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逢地先生と2人きり
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「あ、あのっ。私が鶴見先生に告白するとしたら……そのっ、き、霧島先生から見て、どの角度が一番……その……か、可愛く見える、かな?って……」
上目遣いで尋ねられて、俺は一瞬言葉につまる。
――いや、……だから何故それを俺に聞く?
そう思ったのが顔に出ていたんだろう。
逢地先生が慌てたように付け加えた。
「霧島先生と鶴見先生っ、身長がほとんど同じぐらいでいらっしゃるから……霧島先生にチェックして頂いたら、正解が導き出せるんじゃないかと……思いまして……」
最後のあたりはゴニョゴニョと声が小さくなって聞き取りづらかったけれど、言いたいことは大体分かった。
確かに認めたくはないが、俺と鶴見の身長はほぼ同じぐらいだ。
俺の視点から確認してほしいと言うのはあながち的外れではないのかもしれない。
正直な話、俺は何としても逢地先生には鶴見を落としてもらいたい。
そうして、頼むから音芽の前からあいつを奪い去ってくれ、と願ってもいる。
そのためには俺も本気で臨まねぇとな。
俺はひとつ深呼吸をすると、逢地先生のすぐ近くに立った。
「チェックしますんで、こっち見上げてもらっていいですか?」
言えば、戸惑いに揺れた瞳で素直に俺を見上げてくる。
あー、これが音芽だったらどんなにか嬉しいのに。
逢地先生は音芽より5センチばかり背が高い。
音芽が俺を見上げてくる時とはやはり様子が違って――。
ま、アイツは角度云々関係なく無条件で可愛いけどな。他の女じゃそうはいかねぇから確かに見極めは肝心だ。
そんなことを考えながら、俺は無意識に逢地先生のあごに手をかけていた。
「そうですね、このぐらいの角度が効果的だと思いますよ?」
言って、ニコッと営業用スマイルで微笑んだら、下駄箱の方でカタッと微かな音がした。
***
その物音に振り返ると――。
音芽と、……鶴見!?
俺は二人が一緒にいるのを見ただけで無意識に舌打ちしそうになった。
それを何とか堪えてから、半ば腹いせのように逢地先生の耳元に、「鶴見先生に告白するならなるべく急いだ方がよさそうですね?」とわざと焦らせるような言葉を落として踵を返す。
なぁ、逢地先生だって感じているだろ、俺と同じ焦燥感。
鶴見と音芽がくっ付くのが嫌ならアンタも動けよ。
心の中でそう付け加えながら。
俺の目の前、へたり込みそうになる音芽の腕を鶴見が握って引き上げているのが見えて、言いようのない苛々が募る。
バカ音芽! 簡単に俺以外の男に身体預けてんじゃねぇよ。
言いたいのに言えない言葉が喉の奥に引っかかって心をざらつかせる。
上目遣いで尋ねられて、俺は一瞬言葉につまる。
――いや、……だから何故それを俺に聞く?
そう思ったのが顔に出ていたんだろう。
逢地先生が慌てたように付け加えた。
「霧島先生と鶴見先生っ、身長がほとんど同じぐらいでいらっしゃるから……霧島先生にチェックして頂いたら、正解が導き出せるんじゃないかと……思いまして……」
最後のあたりはゴニョゴニョと声が小さくなって聞き取りづらかったけれど、言いたいことは大体分かった。
確かに認めたくはないが、俺と鶴見の身長はほぼ同じぐらいだ。
俺の視点から確認してほしいと言うのはあながち的外れではないのかもしれない。
正直な話、俺は何としても逢地先生には鶴見を落としてもらいたい。
そうして、頼むから音芽の前からあいつを奪い去ってくれ、と願ってもいる。
そのためには俺も本気で臨まねぇとな。
俺はひとつ深呼吸をすると、逢地先生のすぐ近くに立った。
「チェックしますんで、こっち見上げてもらっていいですか?」
言えば、戸惑いに揺れた瞳で素直に俺を見上げてくる。
あー、これが音芽だったらどんなにか嬉しいのに。
逢地先生は音芽より5センチばかり背が高い。
音芽が俺を見上げてくる時とはやはり様子が違って――。
ま、アイツは角度云々関係なく無条件で可愛いけどな。他の女じゃそうはいかねぇから確かに見極めは肝心だ。
そんなことを考えながら、俺は無意識に逢地先生のあごに手をかけていた。
「そうですね、このぐらいの角度が効果的だと思いますよ?」
言って、ニコッと営業用スマイルで微笑んだら、下駄箱の方でカタッと微かな音がした。
***
その物音に振り返ると――。
音芽と、……鶴見!?
俺は二人が一緒にいるのを見ただけで無意識に舌打ちしそうになった。
それを何とか堪えてから、半ば腹いせのように逢地先生の耳元に、「鶴見先生に告白するならなるべく急いだ方がよさそうですね?」とわざと焦らせるような言葉を落として踵を返す。
なぁ、逢地先生だって感じているだろ、俺と同じ焦燥感。
鶴見と音芽がくっ付くのが嫌ならアンタも動けよ。
心の中でそう付け加えながら。
俺の目の前、へたり込みそうになる音芽の腕を鶴見が握って引き上げているのが見えて、言いようのない苛々が募る。
バカ音芽! 簡単に俺以外の男に身体預けてんじゃねぇよ。
言いたいのに言えない言葉が喉の奥に引っかかって心をざらつかせる。
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