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■しあわせのカタチ(祝・完結の書き下ろし)
本文+あとがき
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「結葉。たまにはゆっくり風呂入ってこいよ。琳は俺が寝かしつけといてやっから」
想が、もうじき二歳になる一人息子の琳をよいしょと抱き上げたら、父親の腕の中。
想によく似た三白眼に、結葉譲りのくっきり二重の幼子が、父親の言葉尻を捉えてたどたどしく「やっかりゃ!」と繰り返した。
小さいのに何でもかんでも父親を真似たがる琳は、片言の合間合間にまるで想のような口ぶりを混ぜてくる。
それがちょっぴり悩みの種だったりする結葉だ。
「琳くん、お口が悪いですよ?」
自分を気遣ってくれる想に、「想ちゃん有難う」と礼を言いながら、彼に抱かれてちょっぴり結葉を見下ろす位置にいる息子にメッ!と怖い顔をしてみせると、琳がすぐさまペコリと頭を下げてごめんなさいをする。
それが可愛くて、思わず背伸びしてヨシヨシと琳の頭を撫でたら、想が堪らないみたいに空いた方の手で結葉の腰を抱いて、妻を腕の中に引き寄せた。
「想ちゃっ⁉︎」
その瞬間、二人にサンドイッチされる形になった琳が、嬉しそうにキャッキャと笑い声をあげて。
結葉は照れながらも、想の腕の中、ささやかな幸せを噛み締めた。
*
元々お兄ちゃん気質が板についている想は、我が子に対してもとても子煩悩な父親で。
琳が生まれてすぐから、出産で弱った結葉を気遣っては率先して子供の面倒を見てくれた。
琳は新生児の頃から本当に寝ない子で、結葉は授乳しながらついつい寝落ちしてしまうのだけれど、すぐに琳の泣き声で起こされて、朝も昼も夜も三〇分以上まとめて眠ることが出来ない日々が続いた。
息子を産んだ直後からたくさんたくさんおっぱいの出た結葉は、ミルクを足す必要もなく、完全母乳で琳を育ててきたのだけれど、だからと言って琳はおっぱいしか吸えないという子でもなかった。
それはひとえに想が、琳が産院から戻ってすぐから、結葉があらかじめ搾乳してストックしていた母乳を哺乳瓶で与えて人工乳首に慣らしてくれていたからに他ならない。
想は出産を機に仕事を辞めた結葉と違って、日中は普通に山波建設で働いていたのだけれど、そんなことお構いなしに睡眠時間を削って結葉を気遣ってくれて。
「〇時から三時までは俺が見てるから、結葉はしっかり休め」
睡眠不足で目の下に隈ができた結葉を見兼ねて、毎晩別室に息子を連れて行って、結葉に数時間のまとまった睡眠をくれた。
それが、当時の結葉にとって、どれだけ有難かったか。
あの時、想が率先して助けてくれなかったら、結葉はきっと倒れてしまっていただろう。
そんな想は、結葉にも甘々だけど、息子の琳にもデロッデロに甘い。
結葉は、想が自分を見つめる時とは違う、琳に向けた父親としての慈愛に満ちた眼差しの柔らかさが大好きだった。
***
想が買ってきてくれた、良い香りのする入浴剤を入れた湯船にゆっくり浸かって幸せな気持ちでお風呂から出てきたら、家の中がしんと静まり返っていて――。
「想ちゃん? 琳くん?」
恐る恐る寝室を覗いてみたら、ベッドサイドに灯された仄かな明かりの中、想と琳が重なり合うようにくっ付いて眠っていた。
右腕を伸ばした想の腕の真下に埋もれるように頭を置いた琳が、何故か父親と同じように右腕を伸ばした真おんなじのポーズで眠っているのが、何だかとっても微笑ましく思えた結葉だ。
(そっくり)
クスクス笑いながらそんな二人を写真に収めて。
(想ちゃんには内緒♥)
そんなことを思って、琳を挟むようにそっとベッドへ潜り込んだ。
*
翌朝結葉と琳より少し早く目覚めた想が、キューッと手足を縮こめて全く同じポーズで眠る妻と息子の寝姿を見て、「くっそ可愛いな」とつぶやいて、写真を撮って一人悶えたのは結葉には内緒の話。
END(2022/07/02)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
【あとがき】
子供と三人で暮らすようになった山波一家の、何ということのないひとこまを抜き取ってみました。
想と結葉の子供は男の子で、名前は山波琳。
実は『こんまち』。
偉央以外のメインキャラ二人の名前の中には、調味料が潜んでいました。
◆御庄結葉=み「しょうゆ」いは=醤油
◆山波想=やまな「みそ」う=味噌
結葉は想と結婚して醤油ではなくなりましたが、代わりに息子を参入させました(笑)。
◆山波琳=やまな「みりん」=味醂
私、結構キャラの名前に変な縛りを作るのが好きで、焼酎の銘柄で苗字を縛ったり(オト温)、歴史に名を残した人の名前で苗字(や名前)を縛ったり(コノカレ)、ある童謡の中に出てくる歌詞を連想させる名前を苗字に持ってきてみたり(チョココロネ)。
はい。
苗字を考えるのが苦手だから変な縛りを設けて名付けを助けてもらおうとしています(笑)。
そんなことを本編のあとがきで書こうと思っていたんですが、書き忘れたのでこちらで(笑)。
因みに水面下で書いている新作もそんな縛りを設けてキャラ達を名付けた(野菜縛り)ので変な名前になってます(笑)。
