【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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3.近付くふたりのその裏で

寧ろもっと

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 普通ならすぐにでも声を掛けて、結葉ゆいはの暴走を止めた方がスムーズに診察が進んだはずで。

 それをしなかったのは、もしかしたら偉央いおの方も診察室を見回す自分を観察していたのかも知れないと気が付いて、結葉ゆいははにわかに恥ずかしくなる。


「わ、私っ、診察室でキョロキョロしちゃって……」

 突然恥ずかしそうに俯いた娘を見て、美鳥みどりが小首を傾げた。

御庄みしょう先生、何も言わずに私が先生の存在に気付くのを、待ってて下さってた……気がする……」

 その時、偉央いおがどこを見ていたのかとか、何を考えていたのかまでは結葉ゆいはには知るよしもないのだけれど。


「それだけ?」

 美鳥みどり結葉ゆいはの横に再度腰掛けて問うてきて……。
 結葉ゆいはは「往診……」とつぶやいた。

「福助の飼育環境を見たいから……って。往診ついでにうちに寄りましょうか?って……言われた」


 実はこれ、結葉ゆいはが、帰宅後真っ先に両親に聞きたかったことだ。

 思わず成り行きで「お願いします」とか言ってしまったけれど、
〝――御庄みしょう先生が家にきても大丈夫か否か〟
 それをふたりに確認してから、OKならいつが都合がいいかを煮詰めていかないと、と思っていた。


「ゆいちゃんは先生に何てお答えしたの?」

 美鳥みどりが優しく手に触れてきて、結葉ゆいははグルグルと自分の中だけで考えていた思考を止めて、小さく吐息を落とした。


「つい勢いで『お願いします』って言っちゃって。でもお母さんたちの都合を聞かなくちゃって思い直して。両親に聞いて、またご連絡差し上げたんでも構いませんか、って……お話した……」

 そんな結葉ゆいはに、偉央いおは「ではどうなったか、掛けていただけますか?」と、自分の携帯番号をメモ用紙に走り書きして、結葉ゆいはに渡してきたのだった。


「私の携帯番号は問診票に書いてあったからお伝えしなかったのだけど」

 何だか色々種明かしをされた後で、今日の先生とのやりとりを考えたら、無性に恥ずかしくなってきてしまった結葉ゆいはだ。

「お母さんっ、御庄みしょう先生……私のこと」


 ソワソワと言い募る娘を見て、少なくとも御庄みしょう偉央いおの方は、実物の結葉ゆいはを見ても幻滅はしなかったのだろうと……。
 いや寧ろもっと気に入って下さったのではないかと、美鳥みどりはそんな風に思った。
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