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いわゆるデートとか言うやつ
温和、もしかして、調子悪い?
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案の定、俺の顔を食い入るように見ていた音芽とバッチリ目が合って――。
「ひゃっ」
途端心底驚いたみたいに小さく悲鳴を上げて視線を背けんの、可愛すぎるだろ!
「……随分スッキリしたお目覚めのようですね、音芽さん」
心の中では音芽の可愛さに悶えまくりながら、表面上は余裕をかまして憮然とした態度で音芽に気だるげな視線を送る。
そうしてわざわざ『緊張して眠れなかったの、俺だけかよ?』と言う恨み節をチラつかせながら、指で彼女の愛らしい唇を意味深になぞった。
その仕草の淫靡さに気付いたんだろうか?
音芽があからさまに耳まで真っ赤にして、潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
くそっ!
一晩中可愛いお前のそばで添い寝して、死ぬほど抱きたくてたまんねぇの、必死で抑えてた俺をどこまで煽る気だよ、バカ音芽!
さすがに初心者相手に飛ばし過ぎちゃマズイだろ?ってお前の体調を最優先して身体を労わってやったっちゅーのに。分かんねーかな?
自慢じゃねぇけど昨夜は俺、可愛いお前の寝顔と寝息を感じながらほぼ一睡も出来てねぇ感じなんだけど、そこんトコ、理解してっか?
「温和……、もしかして、調子悪い?」
さすがにほぼ眠れず悶々としていた疲労を隠し切ることは出来なかったらしい。
恐る恐る手を伸ばして、俺の前髪をかき上げるようにして小さな手指で額に触れてくる音芽に、俺の我慢はそろそろ限界だ。
無防備に伸ばされた音芽の手首をギュッと掴んだら、何でそんなことをされるのか分からないって顔で瞳を見開くから。
俺は奥歯を噛み締めて込み上げる情欲を心の奥底深くへねじ伏せた。
それでもほんの一瞬、そんな鈍ちんな音芽を恨みがましく睨むのくらい、許して欲しい。
好きな女を前に一晩中お預けを食らった男の気持ちなんて、この恋愛初心者でピュアっピュアな音芽には到底分かりゃあしないんだろう。
そう思ったら何も言う気になれなくて、俺は半ば諦めたように盛大な溜め息を落とした。
そんな俺に対して、音芽が『え? なんで?』という表情をしたことを、俺はとうぶん忘れられそうにない。
***
そう。俺は昨夜、結局音芽に何も出来なかったのだ。
いや、と言うより意図的に何もしなかった、という方が正しいか。
その顛末はと言うと――。
今の状態を見れば一目瞭然だが、シングルサイズの狭いベッドで身体を寄せ合うようにして一緒には眠ったし、どさくさにまぎれて俺にしがみついてくる音芽に悩殺されそうにもなった。
だが、理性を総動員して、ギリギリのところで何とか踏みとどまったのだ。
そもそも……俺はもとより――。
「今日は俺、お前を抱くつもりねぇから」
そう心に決めていたのだから。
男とすんのが初めてだった音芽を相手に、俺は昨日暴走しまくった自覚がある。
今日一日音芽を見ていて気が付いたんだが、あいつ、歩き方とかすげぇぎこちなかったし、本人は隠してるつもりだったんだろーけど、回復し切ってねぇのが一目瞭然だったから。
そんな相手に、今日もヤらせろ!だなんて言えねぇだろ⁉︎
音芽は俺にとって自分の命より大事だと思える唯一無二の存在だ。
それこそ両親なんかよりずっと――。俺にとっては音芽の方が優先順位が高いくらいで。
そんな相手なんだから、正直365日、それこそ毎日朝昼晩抱いたって抱きたりねぇと思うくらいむちゃくちゃしたい。
けど、それをするのは鬼畜の所業だ。
俺は大切な女の身体を気遣ってやれねぇような、ろくでなし男にだけはなりたくなかったし、そういう矜持だってある。
なのに――。
「ひゃっ」
途端心底驚いたみたいに小さく悲鳴を上げて視線を背けんの、可愛すぎるだろ!
