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8.歪んだ形での愛の実感*
悲劇の始まり
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***
「結葉はここに指とか入れたことないの?」
自分でそういうことをしたことはないのか?と問われて、結葉は真っ赤になって首を振る。
性的な目的で、下腹部に触れたことすらない結葉だ。
中に指を入れるだなんて有り得ない。
結葉のその反応に、偉央が嬉しそうにクスッと笑ったのが分かって、結葉は訳が分からず戸惑ってしまう。
自分はそんなにおかしいことを言ったのだろうか。
オロオロと視線を彷徨わせたら、偉央が「嬉しいな」とつぶやいた。
「え……?」
聞き間違いかと思ったけれど、偉央は結葉の中に指を挿し込んだまま、結葉の頬へチュッと口付けを落としてきて。
「結葉の初めて、僕が全部もらえるんだって思ったら嬉しくなっちゃった」
言葉通り、偉央はとても楽しそうで、結葉はその笑顔にドキドキしてしまう。
途端、中に埋められたままの偉央の指を、自分がキュッと締め付けたのが分かった。
「……あっ、ん」
それが何だかゾクゾクとするような快感をもたらして、結葉は思わず吐息を漏らす。
今日は偉央のことを怖いと思うことが何度かあったけれど、やはりこうして笑顔を向けられるとこの人のことが好きだなと思わされる。
「偉央さん……が喜んでくださるの、……私も、嬉しい、です?」
何となく断定するのは恥ずかしくて、語尾が疑問系のように上がってしまった。
だけど結葉が照れながらも偉央を見詰めてしどろもどろにそう告げたら、偉央は一瞬瞳を見開いてから「有難う、結葉」と微笑んでくれた。
「――結葉、愛してるよ」
偉央の言葉に、結葉は心の底から幸せだな、と思って。
「私も……偉央さんを愛しています」
結婚式で交わした愛の誓いより、いま二人で睦み合った言葉の方が、結葉の胸にジーンと染み込んだ。
***
偉央は結葉の未開発の身体を長い時間をかけてじっくりとほぐしてくれて。
結葉は思ったほど痛みを感じずに偉央を迎え入れることが出来た。
結婚したのに避妊をしっかりして結葉の中に分け入ってくる偉央を見て小首を傾げた結葉に、偉央は「まだしばらくは二人の時間を楽しみたいからね。ダメかな?」と言って。
結葉は偉央がそれでいいのなら、そんなに焦らなくてもいいかな?と思った。
それに、結葉自身、まだ仕事を辞めていなかったから。
「私もお仕事があるので、その方が助かります」
勤め始めたばかりだ。
出来ればもう少し社会の荒波の中で頑張ってみたい。
そう思いながら偉央を見詰めたら、偉央は一瞬だけ視線を外してから、「結葉……。出来れば仕事は辞めて欲しいんだけどな?」と言った。
偉央は結葉には家にいてもらって、家庭を守って欲しいらしい。
「結葉にはなるべく外には出ないで家にいて、僕の帰りを待っていて欲しい」
ふっと甘えた顔をして、強請るような口ぶりに切り替えると、偉央が「――ダメかな?」と付け加えてくる。
専業主婦の母親を思い出した結葉は、「偉央さんがそう望まれるのでしたら」と答えた。
それが、悲劇の始まりになるとも思わずに。
「結葉はここに指とか入れたことないの?」
自分でそういうことをしたことはないのか?と問われて、結葉は真っ赤になって首を振る。
性的な目的で、下腹部に触れたことすらない結葉だ。
中に指を入れるだなんて有り得ない。
結葉のその反応に、偉央が嬉しそうにクスッと笑ったのが分かって、結葉は訳が分からず戸惑ってしまう。
自分はそんなにおかしいことを言ったのだろうか。
オロオロと視線を彷徨わせたら、偉央が「嬉しいな」とつぶやいた。
「え……?」
聞き間違いかと思ったけれど、偉央は結葉の中に指を挿し込んだまま、結葉の頬へチュッと口付けを落としてきて。
「結葉の初めて、僕が全部もらえるんだって思ったら嬉しくなっちゃった」
言葉通り、偉央はとても楽しそうで、結葉はその笑顔にドキドキしてしまう。
途端、中に埋められたままの偉央の指を、自分がキュッと締め付けたのが分かった。
「……あっ、ん」
それが何だかゾクゾクとするような快感をもたらして、結葉は思わず吐息を漏らす。
今日は偉央のことを怖いと思うことが何度かあったけれど、やはりこうして笑顔を向けられるとこの人のことが好きだなと思わされる。
「偉央さん……が喜んでくださるの、……私も、嬉しい、です?」
何となく断定するのは恥ずかしくて、語尾が疑問系のように上がってしまった。
だけど結葉が照れながらも偉央を見詰めてしどろもどろにそう告げたら、偉央は一瞬瞳を見開いてから「有難う、結葉」と微笑んでくれた。
「――結葉、愛してるよ」
偉央の言葉に、結葉は心の底から幸せだな、と思って。
「私も……偉央さんを愛しています」
結婚式で交わした愛の誓いより、いま二人で睦み合った言葉の方が、結葉の胸にジーンと染み込んだ。
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偉央は結葉の未開発の身体を長い時間をかけてじっくりとほぐしてくれて。
結葉は思ったほど痛みを感じずに偉央を迎え入れることが出来た。
結婚したのに避妊をしっかりして結葉の中に分け入ってくる偉央を見て小首を傾げた結葉に、偉央は「まだしばらくは二人の時間を楽しみたいからね。ダメかな?」と言って。
結葉は偉央がそれでいいのなら、そんなに焦らなくてもいいかな?と思った。
それに、結葉自身、まだ仕事を辞めていなかったから。
「私もお仕事があるので、その方が助かります」
勤め始めたばかりだ。
出来ればもう少し社会の荒波の中で頑張ってみたい。
そう思いながら偉央を見詰めたら、偉央は一瞬だけ視線を外してから、「結葉……。出来れば仕事は辞めて欲しいんだけどな?」と言った。
偉央は結葉には家にいてもらって、家庭を守って欲しいらしい。
「結葉にはなるべく外には出ないで家にいて、僕の帰りを待っていて欲しい」
ふっと甘えた顔をして、強請るような口ぶりに切り替えると、偉央が「――ダメかな?」と付け加えてくる。
専業主婦の母親を思い出した結葉は、「偉央さんがそう望まれるのでしたら」と答えた。
それが、悲劇の始まりになるとも思わずに。
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