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4-3.ハッピーハロウィン!―後編―

刺激が強過ぎる

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「きゃー、実篤さねあつさん、めっちゃ可愛いですっ!」

 くるみの黄色い声がして、ギュッとしがみつかれた。

 モフモフ越しでそんなくるみの体温が余り感じられないのは不幸中の幸いだったかもしれない。

 だって――。

「くっ、くるみちゃん、その格好っ」

 くるみが頭を動かすたび、実篤さねあつの鼻先を黒い耳がヒョコヒョコとくすぐってくる。


 黒のホルターネックのミニスカワンピースに、黒い艶々ストッキング。

 ワンピースは、胸元からウエストにかけて真ん中の部分だけ逆三角形に、キラキララメのシルバー異素材デザインになっていて、そこに黒い蝶ネクタイをトップに、黒の大きめなくるみボタンが三つ、縦に並んで縫い付けられていた。

 ウエストから下はチュチュのようなフィッシュテールのミニスカートになっていて、お尻は結構覆われている代わりに、前側はかなり短めで、太ももがめちゃくちゃしっかり見えてしまっている。

 ウエストの両サイドに黒い大きめなリボンが付いているのは、デザイン的なアクセントだろうか。

 手には黒いロンググローブをはめていて、先程から実篤さねあつの鼻先ををちょいちょいくすぐっているのは、カチューシャに取り付けられた黒いウサ耳だ。

 これは、メイド風バニーガールというやつだろうか?

 典型的な黒のボディスーツに手首だけフリルに編みタイツ。お尻に真ん丸ウサしっぽ、みたいな格好でないだけマシなのかもしれないけれど……実篤さねあつ的には「刺激が強過ぎる!」という意味では全く大差なかった。

「えへへっ。可愛いでしょう? 実篤さねあつさんのためだけの、メイドさんバニーガールですっ」

 クルッと実篤さねあつの前で回ってみせるくるみが可愛くて、思わずギュッと腕の中に閉じ込めてしまいたくなる。


 その衝動を、どうにかこうにかモフモフの爪付きグローブをグッと握り締めて耐えた実篤さねあつに、くるみが容赦なく追い討ちをかけてきた。


実篤さねあつさん、何でうちの方、見てくれんのん? 気に入らん?」

 不安そうに眉根を寄せるくるみに、別に連動しているわけではなかろうに、ウサ耳カチューシャがシュンと項垂うなだれてしまったような錯覚を覚えた実篤さねあつだ。


「い、いやっ。めちゃくちゃぶちくそ可愛い、です。かっ、可愛すぎて目のやり場に困っちょる、だけ、です」

「もぉ、実篤さねあつさんってば、何で敬語になっちょるん?」

 クスクス笑って、くるみが実篤さねあつのモフモフの手をギュッと握り締めてくる。


 そこで不意に真剣な顔になると、実篤さねあつの手を握る手指に力を込めてきた。
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