えへへ♥
鷹槻うなの
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
想が、もうじき二歳になる一人息子の琳をよいしょと抱き上げたら、父親の腕の中。
想によく似た三白眼に、結葉譲りのくっきり二重の幼子が、父親の言葉尻を捉えてたどたどしく「やっかりゃ!」と繰り返した。
小さいのに何でもかんでも父親を真似たがる琳は、片言の合間合間にまるで想のような口ぶりを混ぜてくる。
それがちょっぴり悩みの種だったりする結葉だ。
「琳くん、お口が悪いですよ?」
自分を気遣ってくれる想に、「想ちゃん有難う」と礼を言いながら、彼に抱かれてちょっぴり結葉を見下ろす位置にいる息子にメッ!と怖い顔をしてみせると、琳がすぐさまペコリと頭を下げてごめんなさいをする。
それが可愛くて、思わず背伸びしてヨシヨシと琳の頭を撫でたら、想が堪らないみたいに空いた方の手で結葉の腰を抱いて、妻を腕の中に引き寄せた。
「想ちゃっ⁉︎」
その瞬間、二人にサンドイッチされる形になった琳が、嬉しそうにキャッキャと笑い声をあげて。
結葉は照れながらも、想の腕の中、ささやかな幸せを噛み締めた。
*
元々お兄ちゃん気質が板についている想は、我が子に対してもとても子煩悩な父親で。
琳が生まれてすぐから、出産で弱った結葉を気遣っては率先して子供の面倒を見てくれた。
琳は新生児の頃から本当に寝ない子で、結葉は授乳しながらついつい寝落ちしてしまうのだけれど、すぐに琳の泣き声で起こされて、朝も昼も夜も三〇分以上まとめて眠ることが出来ない日々が続いた。
息子を産んだ直後からたくさんたくさんおっぱいの出た結葉は、ミルクを足す必要もなく、完全母乳で琳を育ててきたのだけれど、だからと言って琳はおっぱいしか吸えないという子でもなかった。
それはひとえに想が、琳が産院から戻ってすぐから、結葉があらかじめ搾乳してストックしていた母乳を哺乳瓶で与えて人工乳首に慣らしてくれていたからに他ならない。
想は出産を機に仕事を辞めた結葉と違って、日中は普通に山波建設で働いていたのだけれど、そんなことお構いなしに睡眠時間を削って結葉を気遣ってくれて。
「〇時から三時までは俺が見てるから、結葉はしっかり休め」
睡眠不足で目の下に隈ができた結葉を見兼ねて、毎晩別室に息子を連れて行って、結葉に数時間のまとまった睡眠をくれた。
それが、当時の結葉にとって、どれだけ有難かったか。
あの時、想が率先して助けてくれなかったら、結葉はきっと倒れてしまっていただろう。
そんな想は、結葉にも甘々だけど、息子の琳にもデロッデロに甘い。
結葉は、想が自分を見つめる時とは違う、琳に向けた父親としての慈愛に満ちた眼差しの柔らかさが大好きだった。
***
想が買ってきてくれた、良い香りのする入浴剤を入れた湯船にゆっくり浸かって幸せな気持ちでお風呂から出てきたら、家の中がしんと静まり返っていて――。
「想ちゃん? 琳くん?」
恐る恐る寝室を覗いてみたら、ベッドサイドに灯された仄かな明かりの中、想と琳が重なり合うようにくっ付いて眠っていた。
右腕を伸ばした想の腕の真下に埋もれるように頭を置いた琳が、何故か父親と同じように右腕を伸ばした真おんなじのポーズで眠っているのが、何だかとっても微笑ましく思えた結葉だ。
(そっくり)
クスクス笑いながらそんな二人を写真に収めて。
(想ちゃんには内緒♥)
そんなことを思って、琳を挟むようにそっとベッドへ潜り込んだ。
*
翌朝結葉と琳より少し早く目覚めた想が、キューッと手足を縮こめて全く同じポーズで眠る妻と息子の寝姿を見て、「くっそ可愛いな」とつぶやいて、写真を撮って一人悶えたのは結葉には内緒の話。
END(2022/07/02)
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【あとがき】
子供と三人で暮らすようになった山波一家の、何ということのないひとこまを抜き取ってみました。
想と結葉の子供は男の子で、名前は山波琳。
実は『こんまち』。
偉央以外のメインキャラ二人の名前の中には、調味料が潜んでいました。
◆御庄結葉=み「しょうゆ」いは=醤油
◆山波想=やまな「みそ」う=味噌
結葉は想と結婚して醤油ではなくなりましたが、代わりに息子を参入させました(笑)。
◆山波琳=やまな「みりん」=味醂
私、結構キャラの名前に変な縛りを作るのが好きで、焼酎の銘柄で苗字を縛ったり(オト温)、歴史に名を残した人の名前で苗字(や名前)を縛ったり(コノカレ)、ある童謡の中に出てくる歌詞を連想させる名前を苗字に持ってきてみたり(チョココロネ)。
はい。
苗字を考えるのが苦手だから変な縛りを設けて名付けを助けてもらおうとしています(笑)。
そんなことを本編のあとがきで書こうと思っていたんですが、書き忘れたのでこちらで(笑)。
因みに水面下で書いている新作もそんな縛りを設けてキャラ達を名付けた(野菜縛り)ので変な名前になってます(笑)。
えへへ♥
鷹槻うなの
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