139 / 184
俺の立ち位置
8
しおりを挟む
落ち着かない様子で俺を見つめ返してくる音芽に、「分からないからお前の思うようにしてやれないかもな?」って付け加えたら、音芽のやつ、にわかに慌てやがんの。
可愛すぎだろ!
なのにこの期におよんで、躊躇いがちに「……分かるでしょ?」ってつぶやくように言ってくるとか、俺が「ああ、分かってるよ」って言うと思うのか?
言えよ、バカ音芽って気持ちを込めて軽く睨んでやったら、一瞬ひるんでから、観念したように真っ赤になりながら消え入りそうな声で「私の……かれ……し」とか。
やべぇ!
そんな可愛い顔で上目遣いに俺を見上げてくんな!
無理矢理言わせたのは俺なのに、音芽が超絶可愛くて、「彼氏」なのだ、と言われた途端、こっちが照れくさくなっちまった。
顔はもちろんの事、耳までカッと熱を帯びたのを感じた俺は、音芽に見られたくなくて慌てて彼女を追い抜いた。
そのまますれ違いざま、俺の可愛い彼女の手だけは忘れずにさらって、半ば強引に引っ張るようにして歩き出す。
「は、温和?」
音芽がそんな俺に戸惑いを隠せない様子で呼びかけてくるけれど、振り返れるわけねぇだろ!
けど、一瞬の間の後、音芽が全てお見通しだよ?とでも言わんばかりに、俺の手をギュッと握り返してきて。
ああ、分かってるよ!
言わせといて余裕綽々に振る舞えず、何も返せずに照れるとか、めちゃくちゃ情けねぇってことくらい。
けどな、仕方ねぇだろ。
お前が思う以上に、俺はお前のことが好きで好きで……可愛くて可愛くて……たまんねぇんだよ!
ちったぁ自分がどれだけ凶悪に魅力的か、自覚しやがれ、バカ音芽!
***
俺は校舎裏の辺りまで音芽の手を離さずにズンズン歩いた。
背後で、音芽が誰かに見られてしまうんじゃないかとソワソワしているのは分かっていたけれど、別に見られても構わねぇんだけどな、とか思っちまって。
と言うか、いっそのこと校内放送で「この可愛いのは俺のなんだよ!」って公言したいくらいだ。
――まぁ、さすがにしねぇけど。
「あ、あの……温和、そろそろ」
けど、そんな俺の心も知らぬげに、音芽が恐る恐ると言った調子でそう言って、繋いだ手を手をそっと引いてくるんだ。
本音を言うと、このままずっと音芽と手を繋いで……、何ならぎゅっと肩なんか抱いてしまいたい。
けど……まぁ職業柄それはダメだ、ともちゃんと分かってるんだよ、俺だって。
公表するにも順序ってもんがあんのは心得てるつもりだ。
可愛すぎだろ!
なのにこの期におよんで、躊躇いがちに「……分かるでしょ?」ってつぶやくように言ってくるとか、俺が「ああ、分かってるよ」って言うと思うのか?
言えよ、バカ音芽って気持ちを込めて軽く睨んでやったら、一瞬ひるんでから、観念したように真っ赤になりながら消え入りそうな声で「私の……かれ……し」とか。
やべぇ!
そんな可愛い顔で上目遣いに俺を見上げてくんな!
無理矢理言わせたのは俺なのに、音芽が超絶可愛くて、「彼氏」なのだ、と言われた途端、こっちが照れくさくなっちまった。
顔はもちろんの事、耳までカッと熱を帯びたのを感じた俺は、音芽に見られたくなくて慌てて彼女を追い抜いた。
そのまますれ違いざま、俺の可愛い彼女の手だけは忘れずにさらって、半ば強引に引っ張るようにして歩き出す。
「は、温和?」
音芽がそんな俺に戸惑いを隠せない様子で呼びかけてくるけれど、振り返れるわけねぇだろ!
けど、一瞬の間の後、音芽が全てお見通しだよ?とでも言わんばかりに、俺の手をギュッと握り返してきて。
ああ、分かってるよ!
言わせといて余裕綽々に振る舞えず、何も返せずに照れるとか、めちゃくちゃ情けねぇってことくらい。
けどな、仕方ねぇだろ。
お前が思う以上に、俺はお前のことが好きで好きで……可愛くて可愛くて……たまんねぇんだよ!
ちったぁ自分がどれだけ凶悪に魅力的か、自覚しやがれ、バカ音芽!
***
俺は校舎裏の辺りまで音芽の手を離さずにズンズン歩いた。
背後で、音芽が誰かに見られてしまうんじゃないかとソワソワしているのは分かっていたけれど、別に見られても構わねぇんだけどな、とか思っちまって。
と言うか、いっそのこと校内放送で「この可愛いのは俺のなんだよ!」って公言したいくらいだ。
――まぁ、さすがにしねぇけど。
「あ、あの……温和、そろそろ」
けど、そんな俺の心も知らぬげに、音芽が恐る恐ると言った調子でそう言って、繋いだ手を手をそっと引いてくるんだ。
本音を言うと、このままずっと音芽と手を繋いで……、何ならぎゅっと肩なんか抱いてしまいたい。
けど……まぁ職業柄それはダメだ、ともちゃんと分かってるんだよ、俺だって。
公表するにも順序ってもんがあんのは心得てるつもりだ。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。



甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる