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逢地先生と2人きり

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「とっ、鳥飼とりかい先生はっ……その、鶴見つるみ先生のことどう思ってる、とか霧島きりしま先生に話していらしたり……なさいますか?」

 は? 何言ってるんだコイツ。

 と不機嫌全開で思ってしまったのは仕方ないだろう。
 音芽おとめから鶴見の話聞かされるとか……考えただけで胸糞が悪い。

「一応確認なんですけど……それは恋愛感情として、って意味ですか?」

 努めて平坦に。
 感情が表に出ないように。

 俺は静かに逢地おおち先生にそう問いかけた。

「あ、はい……。そういう意味です」

 言われて、俺は思わず
「ただの同期ってだけですよ。別に取り立てて仲が良いってわけじゃありませんから、変なこと言わないでください」
 と言ってしまった。
 それもかなり不機嫌さを全面に押し出して。

 いつも職場ではなるべく穏やかに冷静に話すことを心がけているのに、音芽おとめのことになるとこれ。
 俺はガキか。

 頭の中では後悔しきりだし、逢地おおち先生に悪かったって思ったんだけど……一度表に出してしまった感情はなかなか引っ込みが付かないもので。

「す、すみませんっ。私、不躾ぶしつけなことを聞いてしまいましたっ」

 しゅんとした逢地おおち先生に、俺は小さく吐息を落とす。

「こちらこそすみません。身内みたいに思ってる奴のことなんで、感情的になりました」

 本当はこういう言い方はしたくない。
 そう言えば皆、俺が音芽を心配していると思っちまうから。

 だが、まぁ今回は俺の失態だし仕方ない。
 甘んじてそう思われようじゃないか。

「――それで、そんな前置きをなさった真意はなんですか?」

 俺は自分の気持ちを切り替える意味も込めて、逢地おおち先生に話すきっかけを与えた。

 俺の言葉に、逢地おおち先生がゆっくりと顔をあげる。

 そうして胸前でギュッと拳を握りしめると、

「わ、私……そのっ、つっ、……鶴見つるみ先生のことが……す、す……」

 す?
 真っ赤な顔をして一生懸命言葉を続けようとする逢地おおち先生を見ていたら、俺は段々気持ちが落ち着いてくる。

 っていうかコレ……恐らく。

「すっ、好きっ、なんですっ」

 ああ、やはりな……。

 恥じらいで熱に浮かされたように潤んだ瞳でこちらを見つめる逢地おおち先生は、まぁ控えめに言っても可愛いと思う。

 これさ、絶対鶴見本人に言ってたら成功してただろ。

 実際、逢地おおち先生が鶴見を掻っさらってくれたら、俺的には万々歳なんだよな。
 音芽おとめの前から鶴見が排除できるわけだし。

 そこまで考えたら、俄然逢地おおち先生を応援したくなった。

逢地おおち先生、今の……。鶴見先生自身に言ってたら絶対うまく行ってた気がするんですけど……何故俺に?」

 実際そうだろ?
 こんな真っ赤になって絞り出すように懸命に言うんなら、俺じゃなくて本命に向けてぶっつけ本番で臨んだほうが絶対建設的だったはずだ。

 それをしなかったってことは……俺に何か頼み事があるってことだと思うんだよな。

 ここまできたら恋のキューピッド、買って出ようじゃねぇか。……もちろん、に!

 問いかけて逢地おおち先生をじっと見つめたら、ややしてポツンと言葉が紡がれる。
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