160 / 228
28.初めての夜
タイミングの良し悪し
しおりを挟む
***
(びっくりしたぁ~っ)
いきなり想から「好き」だのなんだの言われた結葉は、思わず呼吸をするのを忘れてしまうぐらい驚かされてしまった。
確かに想は幼い頃から、それこそ今日に至るまでずっと、結葉にとことん甘々で優しかったけれど、それは実妹の芹に対しても同様で。
大きくなってからも変わらず〝妹扱い〟されていると感じていた結葉は、想への恋心を持て余した結果、想のそういう言動に異性扱いされていないと感じて切なくなったりしていたのだ。
なのに――。
「もぉ、想ちゃんったらぁ! そんな素振りちっともなかったのに……。冗談が過ぎるよぅ! 危うく信じそうになっちゃったじゃない」
きっと、結葉が緊張のあまり変なことを言ってしまったから、想もそれに合わせてくれただけなのだ。
(ちょっぴり変な間があいちゃったけど、ちゃんと冗談として受け止めたよって感じで返せたかな?)
薄暗がりの中。
自分はベッドの上。
想はそれより三十センチ以上低い床の上にいるから、きっとドギマギしてしまっている結葉の表情は見えないと思う。
思うけれど、何だか恥ずかしくて布団を額の辺りまで引き上げてしまった結葉だ。
一応自分の恋心は偉央との出会いをキッカケに一旦ひと区切りつけたよと言うつもりで、「好きだった」と告げた結葉だったけれど、想の方はまるで現在進行形ででもあるかのように「好き」表現だったことにも結葉はソワソワさせられている。
偉央とのこともまだ片付いていないというのに、元々大好きだった想からそんなことを言われて、不埒にもときめかずにはいられなくて。
でも同時に、こんな大変な時に何を浮き足立っているの⁉︎と自分を諌めるもう一人の自分がいることも確かだった。
***
結葉に冗談と言い切られた想は、「本気なんだけど?」という言葉をグッと喉の奥に押さえ込んだ。
考えてみれば、いま結葉は旦那とのことで頭が一杯のはずなのだ。
それなのに。
(こんな時に俺の気持ちを押し付けられても困るだけだよな)
と反省して。
「そりゃ~お前がいきなり『好きだった』とか言ってくれるからさ、こっちだってそう言いたくもなんだろ」
わざとククッと笑って軽口を叩くみたいにそう返したら、結葉が「うん。ごめんね」とどこかくぐもった声で返してくる。
ふと視線を転じてみたら、どうやら結葉、布団の中に潜り込んでしまったらしい。
(動揺……させちまったか)
何だかすごく申し訳ない気持ちがしてしまった想だ。
結葉が謝ってきたから、それに便乗するように「俺のほうこそ調子に乗り過ぎた。悪かったな」と、まるでいまの告白自体結葉が言うように〝冗談だったのだ〟と認めるような言葉を返してしまう。
本心を押し殺してまた嘘をついてしまったからだろうか。
ギュッと胸の奥が痛んで。
(俺、こうやって結葉のこと、他の男に奪られちまったんだよなぁ)
思ったけれど、過去を悔やんでも仕方がないと、小さく吐息を落とすついで。
そんな後悔も、思い切って身体の中から追い出してしまう。
タイミングの良し悪しはあるだろうけれども。
結葉がこのまま旦那と訣別して……。
晴れて独身になったなら。
その時こそはちゃんと茶化さず自分の気持ちを結葉にぶつけよう、と心に誓った想だった。
---------------------
いつもお越しくださり本当に有難うございます!
今日は章の変わり目のため、更新量がかなり少なめです。
読みごたえなくてすみません!
あと、私事なんですが、本日午前中に三回目のコロワク接種を予定しています。
もしかしたら副作用で明日の更新がものすごく遅れるか、ヘタをすると落ちてしまう可能性もあります。
本当にもうしわけありません。(何事もなく更新できるといいなと願いつつ)
Ren Takatsuki
---------------------
(びっくりしたぁ~っ)
いきなり想から「好き」だのなんだの言われた結葉は、思わず呼吸をするのを忘れてしまうぐらい驚かされてしまった。
確かに想は幼い頃から、それこそ今日に至るまでずっと、結葉にとことん甘々で優しかったけれど、それは実妹の芹に対しても同様で。
大きくなってからも変わらず〝妹扱い〟されていると感じていた結葉は、想への恋心を持て余した結果、想のそういう言動に異性扱いされていないと感じて切なくなったりしていたのだ。
なのに――。
「もぉ、想ちゃんったらぁ! そんな素振りちっともなかったのに……。冗談が過ぎるよぅ! 危うく信じそうになっちゃったじゃない」
きっと、結葉が緊張のあまり変なことを言ってしまったから、想もそれに合わせてくれただけなのだ。
(ちょっぴり変な間があいちゃったけど、ちゃんと冗談として受け止めたよって感じで返せたかな?)
