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4-2.ハッピーハロウィン!―中編―

くるみちゃんも若いわぁ!

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***


「何でこれ、クリップしか付いちょらんのんじゃろ?」

 車に乗り込んで、堀さんの車の後を付いて行きながら、実篤さねあつがそうつぶやいたら、くるみも同じことを思っていたようで、

「ホンマ、ホンマ。胸ポケットのある服ばかりじゃないのに、本気で付けさせる気、あるんですかねぇ」

 と苦笑する。

 ビジターパス、安全ピンでも付いていればどんな服であろうと学生時代の名札よろしく取り付けやすいのに、なぜか小さなクリップしか付いていないのだ。

 服の布地をギュッとつまんで噛ませてぶら下げてはみたものの、非効率的だなと思ったふたりだ。

「変なの!」

 ふたり声がそろってしまって、顔を見合わせてクスクス笑って。

 実篤さねあつは、くるみと一緒にいると、こういう他愛もないことがとても幸せな時間に思えて楽しい。

 ひとつのことに、くるみとふたり共感出来るのが凄く凄く嬉しかった。

実篤さねあつさんとうち、結構価値観似ちょるけん、ホンマ一緒におって心地ええです」

 くるみもそう思ってくれていると知ることが出来た実篤さねあつは、「俺も……」と照れ隠しにごくごく短く答えながら、その実、ひとり胸の中で「よっしゃー!」とガッツポーズをした。



***


 基地ベースの中ではくるみと実篤さねあつは年子の男の子ばかりの小学生組三人の後をついて歩くのが主な仕事だった。

 堀夫妻は園児の娘さんと、双子の男の子ふたりを見ていて。

 小さい子らを任されたら確かにどうしていいか分からなかったかも知れん。大きい子組の方でよかった!と思った実篤さねあつだったけれど。

 じゃあ大きい子たちが安泰だったかというとそうでもなかった。



「あー! ちょっと待って! ちょっと待って! 勝手に走って行かんちょいて~!」

「あああ! 何で三つに分かれるん! みんな一緒にっ!」

 小学生組をお願いします、と堀夫妻に言われたとき、年の離れた弟や妹がそのくらいの頃、子犬のようにクルクル動き回る彼らを追いかけ回していたのを思い出して「いけるじゃろ」と思った実篤さねあつだったのだが――。

(あの頃は俺も若かったんじゃったぁぁぁ!)

 と心の中で嘆きの悲鳴を上げる羽目になった。


 ぜぇぜぇ言いながら子供たちに翻弄ほんろうされまくり、振り回されまくりの実篤さねあつを、くるみが嬉しそうにコロコロ笑いながら追いかけて。

(くるみちゃんも若いわぁっ!)

 自分と同じように走り回っているはずなのに涼しい顔をしているくるみを見て、改めて年の差を実感させられた実篤さねあつだった。

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