【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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音芽の本心

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 内心そんな風に思っている俺に、
「だったら……!」

 言って、音芽おとめが瞳を潤ませる。

 それを俺に気付かれたくないみたいに一瞬顔を背けようとして……でも、結局何かを思いとどまるみたいに顔を逸らさなかった。

 代わりに音芽が取った行動は、俺の予想を越えていて、逆に驚かされてしまった。

 だって……音芽のやつ、俺に抱きついてきたんだ。

 そのまま、動揺のあまり動けないでいる俺に回した腕に力を込めると、消え入りそうな声で
「だったら……話の途中で私を置いていなくならないでよ……」
 って言ってきて。

 余りのことに、俺はいつもみたいに憎まれ口さえ叩くことも出来ずに固まってしまった。

 必死な様子で俺にしがみつく音芽が小さくて、せつないぐらいに愛しくて――。
 心臓がどうにかなってしまいそうなぐらい早鐘を打っている。

 これ、絶対音芽に気付かれてんだろ。

 そう思うけれど、何もすることができなくて。

 俺が音芽を振り払えないままなのをコレ幸いと言わんばかりに、彼女は言葉を続けてきた。

温和はるまさ、誤解したまま急に出て行っちゃったから……私、すごく不安だったの。――あの時ね、私が温和はるまさから距離をあけようとしたのは、アナタに触れられたのが怖かったからじゃないよ? ただ単に……恥ずかしかっただけなの。温和はるまさに迫られてすごくドキドキしてたから、それを知られたくなかっただけ……。だってね、それに勘付かれたら……私が温和はるまさを大好きだって気持ち、アナタにバレちゃうじゃないっ。そんなの……恥ずかしすぎるって思ったの」

 音芽おとめが、俺の胸元に顔を擦り付けたまま一気にそう言って。
 無意識だろうか。
 しがみつく手にギュッと力を込めた。

 その小さな身体が、しがみついてくる俺よりも遥かに小さな手が……緊張のためかフルフルと小刻みに震えていて。

 まるで生まれたての小鹿みたいだと、頭の片隅でやけに冷静な俺が分析する。

 でも、一方で音芽に言われた言葉の真意がはかり切れなくて、半ば茫然自失な俺も取り残されていた。

 ちょっと待て。
 今、音芽、なんちゅった?


 俺に……触れられたのが怖かったわけじゃ、ない?
 じゃあ怖くなかった理由は何だっけ?
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