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音芽の訪問
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俺は無言で音芽を寝室に運ぶ。
音芽は、俺が自分をどこへ連れて行こうとしているのか気になって仕方ないらしく、俺の腕の中でソワソワと落ち着きがない。
顔を両手で覆い隠したままじゃ、余計に不安だろうに、何でそれ、外そうとしねぇんだよ?
俺と目を合わせるの、そんなにイヤか?
「は、温和っ。あのねっ、あのねっ」
顔を覆い隠したまま、それでも一生懸命俺に話しかけて気を紛らわせようとしているの、可愛すぎるって自覚しろ!
ホント、腹が立つくらい鈍感で愚かなやつ。
「えっとね、えっとね……ちょっと待ってね。今あれ……色々考えてるから」
なおも、何とか現状を打開しようと音芽が話し続けているけれど、俺はそんなのお構いなしに彼女の小さな身体をベッドの上におろした。
そこでやっと、さすがに顔を隠している場合じゃないと思い至ったんだろう。
恐る恐る顔から手を外して、現状を把握したらしい音芽が、
「えっ、なっ、何でっベッド!?」
って叫んだ。
バカ音芽。
何を今更――。
***
俺は吐き出すように、
「だからダサいの着てこいって言ったんだ。言うことを聞かなかったのはお前だからな?」
そう言って、寝そべったままの音芽の顔のすぐ横に腕をつく。
ギシッとベッドが軋んで、マットレスが俺の重みで沈み込む。
その反動で、音芽の柔らかな髪の毛が俺の腕をくすぐって、ドキッとした。
ほんの少しの刺激が、なけなしの理性を崩壊させそうで、俺は小さく生唾を飲み込む。
一応、脅すだけのつもりだけど、本当にそれで済ませられるだろうか。
「風呂上りのそんな格好見せられて、我慢しろって方が無理な話だろ」
音芽を見下ろして淡々とそう告げたら、
「……あ、あのっ、はっ、温和さんっ?」
まだ状況が飲み込めないのか、音芽が両手を胸の前で組むようにギュッと握りしめて、俺を見上げてくる。
鈍感もここまできたら罪だよな?
俺を仰ぎ見る音芽が凶悪に可愛くて、襲いかかりたくて堪らない。
それを全力でなんとか抑えているけれど――。
音芽、自分が今どんだけ危険な状況に置かれているのか、とか本気で分かってねぇの?
「わ、私っ、温和に言わなきゃいけないことがあって……」
こんな状態なのに、気丈にもまだ何か言おうとするとか、音芽のやつ案外神経図太いのかも知れねぇな。
それとも俺は自分を襲わない安全牌だとか思っていたりするんだろうか?
だとしたらそれは大きな間違いなんだと、もっと早く思い知るべきだ。
頼むから、世界中の他のどんな男よりも、俺が一番お前にとって危険な存在なんだと、そろそろ分かってくれないか?
音芽は、俺が自分をどこへ連れて行こうとしているのか気になって仕方ないらしく、俺の腕の中でソワソワと落ち着きがない。
顔を両手で覆い隠したままじゃ、余計に不安だろうに、何でそれ、外そうとしねぇんだよ?
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顔を覆い隠したまま、それでも一生懸命俺に話しかけて気を紛らわせようとしているの、可愛すぎるって自覚しろ!
ホント、腹が立つくらい鈍感で愚かなやつ。
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なおも、何とか現状を打開しようと音芽が話し続けているけれど、俺はそんなのお構いなしに彼女の小さな身体をベッドの上におろした。
そこでやっと、さすがに顔を隠している場合じゃないと思い至ったんだろう。
恐る恐る顔から手を外して、現状を把握したらしい音芽が、
「えっ、なっ、何でっベッド!?」
って叫んだ。
バカ音芽。
何を今更――。
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俺は吐き出すように、
「だからダサいの着てこいって言ったんだ。言うことを聞かなかったのはお前だからな?」
そう言って、寝そべったままの音芽の顔のすぐ横に腕をつく。
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その反動で、音芽の柔らかな髪の毛が俺の腕をくすぐって、ドキッとした。
ほんの少しの刺激が、なけなしの理性を崩壊させそうで、俺は小さく生唾を飲み込む。
一応、脅すだけのつもりだけど、本当にそれで済ませられるだろうか。
「風呂上りのそんな格好見せられて、我慢しろって方が無理な話だろ」
音芽を見下ろして淡々とそう告げたら、
「……あ、あのっ、はっ、温和さんっ?」
まだ状況が飲み込めないのか、音芽が両手を胸の前で組むようにギュッと握りしめて、俺を見上げてくる。
鈍感もここまできたら罪だよな?
俺を仰ぎ見る音芽が凶悪に可愛くて、襲いかかりたくて堪らない。
それを全力でなんとか抑えているけれど――。
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こんな状態なのに、気丈にもまだ何か言おうとするとか、音芽のやつ案外神経図太いのかも知れねぇな。
それとも俺は自分を襲わない安全牌だとか思っていたりするんだろうか?
だとしたらそれは大きな間違いなんだと、もっと早く思い知るべきだ。
頼むから、世界中の他のどんな男よりも、俺が一番お前にとって危険な存在なんだと、そろそろ分かってくれないか?
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