろうかと不安になる。
実篤の言葉を受けて、さすがと言うべきか。
若い田岡がすぐさま携帯を操作して。
リアルタイムで利用者たちが近況をつぶやく『ツブヤイター』の画面を操作して、岩国市近郊の最新のツイートをチェックしてくれた。
しばし黙って画面を見詰めていた田岡が、「あのっ! 社長が今住んでおられるのって御庄でしたっけ!?」と慌てたような声を出す。
「うん、そうじゃけど」
言ったら、「大変です。何か川西の方やら柱野の方やら、大水が出て道が水に浸かっちょるって」と画面を見せてくれた。
田岡が見せてくれたスマートフォンの画面には、見慣れた川西の交差点近辺の、見たことのない光景が写っていて。
玖珂方面・錦帯橋方面・平田方面に続く三差路付近がどっぷりと泥水に沈んでいた。
付近に県立岩国高校があるため、そこの交差点には歩道橋が掛かっているのだが、その歩道橋の状況から判断するに軽く一メートルくらいは水没していそうで。
交差点全体が、まるで泥水をたたえた池のように見えた。
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