「……随分スッキリしたお目覚めのようですね、音芽さん」
心の中では音芽の可愛さに悶えまくりながら、表面上は余裕をかまして憮然とした態度で音芽に気だるげな視線を送る。
そうしてわざわざ『緊張して眠れなかったの、俺だけかよ?』と言う恨み節をチラつかせながら、指で彼女の愛らしい唇を意味深になぞった。
その仕草の淫靡さに気付いたんだろうか?
音芽があからさまに耳まで真っ赤にして、潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
くそっ!
一晩中可愛いお前のそばで添い寝して、死ぬほど抱きたくてたまんねぇの、必死で抑えてた俺をどこまで煽る気だよ、バカ音芽!
さすがに初心者相手に飛ばし過ぎちゃマズイだろ?ってお前の体調を最優先して身体を労わってやったっちゅーのに。分かんねーかな?
自慢じゃねぇけど昨夜は俺、可愛いお前の寝顔と寝息を感じながらほぼ一睡も出来てねぇ感じなんだけど、そこんトコ、理解してっか?
「温和……、もしかして、調子悪い?」
さすがにほぼ眠れず悶々としていた疲労を隠し切ることは出来なかったらしい。
恐る恐る手を伸ばして、俺の前髪をかき上げるようにして小さな手指で額に触れてくる音芽に、俺の我慢はそろそろ限界だ。
無防備に伸ばされた音芽の手首をギュッと掴んだら、何でそんなことをされるのか分からないって顔で瞳を見開くから。
俺は奥歯を噛み締めて込み上げる情欲を心の奥底深くへねじ伏せた。
それでもほんの一瞬、そんな鈍ちんな音芽を恨みがましく睨むのくらい、許して欲しい。
好きな女を前に一晩中お預けを食らった男の気持ちなんて、この恋愛初心者でピュアっピュアな音芽には到底分かりゃあしないんだろう。
そう思ったら何も言う気になれなくて、俺は半ば諦めたように盛大な溜め息を落とした。
そんな俺に対して、音芽が『え? なんで?』という表情をしたことを、俺はとうぶん忘れられそうにない。
***
そう。俺は昨夜、結局音芽に何も出来なかったのだ。
いや、と言うより意図的に何もしなかった、という方が正しいか。
その顛末はと言うと――。
今の状態を見れば一目瞭然だが、シングルサイズの狭いベッドで身体を寄せ合うようにして一緒には眠ったし、どさくさにまぎれて俺にしがみついてくる音芽に悩殺されそうにもなった。
だが、理性を総動員して、ギリギリのところで何とか踏みとどまったのだ。
そもそも……俺はもとより――。
「今日は俺、お前を抱くつもりねぇから」
そう心に決めていたのだから。
男とすんのが初めてだった音芽を相手に、俺は昨日暴走しまくった自覚がある。
今日一日音芽を見ていて気が付いたんだが、あいつ、歩き方とかすげぇぎこちなかったし、本人は隠してるつもりだったんだろーけど、回復し切ってねぇのが一目瞭然だったから。
そんな相手に、今日もヤらせろ!だなんて言えねぇだろ⁉︎
音芽は俺にとって自分の命より大事だと思える唯一無二の存在だ。
それこそ両親なんかよりずっと――。俺にとっては音芽の方が優先順位が高いくらいで。
そんな相手なんだから、正直365日、それこそ毎日朝昼晩抱いたって抱きたりねぇと思うくらいむちゃくちゃしたい。
けど、それをするのは鬼畜の所業だ。
俺は大切な女の身体を気遣ってやれねぇような、ろくでなし男にだけはなりたくなかったし、そういう矜持だってある。
なのに――。
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