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15.結葉、ごめん
偉央にとっての唯一
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結葉が気を失って初めて正気に戻った偉央は、グッタリとベッドに平伏してしまった妻を見下ろして、居た堪れない気持ちになった。
いつもこうだ。
結婚するまでに、結葉以外にも数名の女性と付き合ってきたことがある偉央だ。
だけどどの女性に対しても芽生えたことのない激情を、結葉に対してのみ感じてしまう。
それが原因で傷つけてしまってから、偉央はいつも言いようのない後悔の念に苛まれるのだ。
今まで付き合ってきた女性らは皆、偉央の外見に惹かれてあちらから告白される形で付き合ってきた。
結葉と彼女らが違うとすれば、結葉だけは偉央の方から声をかけたことだろう。
偉央が初めて自分から付き合ってみたい、手を伸ばしてみたいと思えた唯一の女性が結葉だった。
それまで自分に対して女性たちから紡がれる、外見に対する賞賛の言葉なんて皆同じにしか聞こえなかったし、彼女たちが一体自分の何を知っているんだろう?と思うとどうしても一歩引いたところからしか付き合ってこられなかった。
だけど偉央が初めて心引かれた小林結葉という女性は、話を進めて欲しいと打診してみれば偉央の方を見ること自体が困難な状態にあると彼女の両親から明かされてしまった。
彼女が、幼馴染みとやらを幼いころからずっと思い続けていると聞かされた時、偉央はいくら自分好みの女の子でも、そんな勝ち目のない勝負に打って出るのは馬鹿らしいか、と思ったりもしたのだ。
だけど釣書に添えられた写真を眺めるたび、偉央はどうしても一度だけ、結葉に会ってみたいという気持ちが膨らんでいくのを抑えられなくて。
会えば「なんだ、こんな女性だったのか」とあれこれ幻滅出来るアラを見つけられるかも知れない。
諦めるのはその後でも良いか、と未練がましくも思ってしまったのだ。
そういうのも踏まえた上で、「是非にでも話を進めて欲しい」と親を通じて先方に打診してもらったら、ひどく周りから驚かれたのを覚えている。
今まで偉央はそんなに結婚自体に乗り気ではなかったから。
一応一人息子という立場を考え、親の顔を立てる形で何人かの女性と会ったことはある。
あるけれど、「是非進めてください」と自ら申し出たことはなかったのだ。
そりゃあ、両親もさぞや驚いたことだと思う。
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沢山読みにきてくださって本当に有難うございました。
来年も遊びに来ていただけたら嬉しいです♥
良いお年をお迎えくださいね。
2021年12月31日 鷹槻れん
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いつもこうだ。
結婚するまでに、結葉以外にも数名の女性と付き合ってきたことがある偉央だ。
だけどどの女性に対しても芽生えたことのない激情を、結葉に対してのみ感じてしまう。
それが原因で傷つけてしまってから、偉央はいつも言いようのない後悔の念に苛まれるのだ。
今まで付き合ってきた女性らは皆、偉央の外見に惹かれてあちらから告白される形で付き合ってきた。
結葉と彼女らが違うとすれば、結葉だけは偉央の方から声をかけたことだろう。
偉央が初めて自分から付き合ってみたい、手を伸ばしてみたいと思えた唯一の女性が結葉だった。
それまで自分に対して女性たちから紡がれる、外見に対する賞賛の言葉なんて皆同じにしか聞こえなかったし、彼女たちが一体自分の何を知っているんだろう?と思うとどうしても一歩引いたところからしか付き合ってこられなかった。
だけど偉央が初めて心引かれた小林結葉という女性は、話を進めて欲しいと打診してみれば偉央の方を見ること自体が困難な状態にあると彼女の両親から明かされてしまった。
彼女が、幼馴染みとやらを幼いころからずっと思い続けていると聞かされた時、偉央はいくら自分好みの女の子でも、そんな勝ち目のない勝負に打って出るのは馬鹿らしいか、と思ったりもしたのだ。
だけど釣書に添えられた写真を眺めるたび、偉央はどうしても一度だけ、結葉に会ってみたいという気持ちが膨らんでいくのを抑えられなくて。
会えば「なんだ、こんな女性だったのか」とあれこれ幻滅出来るアラを見つけられるかも知れない。
諦めるのはその後でも良いか、と未練がましくも思ってしまったのだ。
そういうのも踏まえた上で、「是非にでも話を進めて欲しい」と親を通じて先方に打診してもらったら、ひどく周りから驚かれたのを覚えている。
今まで偉央はそんなに結婚自体に乗り気ではなかったから。
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あるけれど、「是非進めてください」と自ら申し出たことはなかったのだ。
そりゃあ、両親もさぞや驚いたことだと思う。
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2021年12月31日 鷹槻れん
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