34 / 184
目障りな男
3
しおりを挟む
「鳥飼先生のサポートは学年主任の俺がしますんで、大丈夫です。鶴見先生には、俺が鳥飼先生についてる間、もしかしたらうちのクラスと彼女のクラスの児童らのことをお願いすることがあるかもしれないんで、そっち方面でのサポートをしていただけたら助かります」
殊更にっこりと――ある意味胡散臭い笑顔を浮かべながら、俺は鶴見にそう言ってやった。
音芽、悪いな。俺だってお前が自分のクラスの児童らを放ったらかしにして、鶴見に助けを求めるような無責任なヤツだなんて微塵も思ってやしねぇよ。
けどな、そう言わないと鶴見が食い下がってくんだろ?
俺の発言が気に入らないんだろう。
どこかそわそわとした様子で俺を見つめてくる音芽に、俺は彼女の不服を分かっていながらも、敢えてそれを押さえつけるように至極不機嫌そうな顔で睨んで黙らせる。
いや、実際に俺、滅茶苦茶苛立ってるからな?
お前の態度に。
何で俺より鶴見を頼ろうとすんだよ?
俺の手を借りるのはそんなに嫌かよ?
***
ある種の膠着状態の中。
「おはようございます。皆さん何話していらっしゃるんです? 私も仲間に入れてくださいな」
ほわっとした物言いをしながら、俺の正面の席――鶴見の隣――に養護教諭の逢地撫子先生が座る。
「おはようございます」
各々に挨拶を交わしながら、思わず全員が逢地先生の動きを目で追っている。
彼女の登場で、流れが変わるだろうか?
そう期待して。
逢地先生は養護教諭の先生で、確か今年で28歳。――俺より2つ上だったか。
そこまで考えて、女性の年齢をいちいち覚えているとか、俺、結構イヤなやつかも?と思う。
こういうところが、音芽が俺に鶴見に見せるような人懐っこさを見せてくれないゆえんなんじゃないだろうか。
逢地先生、基本的には保健室にいるんだが、朝礼の時や職員会議の時などだけ、ここ二年部の島の一角に設けられた彼女用の席に着席する。
彼女は毎日、朝の学活後に俺たち担任が付けた、受け持ちクラスの児童らの出席簿をもとに、職員室入り口のホワイトボードに全クラスの児童らの欠席状況や遅刻状況などを書き込んでくれる。
それを見ると他クラスの状況も把握できて、学年主任としては結構ありがたかったりするのだ。
特にインフルエンザの時期なんかはそろそろこのクラスは学級閉鎖かも、とか目に見えるので、こっちも心の準備ができる。
インフルエンザの欠席者に関してはわざわざ文字色を変えて一目で分かるように書いてくれたりして……彼女の細やかな気遣いが有り難く思えたりするんだ。
職員室には一応、普段はよその部屋に常駐していて居ない、いわゆる専科の先生方の机もちゃんと配置されている。
そういう先生方の机は、俺たち低学年の担任が集められた島にあって、養護の逢地先生の他にも、学校図書館司書の伊佐美千鶴先生、音楽担当の日昔香澄先生の席などが集められている。
因みに通路を挟んだ向こうには中学年・高学年の先生方の机が固められていて、あちらには担任以外の教職員の席はない。
殊更にっこりと――ある意味胡散臭い笑顔を浮かべながら、俺は鶴見にそう言ってやった。
音芽、悪いな。俺だってお前が自分のクラスの児童らを放ったらかしにして、鶴見に助けを求めるような無責任なヤツだなんて微塵も思ってやしねぇよ。
けどな、そう言わないと鶴見が食い下がってくんだろ?
俺の発言が気に入らないんだろう。
どこかそわそわとした様子で俺を見つめてくる音芽に、俺は彼女の不服を分かっていながらも、敢えてそれを押さえつけるように至極不機嫌そうな顔で睨んで黙らせる。
いや、実際に俺、滅茶苦茶苛立ってるからな?
お前の態度に。
何で俺より鶴見を頼ろうとすんだよ?
俺の手を借りるのはそんなに嫌かよ?
***
ある種の膠着状態の中。
「おはようございます。皆さん何話していらっしゃるんです? 私も仲間に入れてくださいな」
ほわっとした物言いをしながら、俺の正面の席――鶴見の隣――に養護教諭の逢地撫子先生が座る。
「おはようございます」
各々に挨拶を交わしながら、思わず全員が逢地先生の動きを目で追っている。
彼女の登場で、流れが変わるだろうか?
そう期待して。
逢地先生は養護教諭の先生で、確か今年で28歳。――俺より2つ上だったか。
そこまで考えて、女性の年齢をいちいち覚えているとか、俺、結構イヤなやつかも?と思う。
こういうところが、音芽が俺に鶴見に見せるような人懐っこさを見せてくれないゆえんなんじゃないだろうか。
逢地先生、基本的には保健室にいるんだが、朝礼の時や職員会議の時などだけ、ここ二年部の島の一角に設けられた彼女用の席に着席する。
彼女は毎日、朝の学活後に俺たち担任が付けた、受け持ちクラスの児童らの出席簿をもとに、職員室入り口のホワイトボードに全クラスの児童らの欠席状況や遅刻状況などを書き込んでくれる。
それを見ると他クラスの状況も把握できて、学年主任としては結構ありがたかったりするのだ。
特にインフルエンザの時期なんかはそろそろこのクラスは学級閉鎖かも、とか目に見えるので、こっちも心の準備ができる。
インフルエンザの欠席者に関してはわざわざ文字色を変えて一目で分かるように書いてくれたりして……彼女の細やかな気遣いが有り難く思えたりするんだ。
職員室には一応、普段はよその部屋に常駐していて居ない、いわゆる専科の先生方の机もちゃんと配置されている。
そういう先生方の机は、俺たち低学年の担任が集められた島にあって、養護の逢地先生の他にも、学校図書館司書の伊佐美千鶴先生、音楽担当の日昔香澄先生の席などが集められている。
因みに通路を挟んだ向こうには中学年・高学年の先生方の机が固められていて、あちらには担任以外の教職員の席はない。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。



甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる