【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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17.出しっぱなしのカップ

想からの牽制

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 だが、幸せになったと信じていたはずの結葉ゆいはと久々に再会してみれば、何かが噛み合わないような違和感を覚えるのは気のせいだろうか。


「俺、部外者なんでよくは分かんねえけど……御庄みしょうさんの奥さんは俺にとってもすげぇ大事な奴なんで……その、余計なお世話だとは思いますが――宜しく頼んます」

 心の中で「頼むからアンタに嫁がせて良かったと思えるくらい大事にしてやってくれ」と付け加えたそうだ。

 偉央いお結葉ゆいはを見ていると、お互いに想い合っているようには見えるけれど、何故か結葉ゆいはに陰が多すぎるように感じられて仕方がない。

(俺の知ってる結葉ゆいはは……確かにおっとりはしてっけど、もっとフワッとした明るい笑顔を見せてくれる奴なんだよ)

 断じて、今みたいにどこか泣きそうな暗い笑顔を見せる女じゃなかった。

 始終オドオドと何かに怯えているように思えるのは、自分の考えすぎだろうか?


「言われなくてもそのつもりですよ」

 言葉こそ丁寧だったけれど偉央いおのまとう空気がピリッと張り詰めたのを感じたそうだ。

「その言葉がもし偽りだったら……。俺、そん時は容赦しませんから」


 言って、偉央いおが何か言い返してくる前に、そう結葉ゆいはに声を掛ける。

結葉ゆいは。くれぐれも無理だけはすんな。お前、昔っからひとりで何でも抱え込みすぎるトコがあっから俺、すげぇ心配なんだよ。何かあったら絶対相談しろ。んでもって遠慮なくそいつに頼りまくれ。――いいな?」

 旦那の目の前だろうが、何だろうか知るか!と思ってしまったそうだ。

 何となく、いまのまま結葉ゆいはを放置しておいたらいけない気がして。

 そうは、偉央いおの神経を逆撫でするであろうことは重々承知の上で、「旦那に相談しろ」とは敢えて言わなかった。

 旦那が来ただけであんなに一気に縮こまってしまった結葉ゆいはを見て、そう声を掛けるのは何かが違うと直感的に思ってしまったのだ。

 そうの懸念が杞憂きゆうならば、結葉ゆいはは「そうちゃん、心配し過ぎだよ」とヘラリと笑いながら返してくれるはずだ。

 だがそうの期待に反して、結葉ゆいははオロオロしたように自分と偉央いおを見比べて。

 小さく「……ありがとう」と返しただけだったから。

 そうは胸のざわつきが気のせいではないと確信してしまった。


結葉ゆいは

 もう一度結葉ゆいはに声を掛けようとしたそうを、今度こそ遮るようにして偉央いおが「山波やまなみさん、実家の修理の件、宜しくお願いします。では我々はこれで――」と告げて玄関奥に結葉ゆいはを押しやると、扉をバタンと閉ざしてしまった。

(シャットアウトかよ、くそっ!)

 思ったけれど、結葉ゆいはが直接そうに助けを求めてきたわけではない今――。

 これ以上ことを荒立てるのは得策ではないだろう。

 閉ざされたドアを見つめながら、そうは苦々しい気持ちで小さく吐息を落とした。
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