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17.出しっぱなしのカップ
想からの牽制
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だが、幸せになったと信じていたはずの結葉と久々に再会してみれば、何かが噛み合わないような違和感を覚えるのは気のせいだろうか。
「俺、部外者なんでよくは分かんねえけど……御庄さんの奥さんは俺にとってもすげぇ大事な奴なんで……その、余計なお世話だとは思いますが――宜しく頼んます」
心の中で「頼むからアンタに嫁がせて良かったと思えるくらい大事にしてやってくれ」と付け加えた想だ。
偉央と結葉を見ていると、お互いに想い合っているようには見えるけれど、何故か結葉に陰が多すぎるように感じられて仕方がない。
(俺の知ってる結葉は……確かにおっとりはしてっけど、もっとフワッとした明るい笑顔を見せてくれる奴なんだよ)
断じて、今みたいにどこか泣きそうな暗い笑顔を見せる女じゃなかった。
始終オドオドと何かに怯えているように思えるのは、自分の考えすぎだろうか?
「言われなくてもそのつもりですよ」
言葉こそ丁寧だったけれど偉央のまとう空気がピリッと張り詰めたのを感じた想だ。
「その言葉がもし偽りだったら……。俺、そん時は容赦しませんから」
言って、偉央が何か言い返してくる前に、想は結葉に声を掛ける。
「結葉。くれぐれも無理だけはすんな。お前、昔っからひとりで何でも抱え込みすぎるトコがあっから俺、すげぇ心配なんだよ。何かあったら絶対誰かに相談しろ。んでもって遠慮なくそいつに頼りまくれ。――いいな?」
旦那の目の前だろうが、何だろうか知るか!と思ってしまった想だ。
何となく、いまのまま結葉を放置しておいたらいけない気がして。
想は、偉央の神経を逆撫でするであろうことは重々承知の上で、「旦那に相談しろ」とは敢えて言わなかった。
旦那が来ただけであんなに一気に縮こまってしまった結葉を見て、そう声を掛けるのは何かが違うと直感的に思ってしまったのだ。
想の懸念が杞憂ならば、結葉は「想ちゃん、心配し過ぎだよ」とヘラリと笑いながら返してくれるはずだ。
だが想の期待に反して、結葉はオロオロしたように自分と偉央を見比べて。
小さく「……ありがとう」と返しただけだったから。
想は胸のざわつきが気のせいではないと確信してしまった。
「結葉」
もう一度結葉に声を掛けようとした想を、今度こそ遮るようにして偉央が「山波さん、実家の修理の件、宜しくお願いします。では我々はこれで――」と告げて玄関奥に結葉を押しやると、扉をバタンと閉ざしてしまった。
(シャットアウトかよ、くそっ!)
思ったけれど、結葉が直接想に助けを求めてきたわけではない今――。
これ以上ことを荒立てるのは得策ではないだろう。
閉ざされたドアを見つめながら、想は苦々しい気持ちで小さく吐息を落とした。
「俺、部外者なんでよくは分かんねえけど……御庄さんの奥さんは俺にとってもすげぇ大事な奴なんで……その、余計なお世話だとは思いますが――宜しく頼んます」
心の中で「頼むからアンタに嫁がせて良かったと思えるくらい大事にしてやってくれ」と付け加えた想だ。
偉央と結葉を見ていると、お互いに想い合っているようには見えるけれど、何故か結葉に陰が多すぎるように感じられて仕方がない。
(俺の知ってる結葉は……確かにおっとりはしてっけど、もっとフワッとした明るい笑顔を見せてくれる奴なんだよ)
断じて、今みたいにどこか泣きそうな暗い笑顔を見せる女じゃなかった。
始終オドオドと何かに怯えているように思えるのは、自分の考えすぎだろうか?
「言われなくてもそのつもりですよ」
言葉こそ丁寧だったけれど偉央のまとう空気がピリッと張り詰めたのを感じた想だ。
「その言葉がもし偽りだったら……。俺、そん時は容赦しませんから」
言って、偉央が何か言い返してくる前に、想は結葉に声を掛ける。
「結葉。くれぐれも無理だけはすんな。お前、昔っからひとりで何でも抱え込みすぎるトコがあっから俺、すげぇ心配なんだよ。何かあったら絶対誰かに相談しろ。んでもって遠慮なくそいつに頼りまくれ。――いいな?」
旦那の目の前だろうが、何だろうか知るか!と思ってしまった想だ。
何となく、いまのまま結葉を放置しておいたらいけない気がして。
想は、偉央の神経を逆撫でするであろうことは重々承知の上で、「旦那に相談しろ」とは敢えて言わなかった。
旦那が来ただけであんなに一気に縮こまってしまった結葉を見て、そう声を掛けるのは何かが違うと直感的に思ってしまったのだ。
想の懸念が杞憂ならば、結葉は「想ちゃん、心配し過ぎだよ」とヘラリと笑いながら返してくれるはずだ。
だが想の期待に反して、結葉はオロオロしたように自分と偉央を見比べて。
小さく「……ありがとう」と返しただけだったから。
想は胸のざわつきが気のせいではないと確信してしまった。
「結葉」
もう一度結葉に声を掛けようとした想を、今度こそ遮るようにして偉央が「山波さん、実家の修理の件、宜しくお願いします。では我々はこれで――」と告げて玄関奥に結葉を押しやると、扉をバタンと閉ざしてしまった。
(シャットアウトかよ、くそっ!)
思ったけれど、結葉が直接想に助けを求めてきたわけではない今――。
これ以上ことを荒立てるのは得策ではないだろう。
閉ざされたドアを見つめながら、想は苦々しい気持ちで小さく吐息を落とした。
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