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11.両親からの連絡
偉央が求める結葉の役割
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***
こんなことがあった日の偉央は、結葉をいつも以上に激しく求めて、酷く抱く。
偉央が満足した頃には結葉はグッタリとして動けなくなることが常で。
だけどそうなってしまった、主婦としては役立たずの結葉を、偉央は決して責めたりはしないのだ。
温かなお湯で湿らせたホカホカのタオルで結葉の身体中を綺麗に清めてくれた後で、
「結葉はゆっくり休んでおいで? 家事は僕がやっとくから。お風呂も溜めておくから動けるようになったら入ってね」
散々偉央に泣かされて乱された結葉の長い髪の毛を一房持ち上げて、ふわりと労わるような口づけを落とすと、そう言って結葉の頭を愛しくてたまらないと言った手付きで優しく撫でる。
そんな彼に、嬌声を上げ過ぎて掠れた声で「偉央さ、ごめ、なさ……」と答える結葉に、偉央は「謝らなくても大丈夫だよ。結葉は妻としての務めをしっかり果たしたんだから、僕に気を使う必要なんて微塵もないんだ」と慈愛に満ちた視線を投げ掛けてくる。
御庄偉央という男は、結葉に「妻」としての役割は過剰なほどに求める代わりに、「専業主婦」としての役目はそれほど求めては来なかった。
あくまでも偉央にとって結葉は「女」であって「家族」という枠組の中での彼女の存在価値は希薄なんだろう。
「元々僕は家事とか嫌いじゃないからね」
最初のうちはそれでも偉央に家事をさせてしまうことを気にしていた結葉に、偉央がニッコリ笑ってそう告げたことがある。
その言葉の通り、偉央は料理もとても上手で、結葉なんて足元にも及ばないようなご馳走をさらりと作れたし、掃除洗濯など、他の家事も卒なくこなしてしまう男だった。
「僕が結葉と結婚したのは、家政婦としてのキミを欲したわけじゃないから」
必要ならば金でハウスキーパーを雇えばいいと言い切った偉央に、結葉は殊、情事の後の自分の不能ぶりについては目をつぶることにした。
あまり言い募ったら、偉央は本当に家政婦を雇ってしまいかねないと思ったからだ。
「夫婦の時間を確保するのが何よりも大事だからね」
それが、偉央が結葉に求める唯一無二の役割なのだと、いつしか結葉も諦めるようになっていて。
そこにはきっと「母親」としての結葉は想定されていないし、当然「父親」としての偉央も居ないように思われた。
飴と鞭と言うのだろうか。
酷く抱かれた後、そんな風に甘やかされるたび、結葉は分からなくなってしまうのだ。
自分が偉央に性奴隷のごとく虐げられているのか、ひとりの女性として大切に愛されているのか。
「愛してるよ、結葉」
結葉が戸惑いに揺れる瞳で偉央を見上げるたび、まるで結葉の不安を見透かしたように偉央が愛の言葉をくれるから。
結葉は結局「愛されている」のだ、と自分を納得させるしかなかった。
こんなことがあった日の偉央は、結葉をいつも以上に激しく求めて、酷く抱く。
偉央が満足した頃には結葉はグッタリとして動けなくなることが常で。
だけどそうなってしまった、主婦としては役立たずの結葉を、偉央は決して責めたりはしないのだ。
温かなお湯で湿らせたホカホカのタオルで結葉の身体中を綺麗に清めてくれた後で、
「結葉はゆっくり休んでおいで? 家事は僕がやっとくから。お風呂も溜めておくから動けるようになったら入ってね」
散々偉央に泣かされて乱された結葉の長い髪の毛を一房持ち上げて、ふわりと労わるような口づけを落とすと、そう言って結葉の頭を愛しくてたまらないと言った手付きで優しく撫でる。
そんな彼に、嬌声を上げ過ぎて掠れた声で「偉央さ、ごめ、なさ……」と答える結葉に、偉央は「謝らなくても大丈夫だよ。結葉は妻としての務めをしっかり果たしたんだから、僕に気を使う必要なんて微塵もないんだ」と慈愛に満ちた視線を投げ掛けてくる。
御庄偉央という男は、結葉に「妻」としての役割は過剰なほどに求める代わりに、「専業主婦」としての役目はそれほど求めては来なかった。
あくまでも偉央にとって結葉は「女」であって「家族」という枠組の中での彼女の存在価値は希薄なんだろう。
「元々僕は家事とか嫌いじゃないからね」
最初のうちはそれでも偉央に家事をさせてしまうことを気にしていた結葉に、偉央がニッコリ笑ってそう告げたことがある。
その言葉の通り、偉央は料理もとても上手で、結葉なんて足元にも及ばないようなご馳走をさらりと作れたし、掃除洗濯など、他の家事も卒なくこなしてしまう男だった。
「僕が結葉と結婚したのは、家政婦としてのキミを欲したわけじゃないから」
必要ならば金でハウスキーパーを雇えばいいと言い切った偉央に、結葉は殊、情事の後の自分の不能ぶりについては目をつぶることにした。
あまり言い募ったら、偉央は本当に家政婦を雇ってしまいかねないと思ったからだ。
「夫婦の時間を確保するのが何よりも大事だからね」
それが、偉央が結葉に求める唯一無二の役割なのだと、いつしか結葉も諦めるようになっていて。
そこにはきっと「母親」としての結葉は想定されていないし、当然「父親」としての偉央も居ないように思われた。
飴と鞭と言うのだろうか。
酷く抱かれた後、そんな風に甘やかされるたび、結葉は分からなくなってしまうのだ。
自分が偉央に性奴隷のごとく虐げられているのか、ひとりの女性として大切に愛されているのか。
「愛してるよ、結葉」
結葉が戸惑いに揺れる瞳で偉央を見上げるたび、まるで結葉の不安を見透かしたように偉央が愛の言葉をくれるから。
結葉は結局「愛されている」のだ、と自分を納得させるしかなかった。
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