薄暗がりの中。
自分はベッドの上。
想はそれより三十センチ以上低い床の上にいるから、きっとドギマギしてしまっている結葉の表情は見えないと思う。
思うけれど、何だか恥ずかしくて布団を額の辺りまで引き上げてしまった結葉だ。
一応自分の恋心は偉央との出会いをキッカケに一旦ひと区切りつけたよと言うつもりで、「好きだった」と告げた結葉だったけれど、想の方はまるで現在進行形ででもあるかのように「好き」表現だったことにも結葉はソワソワさせられている。
偉央とのこともまだ片付いていないというのに、元々大好きだった想からそんなことを言われて、不埒にもときめかずにはいられなくて。
でも同時に、こんな大変な時に何を浮き足立っているの⁉︎と自分を諌めるもう一人の自分がいることも確かだった。
***
結葉に冗談と言い切られた想は、「本気なんだけど?」という言葉をグッと喉の奥に押さえ込んだ。
考えてみれば、いま結葉は旦那とのことで頭が一杯のはずなのだ。
それなのに。
(こんな時に俺の気持ちを押し付けられても困るだけだよな)
と反省して。
「そりゃ~お前がいきなり『好きだった』とか言ってくれるからさ、こっちだってそう言いたくもなんだろ」
わざとククッと笑って軽口を叩くみたいにそう返したら、結葉が「うん。ごめんね」とどこかくぐもった声で返してくる。
ふと視線を転じてみたら、どうやら結葉、布団の中に潜り込んでしまったらしい。
(動揺……させちまったか)
何だかすごく申し訳ない気持ちがしてしまった想だ。
結葉が謝ってきたから、それに便乗するように「俺のほうこそ調子に乗り過ぎた。悪かったな」と、まるでいまの告白自体結葉が言うように〝冗談だったのだ〟と認めるような言葉を返してしまう。
本心を押し殺してまた嘘をついてしまったからだろうか。
ギュッと胸の奥が痛んで。
(俺、こうやって結葉のこと、他の男に奪られちまったんだよなぁ)
思ったけれど、過去を悔やんでも仕方がないと、小さく吐息を落とすついで。
そんな後悔も、思い切って身体の中から追い出してしまう。
タイミングの良し悪しはあるだろうけれども。
結葉がこのまま旦那と訣別して……。
晴れて独身になったなら。
その時こそはちゃんと茶化さず自分の気持ちを結葉にぶつけよう、と心に誓った想だった。
---------------------
いつもお越しくださり本当に有難うございます!
今日は章の変わり目のため、更新量がかなり少なめです。
読みごたえなくてすみません!
あと、私事なんですが、本日午前中に三回目のコロワク接種を予定しています。
もしかしたら副作用で明日の更新がものすごく遅れるか、ヘタをすると落ちてしまう可能性もあります。
本当にもうしわけありません。(何事もなく更新できるといいなと願いつつ)
Ren Takatsuki
---------------------
0
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
恋は、やさしく
美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。
性描写の入る章には*マークをつけています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】東京・金沢 恋慕情 ~サレ妻は御曹司に愛されて~
安里海
恋愛
佐藤沙羅(35歳)は結婚して13年になる専業主婦。
愛する夫の政志(38歳)と、12歳になる可愛い娘の美幸、家族3人で、小さな幸せを積み上げていく暮らしを専業主婦である紗羅は大切にしていた。
その幸せが来訪者に寄って壊される。
夫の政志が不倫をしていたのだ。
不安を持ちながら、自分の道を沙羅は歩み出す。
里帰りの最中、高校時代に付き合って居た高良慶太(35歳)と偶然再会する。再燃する恋心を止められず、沙羅は慶太と結ばれる。
バツイチになった沙羅とTAKARAグループの後継ぎの慶太の恋の行方は?
表紙は、自作です。
強引な初彼と10年ぶりの再会
矢簑芽衣
恋愛
葛城ほのかは、高校生の時に初めて付き合った彼氏・高坂玲からキスをされて逃げ出した過去がある。高坂とはそれっきりになってしまい、以来誰とも付き合うことなくほのかは26歳になっていた。そんなある日、ほのかの職場に高坂がやって来る。10年ぶりに再会する2人。高坂はほのかを翻弄していく……。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる