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4.結婚を前提に
キミの気持ちの整理がつくまでは
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「行けそうですか?」
結葉の戸惑いを察してくれたらしい偉央から優しくそう尋ねられて、結葉は一瞬だけ不安いっぱいの目で両親に視線を流した。
だけど母美鳥は「頑張れ」と声に出さずにそんな結葉を応援してくるばかりで。
父茂雄に至っては、世話人をしてくれた上司や、偉央の両親との会話に忙しいらしく、結葉の視線に気付いてさえくれなかった。
「緊張、なさってますか?」
再度柔らかな声音で問いかけられて、結葉はすぐそばの偉央を情けない顔で見上げる。
オロオロしてばかりの結葉と違って、偉央の言動は始終落ち着いていて穏やかで。
眼鏡の奥の柔和な目の光に、結葉は少しずつ気持ちが落ち着いてくるのを感じた。
目の前の偉央は、先日病院で見かけたスクラブにドクターコート姿の時とはまた違った雰囲気で、本当にカッコ良くて。
あの時はそういう目で見てなかったから気付かなかったけれど、立ち姿も姿勢がよくてすごく品があるように見える。
(こんな素敵な人が私のお見合い相手だなんて)
偉央自身に対して初見の時から抱いていた評価の高さを思い出して、結葉は今更のようにドキドキしてきてしまった。
「……すみません。緊張はしてますけど……大丈夫です」
一度だけ深呼吸をしてざわつきをそっと抑えると、結葉は偉央に小さく頷いて見せる。
少し離れた場で話をしている五人に頭を下げると、結葉は偉央とともに予約されているレストランがある最上階へと向かうため、エレベーターに乗り込んだ。
***
「小林結葉さん。結婚を前提に僕とお付き合いしてくれませんか?」
見合い後も特にお断りする理由もなく。
結葉に一目惚れをした、もっと貴女のことを知りたい、と熱烈に求愛してくれる偉央の熱意に押される形で交際を開始した結葉だったけれど、もともと偉央の見目自体は嫌いではなかったこともあり、少しずつ想へのやるせない恋心の隙間を侵食するように偉央からの愛情が沁み込んでくるのを感じるようになった。
見合い直後に「結婚を前提に」と偉央から言われていたこともあり、交際開始から三ヶ月が過ぎる頃には結葉も偉央との未来を漠然と思い描くようになっていて。
結葉は幼なじみへの片思いの話を偉央にした覚えはなかったのだけれど、何か気付かせるものがあったのだろうか。
偉央は結葉の気持ちの整理がつくまでは、と結葉に手を出すことはなくて、しても触れるか触れないか程度の軽いキス止まりだったし、男性経験のない結葉を気遣うようにそれ以上のことも無理には求めてこなかった。
結葉の戸惑いを察してくれたらしい偉央から優しくそう尋ねられて、結葉は一瞬だけ不安いっぱいの目で両親に視線を流した。
だけど母美鳥は「頑張れ」と声に出さずにそんな結葉を応援してくるばかりで。
父茂雄に至っては、世話人をしてくれた上司や、偉央の両親との会話に忙しいらしく、結葉の視線に気付いてさえくれなかった。
「緊張、なさってますか?」
再度柔らかな声音で問いかけられて、結葉はすぐそばの偉央を情けない顔で見上げる。
オロオロしてばかりの結葉と違って、偉央の言動は始終落ち着いていて穏やかで。
眼鏡の奥の柔和な目の光に、結葉は少しずつ気持ちが落ち着いてくるのを感じた。
目の前の偉央は、先日病院で見かけたスクラブにドクターコート姿の時とはまた違った雰囲気で、本当にカッコ良くて。
あの時はそういう目で見てなかったから気付かなかったけれど、立ち姿も姿勢がよくてすごく品があるように見える。
(こんな素敵な人が私のお見合い相手だなんて)
偉央自身に対して初見の時から抱いていた評価の高さを思い出して、結葉は今更のようにドキドキしてきてしまった。
「……すみません。緊張はしてますけど……大丈夫です」
一度だけ深呼吸をしてざわつきをそっと抑えると、結葉は偉央に小さく頷いて見せる。
少し離れた場で話をしている五人に頭を下げると、結葉は偉央とともに予約されているレストランがある最上階へと向かうため、エレベーターに乗り込んだ。
***
「小林結葉さん。結婚を前提に僕とお付き合いしてくれませんか?」
見合い後も特にお断りする理由もなく。
結葉に一目惚れをした、もっと貴女のことを知りたい、と熱烈に求愛してくれる偉央の熱意に押される形で交際を開始した結葉だったけれど、もともと偉央の見目自体は嫌いではなかったこともあり、少しずつ想へのやるせない恋心の隙間を侵食するように偉央からの愛情が沁み込んでくるのを感じるようになった。
見合い直後に「結婚を前提に」と偉央から言われていたこともあり、交際開始から三ヶ月が過ぎる頃には結葉も偉央との未来を漠然と思い描くようになっていて。
結葉は幼なじみへの片思いの話を偉央にした覚えはなかったのだけれど、何か気付かせるものがあったのだろうか。
偉央は結葉の気持ちの整理がつくまでは、と結葉に手を出すことはなくて、しても触れるか触れないか程度の軽いキス止まりだったし、男性経験のない結葉を気遣うようにそれ以上のことも無理には求めてこなかった。
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