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いわゆるデートとか言うやつ
お前が鈍いのは知ってたけど、ここまでだったなんてな
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「き、金曜にねっ、飲もうかって」
とか、マジか!
――なぁ、それ、いくらなんでも今週の話じゃねぇよな?
そんな淡い期待を込めて「今週?」とぼそっと聞いたら、バカ音芽め。
あっけらかんと頷きやがった。
こいつは本当……!
一回〝男心〟を勉強してこい!
そんなことを思って、不機嫌さを隠さないままに
「お前さ、それ冗談抜きで言ってる?」
抑揚のないムスッとした声音で問いかけたら、俺に腰を抱かれたまま「え?」と小さくこぼして後ろを振り返ってくんの。
マジむかつくんだけど?
あんまり腹立たしかったから、わざと不機嫌さマックスな顔で冷ややかに見下ろしてやったら
「はる、まさ?」
ってつぶやいて〝意味分かりません〟みたいな顔をしてきて。
おまけにそれを裏付けるみたいに愛らしく小首を傾げやがるから、さすがに溜め息が出た。
「お前が鈍いのは知ってたけど、ここまでだったなんてな」
俺は音芽の腰から手を解くと、玄関先に置いたままにしていた荷物を手に取って、無言でリビングへ向かう。
「な、何で怒ったの?」
慌ててそんな俺の後を追いかけて来てオロオロする音芽を、俺は思いっきり睨みつけてやった。
(あー、マジでイライラする!)
そんな感情を隠さないままに憮然とした声音で「本当に分かんねぇの?」って問いかけたら、「……ごめんなさい。分かりません」って……誰か嘘だと言ってくれ!
発された声音がしゅん、とした様子で小声なのは、一応申し訳なく思ってるからだろうか?
けど……鈍すぎるにも程があんだけど?
そう思ったら、自然と盛大な溜め息が漏れ出てしまう。
(何か俺ばっかり音芽に夢中みたいで、すっげぇ寂しいじゃねぇか)
「バカ音芽」
我慢できなくなってポツンとつぶやいたら、
「温和……もしかして……」
音芽がリビングに突っ立ったままの俺の手をギュッと握って。
「――拗ねてる?」
まるで真理に気が付いた学者みたいに瞳を輝かせながら、俺の顔を覗きこんできやがった。
(悪いかよ!)
俺は心の中で盛大に毒吐きながら、そんな音芽の視線から逃げるようにサッと目を逸らせる。
「温和さん、すごく分かりづらいんですけど……」
掴んだ手をギュッと握ってしつこく言い募ってくる音芽に、俺は苦し紛れ。
「分かれよ」って小さく吐き捨てた。
音芽が俺の気持ちに気付かない事に散々腹を立てて拗ねていたくせに。
分かった!と言われた途端、子供じみた自分の考え方を音芽に知られたのが恥ずかしくなって逃げたくなる。
俺も大概天邪鬼だよな。
「付き合い始めて初めての週末だろーが」
それでも、俺がこんなになっているのには一応、正当な理由があるのだと、聞こえるか聞こえないかの声でそう続けたら、音芽が一瞬驚いたように瞳を見開いて。
今度こそ申し訳なさそうに俺を見つめて口を開いた。
とか、マジか!
――なぁ、それ、いくらなんでも今週の話じゃねぇよな?
そんな淡い期待を込めて「今週?」とぼそっと聞いたら、バカ音芽め。
あっけらかんと頷きやがった。
こいつは本当……!
一回〝男心〟を勉強してこい!
そんなことを思って、不機嫌さを隠さないままに
「お前さ、それ冗談抜きで言ってる?」
抑揚のないムスッとした声音で問いかけたら、俺に腰を抱かれたまま「え?」と小さくこぼして後ろを振り返ってくんの。
マジむかつくんだけど?
あんまり腹立たしかったから、わざと不機嫌さマックスな顔で冷ややかに見下ろしてやったら
「はる、まさ?」
ってつぶやいて〝意味分かりません〟みたいな顔をしてきて。
おまけにそれを裏付けるみたいに愛らしく小首を傾げやがるから、さすがに溜め息が出た。
「お前が鈍いのは知ってたけど、ここまでだったなんてな」
俺は音芽の腰から手を解くと、玄関先に置いたままにしていた荷物を手に取って、無言でリビングへ向かう。
「な、何で怒ったの?」
慌ててそんな俺の後を追いかけて来てオロオロする音芽を、俺は思いっきり睨みつけてやった。
(あー、マジでイライラする!)
そんな感情を隠さないままに憮然とした声音で「本当に分かんねぇの?」って問いかけたら、「……ごめんなさい。分かりません」って……誰か嘘だと言ってくれ!
発された声音がしゅん、とした様子で小声なのは、一応申し訳なく思ってるからだろうか?
けど……鈍すぎるにも程があんだけど?
そう思ったら、自然と盛大な溜め息が漏れ出てしまう。
(何か俺ばっかり音芽に夢中みたいで、すっげぇ寂しいじゃねぇか)
「バカ音芽」
我慢できなくなってポツンとつぶやいたら、
「温和……もしかして……」
音芽がリビングに突っ立ったままの俺の手をギュッと握って。
「――拗ねてる?」
まるで真理に気が付いた学者みたいに瞳を輝かせながら、俺の顔を覗きこんできやがった。
(悪いかよ!)
俺は心の中で盛大に毒吐きながら、そんな音芽の視線から逃げるようにサッと目を逸らせる。
「温和さん、すごく分かりづらいんですけど……」
掴んだ手をギュッと握ってしつこく言い募ってくる音芽に、俺は苦し紛れ。
「分かれよ」って小さく吐き捨てた。
音芽が俺の気持ちに気付かない事に散々腹を立てて拗ねていたくせに。
分かった!と言われた途端、子供じみた自分の考え方を音芽に知られたのが恥ずかしくなって逃げたくなる。
俺も大概天邪鬼だよな。
「付き合い始めて初めての週末だろーが」
それでも、俺がこんなになっているのには一応、正当な理由があるのだと、聞こえるか聞こえないかの声でそう続けたら、音芽が一瞬驚いたように瞳を見開いて。
今度こそ申し訳なさそうに俺を見つめて口を開いた。
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