59 / 168
兄たちの制裁
3
しおりを挟む
「アプリ入れたのは親父だから。一緒に住まないならせめて妹の動向をチェックして報告しろってさ」
「――したのか?」
聞いたら、「まさか!」と首を横に振られた。
「結局お前がアイツと一緒のアパートに住むことになったじゃん? 職場も一緒だし親父も俺に何か聞かなくてもハルが一緒なら大丈夫って思ったんじゃね? 何も催促されてねぇから放置だわ」
と続けてから、「あ、でも今回初めて役に立ちそうだぜ?」とスマホを俺に向けてくる。
画面には市内の地図が表示されていて、赤いピンがゆっくりとこちらに向かって移動しているのが見えた。
「このピンが音芽?」
聞けば「ビンゴ」ってニヤリとされた。
「なぁ奏芽。今度そのアプリ、音芽のスマホから落としても怒らねぇ?」
少し考えてからそう言ったら、奏芽が一瞬キョトンとしてからブハッと吹き出した。
「あー、そりゃー、ハルの好きにすればいい。アイツの動向を一番見守ってるのはお前だし……それにあれよな。俺に監視されてるかもとか思ったら色々やりづらいだろ、お前も」
ニヤニヤされて、「色々ってなんだよ」という言葉をグッと飲み込んだ。
それができたら苦労しねぇし、むしろしてみてぇわ。
俺は奏芽みたいに欲望に忠実に従える方じゃない。
奏芽は気に入った女の子を見つけるとそれこそかなりストレートに攻める方だ。
そりゃーもう、傍目に見ていていっそ清々しいくらいに。
けどまぁ、一人一人に対する対応はまぁ、奏芽なりに結構真摯なんじゃないかとも思うわけで。
「音芽がお前の妹で心底よかったって思うわ」
ポツンとつぶやいたら「なんで」と聞かれた。
「何でかはお前が一番分かってんだろ、奏芽」
お前は自分に似た顔の作りをしている妹の外見を結構気に入ってるし、身内だから手を出さないってだけでアレ、絶対他人だったら何かしてるだろ。
音芽が奏芽の毒牙にかからずに無事なのは妹だからに他ならないのを俺は知っている。
俺の溜め息混じりの言葉に、奏芽がクスクス笑う。
「実際問題さ、俺も思いはするんだぜ? ハルみたいに一人の女に一途になってみたいってな」
ハンドルに寄りかかって遠い目をする奏芽に、俺は少し驚いてしまう。
こいつでもそんなことを思うことがあったのかって。
「いつか現れるんじゃね? お前にも。こいつじゃなきゃって思える相手」
男か女かは分かんねぇけど、と付け加えたらニヤリとされた。
「――したのか?」
聞いたら、「まさか!」と首を横に振られた。
「結局お前がアイツと一緒のアパートに住むことになったじゃん? 職場も一緒だし親父も俺に何か聞かなくてもハルが一緒なら大丈夫って思ったんじゃね? 何も催促されてねぇから放置だわ」
と続けてから、「あ、でも今回初めて役に立ちそうだぜ?」とスマホを俺に向けてくる。
画面には市内の地図が表示されていて、赤いピンがゆっくりとこちらに向かって移動しているのが見えた。
「このピンが音芽?」
聞けば「ビンゴ」ってニヤリとされた。
「なぁ奏芽。今度そのアプリ、音芽のスマホから落としても怒らねぇ?」
少し考えてからそう言ったら、奏芽が一瞬キョトンとしてからブハッと吹き出した。
「あー、そりゃー、ハルの好きにすればいい。アイツの動向を一番見守ってるのはお前だし……それにあれよな。俺に監視されてるかもとか思ったら色々やりづらいだろ、お前も」
ニヤニヤされて、「色々ってなんだよ」という言葉をグッと飲み込んだ。
それができたら苦労しねぇし、むしろしてみてぇわ。
俺は奏芽みたいに欲望に忠実に従える方じゃない。
奏芽は気に入った女の子を見つけるとそれこそかなりストレートに攻める方だ。
そりゃーもう、傍目に見ていていっそ清々しいくらいに。
けどまぁ、一人一人に対する対応はまぁ、奏芽なりに結構真摯なんじゃないかとも思うわけで。
「音芽がお前の妹で心底よかったって思うわ」
ポツンとつぶやいたら「なんで」と聞かれた。
「何でかはお前が一番分かってんだろ、奏芽」
お前は自分に似た顔の作りをしている妹の外見を結構気に入ってるし、身内だから手を出さないってだけでアレ、絶対他人だったら何かしてるだろ。
音芽が奏芽の毒牙にかからずに無事なのは妹だからに他ならないのを俺は知っている。
俺の溜め息混じりの言葉に、奏芽がクスクス笑う。
「実際問題さ、俺も思いはするんだぜ? ハルみたいに一人の女に一途になってみたいってな」
ハンドルに寄りかかって遠い目をする奏芽に、俺は少し驚いてしまう。
こいつでもそんなことを思うことがあったのかって。
「いつか現れるんじゃね? お前にも。こいつじゃなきゃって思える相手」
男か女かは分かんねぇけど、と付け加えたらニヤリとされた。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる