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俺の初めて
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好きな女と肌を合わせるのがこんな幸せな気持ちになれるだなんて俺だって思ってなかったんだよ!
ただ性欲処理のために抱くのと、抱きたくて抱きたくてたまらなくて恋焦がれた末に抱くのと、こんなに違うって誰が想像できる?
自覚すればするほど幸せすぎて今更ながら心臓がバクバクしてきて。
そんな俺をキョトンとして見つめてくる音芽の視線に耐えられなくなった。
自分でこっち向けとか言っといてアレだけど、いま俺の方見ないでもらえますかね?
俺は半ば無意識に自分の表情を隠すみたいにギュッと音芽を抱き締めた。
けど、この幸せな気持ちは音芽にどうしても伝えないといけないと思ったから。
だから言うけど……音芽、俺の顔見ないで聞けよ?
「心の底から好きだって思う女を抱いたのは……俺も初めてだったんだよ。情けないぐらい余裕なさすぎで……恥ずかしくもなるだろっ」
お前、俺にとって自分が初めての女じゃないの知ってるだろ?
だからこんなん言い訳に過ぎないって思うかも知んないけど。
でも……嘘じゃねぇから。
「本当は……もっと時間をかけてゆっくりほぐしてやりたかったのに……悪かったな。痛かっただろ?」
言葉こそ気遣いマックスで、その実、俺は音芽の頭を押さえる力を緩められずにいる。
ばかりか、照れ隠しで、さらに一層力を込めてしまって。
俺の手の下で音芽がモゴモゴと動いているけれど、絶対に顔、上げさせてやんねぇよ。
こんな顔、恥ずかしくて見せられるかっ。
結果、音芽がジタバタともがくに至って、慌てて手を離す羽目になった。
やべ。
危うく可愛い音芽を窒息させちまうところだったぜ。
恐る恐る手を離してから「すまん」と謝ると、音芽が喘ぐように肩で息をして。
それを見ていたら、さすがに申し訳なさで照れとかそういうのが吹っ飛んで行って。
音芽には悪いが、内心ホッとしたのも事実だ。
***
結局ひとりでシャワーを済ませた音芽は、俺に隠れるようにしてこそこそと着替えを済ませて、「あの、支度あるし……帰るね」と言ってきて。
音芽の帰る先は隣室だからすぐそこなのに、正直俺はまだ音芽を手放すのが名残惜しかったんだ。
それで、部屋まで送ると言ってみたのだけれど。
「あ、でもすぐそこ……」
とか、そんなん分かってんだよ。
お前は俺と一緒にいたくねぇのかよ?
そう思ったら面白くなくて、つれない音芽を睨んで黙らせてみたり。
結局音芽を押し切る形で部屋まで付いていった俺に、
「えっと、……ば、バイバイ?」
またしても音芽が存外あっさり自室に入ろうとするもんだから、何となく引き止めたい気持ちに支配されてしまう。
だからと言って、これといった言葉が見つかるわけでもなく、ただ恨めしげな視線を送るだけだったんだけど。
鈍感娘な音芽にも感じられる程度には、目に気持ちがこもっていたらしい。
別れの言葉を告げながらも動作に迷いの出た音芽に、俺は扉が閉まる直前、どうしても抑えきれない衝動に駆られてドアを押さえた。
ただ性欲処理のために抱くのと、抱きたくて抱きたくてたまらなくて恋焦がれた末に抱くのと、こんなに違うって誰が想像できる?
自覚すればするほど幸せすぎて今更ながら心臓がバクバクしてきて。
そんな俺をキョトンとして見つめてくる音芽の視線に耐えられなくなった。
自分でこっち向けとか言っといてアレだけど、いま俺の方見ないでもらえますかね?
俺は半ば無意識に自分の表情を隠すみたいにギュッと音芽を抱き締めた。
けど、この幸せな気持ちは音芽にどうしても伝えないといけないと思ったから。
だから言うけど……音芽、俺の顔見ないで聞けよ?
「心の底から好きだって思う女を抱いたのは……俺も初めてだったんだよ。情けないぐらい余裕なさすぎで……恥ずかしくもなるだろっ」
お前、俺にとって自分が初めての女じゃないの知ってるだろ?
だからこんなん言い訳に過ぎないって思うかも知んないけど。
でも……嘘じゃねぇから。
「本当は……もっと時間をかけてゆっくりほぐしてやりたかったのに……悪かったな。痛かっただろ?」
言葉こそ気遣いマックスで、その実、俺は音芽の頭を押さえる力を緩められずにいる。
ばかりか、照れ隠しで、さらに一層力を込めてしまって。
俺の手の下で音芽がモゴモゴと動いているけれど、絶対に顔、上げさせてやんねぇよ。
こんな顔、恥ずかしくて見せられるかっ。
結果、音芽がジタバタともがくに至って、慌てて手を離す羽目になった。
やべ。
危うく可愛い音芽を窒息させちまうところだったぜ。
恐る恐る手を離してから「すまん」と謝ると、音芽が喘ぐように肩で息をして。
それを見ていたら、さすがに申し訳なさで照れとかそういうのが吹っ飛んで行って。
音芽には悪いが、内心ホッとしたのも事実だ。
***
結局ひとりでシャワーを済ませた音芽は、俺に隠れるようにしてこそこそと着替えを済ませて、「あの、支度あるし……帰るね」と言ってきて。
音芽の帰る先は隣室だからすぐそこなのに、正直俺はまだ音芽を手放すのが名残惜しかったんだ。
それで、部屋まで送ると言ってみたのだけれど。
「あ、でもすぐそこ……」
とか、そんなん分かってんだよ。
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だからと言って、これといった言葉が見つかるわけでもなく、ただ恨めしげな視線を送るだけだったんだけど。
鈍感娘な音芽にも感じられる程度には、目に気持ちがこもっていたらしい。
別れの言葉を告げながらも動作に迷いの出た音芽に、俺は扉が閉まる直前、どうしても抑えきれない衝動に駆られてドアを押さえた。
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