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4-3.ハッピーハロウィン!―後編―

今夜紳士でおられる自信が微塵もないんじゃけどっ

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(じょ、状況を整理せんとっ)

 何を今更、なことを考える、中途半端に変身した狼男が廊下にひとり。

 そもそもが、だ。
 酒を飲もうと言う時点でくるみはココに泊まる気満々なのではないか?と気がついてしまった。

(客用の布団はあるけど、あるけど、あるけどぉ~っ)

 部屋だって余り過ぎるぐらい余っているからどこにだって寝てもらえる。

 じゃけど布団を日に当ててない!とかどうでもいいことを思ってしまった。

 そのくらい、実篤さねあつは情けないぐらいにパニック中なのだ。

 ひとりになってアレコレ考えてからでないと、くるみとマトモに向き合えそうにない。

 なのに――。


実篤さねあつさん、うちも何か手伝えることないですか?」

 くるみはそんな実篤さねあつをひとりにしてくれる気はないらしい。

 背にしたままのふすまがススーッと開いて、くるみがひょこっと出てきてしまう。

「あっ、だっ、大丈夫じゃけっ。くっ、くるみちゃんはそのっ、てっ、テレビでも観よって?」

(お願い!)

 心の中でそう付け加えながら、慌ててくるみを回れ右させて応接間に押し戻したら、ふわりと彼女から甘いシャンプーの香りが漂ってきて。
 実篤さねあつはその香りにゾクッとしてしまった。

(マジで俺、今夜紳士でおられる自信が微塵もないんじゃけどっ)

 狼男はコスプレだけに留めたい!

 そんな実篤さねあつの苦悩など知らぬげにくるみが言う。

それじゃあほいじゃあうち、お部屋もぬくぅなってきたけん、コート脱いでええ?」

 こちらを振り返ってきたくるみが可愛くて、心臓が持ちそうにない。

「えっ? あっ。うん。もちろんっ」

(好きにしてっ?)

 心の中でそう付け加えた実篤さねあつは、くるみが言った「着替え」がイコール「上着で隠されているコスプレをお披露目すること」だと思い至らない程度にはテンパり中だ。

 生返事のようにそう答えたら、
実篤さねあつさん沢山えっとあれこれ考えんでええですけぇ、とりあえずうちが渡したん、全部身に付けて見せてくれるんを最優先してくださいね?」

 実篤さねあつが閉めかけたふすまをほんのちょっとだけ押し戻して、くるみが実篤さねあつを見上げてくる。
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