【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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19.結葉の決断

初めての反乱

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雪日ゆきはる、ママとずっと一緒にいようね」

 ケージの掃除をした後で、移動用キャリーの準備をしながら、結葉ゆいはは自分をまん丸な目で見上げてくるハムスターの雪日ゆきはるに声をかけた。

 こうしていると、かつてそうの妹・せりから譲り受けた初代のハムスター・福助のことを思い出す。

 雪日ゆきはる偉央いおが連れ帰ってきたハムスターだけど、結葉ゆいはの中では何故かそうや両親の思い出と繋がって。

 監禁生活のなか、結葉ゆいはの心が平常に保てていたのは、雪日ゆきはるの存在があったからに他ならなかった。

 今日は足枷あしかせが外されているから、いつもより心も身体も軽く感じられる結葉ゆいはだ。

 ただ、偉央いお結葉ゆいはが思うほど甘くはなくて――。

 部屋の暖房がいつも以上に高めに設定されて稼働しているのは、結葉ゆいはが下着以外身につけることを許可されていないからだ。

 部屋中を探してみたけれど、足枷が外されたと同時に結葉ゆいはの服はこの家の中から消えていて。

 そればかりか偉央いおの服もクローゼットに一着も残されていなかった。

 結葉ゆいは下着こんな姿では外には出られないと偉央いおには分かっているのだ。

 でも――。

 結葉ゆいははこのチャンスを逃す気はない。

 お風呂場からバスタオルを持ってきて、膝の上に載せたまま、黙々と雪日ゆきはるを連れ出す手筈を整えている。

 このマンションは、下に降りれば日中ならばコンシェルジュが二名常駐しているはずだから。

 結葉ゆいははそれに賭けることにしたのだ。

 もしも今日に限って男性コンシェルジュだったら……と考えると怖かったけれど、それはそれで開き直ろう、とも思った。

 頭の中でエレベーターに乗り込んでロビーに向かうまでの道のりを何度も何度も思い浮かべて。

 結葉ゆいは雪日ゆきはるを移動用キャリーに移すと、使い捨て懐炉カイロとともにトートバッグに入れた。

 身体にしっかりバスタオルを巻き付けて、書類を束ねるクリップで留めて。
 キッズ携帯は、もしも偉央いおから連絡があった時に備えてロビーまでは持って行こうと雪日ゆきはるのキャリーが入っているトートバッグに押し込んだ。


 時計を見ると午前九時四十分。
 診察が始まって間もない時間帯だから、きっと偉央いおは診察室に詰めているはずだ。

 ギュッと拳を握り締めると、結葉ゆいはは結婚して初めて。明確に偉央いおの意志に逆らった。

 優柔不断で流されやすい結葉ゆいはだったけれど、終わりの見えないこの監禁生活だけは――どうしても耐えられなかったから。
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