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5-1.オオカミとウサギさん*

脱がしてみたら分かる…よ、な?

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(もしかして……これを脱がしてしもーたら、くるみちゃん、下に何も身につけていなかったり……?)

 別にゆくゆくは裸にしてしまうことを思えば、そんなこと気にする必要はないのだけれど、そこを気にしてしまうのが実篤さねあつという男だ。


「あ、あの、くるみちゃん……えっと、し、下着は……」

 なんてことを女の子に聞くのは不躾ぶしつけだと分かっていても、実篤さねあつは聞かずにはいられなかった。

「え、えっと……上はヌーブラなので……そ、その……これを下げてもすぐに胸が出たり……はない、です」

 さっき一緒に進めていこうと提案したのが功を奏したのだろうか。

 くるみが小さな声でそう答えてくれて。

 なのに実篤さねあつは(ヌーブラってなん!?)とさらに謎を深めてしまった。

 でも恥ずかしそうに答えてくれたくるみにそこの説明まで求めるのはあまりにも酷に思えて。

(ぬ、脱がしてみたら分かる……よ、な?)

 そう結論付けた実篤さねあつである。


***


 実篤さねあつが思い切ってくるみのバニーちゃん衣装に手を掛けたと同時。

 くるみが「あ、あのっ」と声を上げて。実篤さねあつは思わずビクッとなって手を跳ね上げた。

「ど、どうしたん?」

 ドキドキしながら聞いたら、「うち、お風呂……入ってないの思い出しましたっ。――入っちゃ……ダメ?」と、愛らしく実篤さねあつを見上げてくる。

 確かに実篤さねあつもまだじゃった、と気がついて。

 内心ホッとしたのと同時に「しばしお預けかぁ~」とも思ってガッカリしてしまった。


「えっと……ほいじゃあ、先にシャワー浴びる?」

 浴槽に今からお湯をはるとなると少し時間が掛かってしまう。

 さすがにそれはヤル気がしぼんできそうで避けたい!と思った実篤さねあつだ。

「お湯は後でためるけんさ、とりあえずお互いササッとシャワーで汚れだけ落とすっちゅーんでどうじゃろ?」

 俺は何を手の内を明かすみたいにペラペラ要らんことを話しちょるんじゃろうと思いながらも、何だか言わずにはいられなくて。

 くるみはそんなグダグダな実篤さねあつに「……はい」と小さくうなずいてくれた。


***


 実篤さねあつに一通りお風呂場の使い方を教えてもらったくるみは、実篤さねあつからいわゆる彼シャツというものを借りて。

 下着に関してはお泊まり想定で準備していたくるみだけど、パジャマは彼シャツを経験してみたくてわざと忘れて来たのだ。

「ごめんなさい、実篤さねあつさん、うち、うっかりしちょりました」

 な~んて言うのは真っ赤な嘘。

 歯ブラシもメイク落としもお化粧も、愛用のシャンプー&トリートメントのトラベルセットでさえも……。他は何もかもしっかり鞄に入れてあるのに、パジャマだけ忘れるわけがない。

 でも実篤さねあつは恋人を疑うことを知らないところがある男だから、くるみの小悪魔的策略にまんまと騙されてくれた。

「ええよ、ええよ。気にせんちょって? 俺の服で良ければいくらでも着てくれて構わんけん」

 むしろ嬉しいくらいじゃけぇ、とロングシャツやらTシャツやらトレーナーやらアレコレ出してくれて。

「どれでも好きなん持ってって?」

 とか。
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