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6-1.年末年始ハプニング①
あんまり会いとぉない人なん
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「くるみちゃん?」
その表情が何だかすっごく気になって、実篤は声を掛けずにはいられない。
「幹事の名前が引っ掛かっちょるん……」
ポツンと消え入りそうな声音でこぼされた言葉に、実篤は再度葉書に目を落として。
「鬼塚純平・新見義人・花田太一・井筒穂乃・和田美波……」
丁寧に全員振り仮名付きで記載されていたから、読み間違いはないはずだ。
五人の名前をズラリ読み上げた実篤に、くるみが「最初の人……」と吐息を落とす。
「鬼塚くん?」
聞いたらコクッと頷いて。
くるみちゃんの性格からしたらいじめられていたと言うこともないじゃろうし、そもそも名前からして異性じゃもんなぁと小首を傾げていたら、「あんまり会いとぉない人なん……」と、これまたくるみにしては聞き取りにくい小さな声がして。
実篤は、思わず「えっ?」と声を漏らした。
***
結局、「鬼塚くん」とやらが何者で、何故会いたくないのか聞けず終いになってしまった実篤だ。
というのも、それっきりくるみが口を閉ざしてしまって、それ以上聞けるような雰囲気ではなくなってしまったから。
くるみだって立派な成人女性だ。
二四年間も生きてくれば、何某かの柵があって、会いづらくなる人間の一人や二人、居たって何ら不思議ではない。
そう思った実篤は、くるみから話さないものを無理に聞き出すのはやめようとそれ以上追及しなかった。
それよりもせっかく二人で過ごせる貴重な夜なのだ。
話しやすい話題に切り替えて、楽しく盛り上がった方が絶対にいい。
***
「あー、俺、食い過ぎたかもしれん。腹パンパンじゃわぁ~」
「さすがに山盛り二杯も食べたらそうなりますよ。ホンマ食いしん坊なんじゃけぇ」
アルコールが入って、ほんのり頬を上気させてクスクス笑うくるみに、「だって美味かったんじゃもん」と唇を尖らせたら「ホンマ、実篤さん、可愛い♡」と頬をツンツンされた。
(うっわ、可愛いのはくるみちゃんじゃけぇ!)
そう思って思わず抱きしめようとしたら、スルリとかわされて、
「……あの、うち、ちょっとお手洗いに行ってきますね」
くるみがすっくと立ち上がった。
「あぁ、うん……。行ってらっしゃい」
ちょっぴり肩透かしを食らって、伸ばしかけた手を所在なく宙に浮かせたまま答えてしまった実篤だ。
二人で舞茸と鮭のレモンクリームパスタを作って、それに合わせるように半辛口の、レ・ヴァカンツェのスパークリングワインをグラスに二杯ずつ飲んだ。
それでだろうか。
くるみがトイレに立ったのは。
その表情が何だかすっごく気になって、実篤は声を掛けずにはいられない。
「幹事の名前が引っ掛かっちょるん……」
ポツンと消え入りそうな声音でこぼされた言葉に、実篤は再度葉書に目を落として。
「鬼塚純平・新見義人・花田太一・井筒穂乃・和田美波……」
丁寧に全員振り仮名付きで記載されていたから、読み間違いはないはずだ。
五人の名前をズラリ読み上げた実篤に、くるみが「最初の人……」と吐息を落とす。
「鬼塚くん?」
聞いたらコクッと頷いて。
くるみちゃんの性格からしたらいじめられていたと言うこともないじゃろうし、そもそも名前からして異性じゃもんなぁと小首を傾げていたら、「あんまり会いとぉない人なん……」と、これまたくるみにしては聞き取りにくい小さな声がして。
実篤は、思わず「えっ?」と声を漏らした。
***
結局、「鬼塚くん」とやらが何者で、何故会いたくないのか聞けず終いになってしまった実篤だ。
というのも、それっきりくるみが口を閉ざしてしまって、それ以上聞けるような雰囲気ではなくなってしまったから。
くるみだって立派な成人女性だ。
二四年間も生きてくれば、何某かの柵があって、会いづらくなる人間の一人や二人、居たって何ら不思議ではない。
そう思った実篤は、くるみから話さないものを無理に聞き出すのはやめようとそれ以上追及しなかった。
それよりもせっかく二人で過ごせる貴重な夜なのだ。
話しやすい話題に切り替えて、楽しく盛り上がった方が絶対にいい。
***
「あー、俺、食い過ぎたかもしれん。腹パンパンじゃわぁ~」
「さすがに山盛り二杯も食べたらそうなりますよ。ホンマ食いしん坊なんじゃけぇ」
アルコールが入って、ほんのり頬を上気させてクスクス笑うくるみに、「だって美味かったんじゃもん」と唇を尖らせたら「ホンマ、実篤さん、可愛い♡」と頬をツンツンされた。
(うっわ、可愛いのはくるみちゃんじゃけぇ!)
そう思って思わず抱きしめようとしたら、スルリとかわされて、
「……あの、うち、ちょっとお手洗いに行ってきますね」
くるみがすっくと立ち上がった。
「あぁ、うん……。行ってらっしゃい」
ちょっぴり肩透かしを食らって、伸ばしかけた手を所在なく宙に浮かせたまま答えてしまった実篤だ。
二人で舞茸と鮭のレモンクリームパスタを作って、それに合わせるように半辛口の、レ・ヴァカンツェのスパークリングワインをグラスに二杯ずつ飲んだ。
それでだろうか。
くるみがトイレに立ったのは。
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