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*ふたりの初めて

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 俺の半裸にいつまでも馬鹿みたいに照れまくって動こうとしない音芽おとめに、とうとう俺はごうを煮やして、「こんくらいでそんな、いちいち照れんな」って指摘せずにはいられなかった。

 って言うかいい加減普通にしてくんねぇと、俺がつられて照れちまってやべーんだって!

 そんな俺に「でもっ!」って反論しようとした音芽が、思わずなんだろうな。目元を覆い隠していた手を外して。
 期せずして俺の顔を見上げてしまってから、ハッとしたように動きを止めるんだ。

 くそっ!
 自分でも分かんだよ! 顔が火照るくらい照れちまってんの!

 けどな、誤解すんなよ音芽!
 これ、お前につられただけだからなっ!?

 俺はこれ以上情けない顔を音芽にさらしたくなくてそっぽを向いた、……んだけど、音芽のやつ……。

温和はるまさ……そんなこと言いながら照れないでよ……。こっ、こっちまで余計……」

 とか!
 わざわざ指摘してくんなよ、バカ。

 俺は音芽がまだ何か続けようとしているのを制すると、わざと音芽の顔をじっと見つめて返してやった。

 案の定音芽は、俺の視線に囚われて何も続けられなくなるんだ。
 ちょろいやつめ。

「なぁ音芽おとめ。こっちまで余計……なに?」

 この際、俺自身が若干照れたままなのは大目に見よう。
 というよりその表情すら逆手にとってやればいい話だ。

「俺なんかさっきからお前の可愛い反応に当てられっぱなしなんだよ。けど……さ、俺はそれでもお前に触りたいって欲望のほうが勝るんだけど……音芽おとめ、お前は違うの? 俺に、触りたいとか思ってくれないわけ?」

 問えば、音芽が瞳を見開いて言い募ってくるんだ。

「さ、触りたい……に決まってるっ。けど……温和はるまさ、かっこ良過ぎて……恐れ多くて触れないんだもんっ。と、とにかく! めっちゃ恥ずかしいのっ!」

 音芽が恥じらいのあまり視線をふっと俺から外してそう言った瞬間、してやったりと思った俺は、肩の力を抜いた。

「なんだ、それなら俺と同じじゃねぇか。俺もお前が可愛すぎてマジで参ってるんだって。――なぁ、ふたりともそれならお互い様ってことで……俺にも恥ずかしがってるお前の顔、もっと見せろよ。……俺もお前に……触って……欲しいんだけど……?」
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