【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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3人でパンケーキ

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 音芽おとめのチョイスに、奏芽かなめがわざとらしく露骨に嫌そうな顔をしたけれど、きっとポーズだ。
 奏芽かなめが甘いのも嫌いじゃないの、知ってるしな。

 現に実際3種類頼んでみんなでシェアしたわけだが、奏芽はどれも旨そうに食ってた。

***

 奏芽とはパンケーキ屋を出たあと、駐車場で別れた。
 音芽に、何で一緒の車に乗り合ってこなかったの?って聞かれたけれど、まぁ色々あったんだよ。
 元々はそのつもりだったのに出来なかった結果、お前を見失う羽目になって、俺がどんだけ心配したか、分かってんのか? バカ音芽。

 思いはしたが、それを言うと俺がどれだけ音芽に執心してんのかバレそうなので、言わずにおいた。

 代わりにテキトーな理由を並べ立てて一緒にこなかったのは奏芽のワガママってことにしておいたが、まぁあながち間違いじゃないだろう。

 それに――。

 今、こうして音芽と2人きりで帰途につけているのは相乗りしてこなかったお陰でもあるわけで……そうなるとまぁ、結果オーライかな、とか思う。

 ふと横目で助手席の音芽を見たら、幸せそうに笑みを浮かべていて。
 大方さっき食べたパンケーキのことでも思い出してるんだろうな。
 可愛いやつめ。

 心の中ではそう思っているくせに、口をついて出るのは
「……気持ち悪い」
 とか。
 全然そんなこと思ってねぇのに何でこんなことしか言えないんだ俺。

 せっかくいい笑顔だった音芽が、慌てて口元を引き締めてしまったじゃないか。

 本当、俺、馬鹿なんじゃねぇの?

 俺の不用意な発言のせいでギュッと口元を力を入れてしまった音芽おとめに申し訳ないと思うのに、その、頑張って真剣な顔をしているのもまた可愛いとか思ってしまって……。

 結局のところ、俺は音芽ならどんな表情かおをしていても好きなんだと実感させられただけだった。

 そんな、好きで好きでたまらない音芽を助手席に乗せられるのは、俺的には物凄く嬉しいし、下手したらさっき音芽を馬鹿にしたくせに、自分の口元が緩みそうなくらいヤバいことで。

 音芽さえ望むなら俺はこいつのためにいくらでも足になってやるのにって思ったんだ。

 けど、音芽自身は奏芽かなめが自分勝手に好きなようにマイカーで動けることを羨ましいと感じている節もあって。

「みんなで一緒に動いたりするのは制約になるから嫌なんだと」

 俺が奏芽と乗り合ってこなかったことを、奏芽がそんな風に思っているからだと説明したら、音芽は自分のあれこれと照らし合わせたんだろう。プンスカした様子で「カナにい、ホント贅沢っ!」と頬を膨らませた。
 けどそれって自由に動き回れる兄への嫉妬もあったんじゃねぇか?とか思っちまった。

 そう思ったら聞かずにはいられなかったんだ。

「そーいや、お前は車、欲しくないのかよ」
 って。
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