【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

文字の大きさ
上 下
46 / 184
*お仕置き

2

しおりを挟む
 いくら鈍い音芽おとめでも、だ。

 男にベッドに押し倒されて、色事絡みだと思わないとかないだろう。

 そうたかをくくった俺は
「――この状況で、そういう発想になれるところがすげぇと思うんだけど……お前、それ、本気マジで言ってる?」
 嫌でも俺が異性だと意識させるために、音芽の身体に覆いかぶさるようにして、そう追い討ちをかけた。

 なのに何でお前、そんな恍惚とした顔で俺を見るんだよ。
 おかしいだろ。

 そこは「ヤダっ! 温和はるまさ、恥ずかしいっ」じゃねぇのか。

 もちろん、コイツからこんな風にうっとりした視線を向けられるのは俺だってやぶさかではない。
 でも、だ。TPOってモンがあんだろ。

 音芽のヤツ、本気で俺が自分を襲ったりすることなんてないって信じてるんだろうか。

 だとしたら……そのに認識は甘いと思い知らせてやらねぇと。

 そう思った俺は、冷ややかな視線で音芽を見下ろして、抑揚のない声で言い放った。
「俺、今からお前に酷いことするって宣言したよな?」
 ここへきて初めて音芽が息を飲んでくれて、俺は内心安堵する。
 そうだ。俺が欲しかったのは、そう言う反応なんだよ、バカ音芽。

 俺が告げたお仕置きの意味を、愛らしい頭の中でいま一生懸命考えているんだろうか?と思ったら、支配欲に似た愛しさが込み上げる。

 気がつくと、俺は吸い寄せられるように音芽おとめに顔を寄せていて。

 音芽が観念したようにギュッと目をつぶるのを見て、ゾクリとした快感を覚えた。
 今なら音芽が抵抗出来ないよう両手を押さえつけて、思うさま目の前の愛らしい唇を貪っても許されるんじゃないだろうか。

 そんな危ない考えがふと脳裏をよぎった瞬間――。
 鼻先を音芽のものではない香りが掠めて、俺は一気に現実へ引き戻された。

 このニオイは俺のものでもない。
 となれば――。

 再度確認するように音芽の首筋に顔を近づけて嗅いでみると、気のせいなんかじゃないと痛感させられた。

 俺は苛立ちを隠せないままに音芽の耳元で
「今のお前、すげぇ嫌なニオイがしてるって自覚ある?」
 まるで音芽が悪いのだと責めるかのようにそう吐き捨てて……彼女を萎縮させてしまった。

 この不快な臭いの原因が、音芽にはないことぐらい俺だって分かってる。
 でも、俺以外の男に容易く身体を許したのもまたコイツ自身なんだと思うと、感情のセーブがうまく出来なくて。

 音芽が俺の目の前で悲しそうに瞳を見開いたのを見て、確かにチクリと胸が痛んだが、俺はうまくフォローしてやることができない。

 音芽の大きな目がこれ以上ないぐらい見開かれて、その目にうっすらと涙の幕が張っているように感じられるのにどうしたらいいか分からないとか、俺、どんだけダメな男なんだよ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...