【R18】温和はオトメをもっと上手に愛したい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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ひどい男に徹する覚悟

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 風呂に二人きり、というシチュエーションはさすがに結構くるものがあるな。
 ソワソワとした音芽おとめの様子もその思いに拍車をかける。

 俺は努めて淡々と……そう、ある意味事務的に音芽に接することに徹しようと決めた。

 とりあえず浴槽のふちに腰掛けさせると、傷が見えるようにスカートを膝上まで上げるように指示を出す。
「あっ、あのっ、でも……ほら、それやっちゃうと……あれよ……その……」
 俺がなるべく意識しないように気を遣ってやってるというのに、音芽が照れたりするもんだから本当、やりづらい。

 しどろもどろで下着が見えるかもしれないじゃん?と訴えてくる音芽に、俺は内心ドギマギしながら
「パンダのパンツならとっくに見てる」
 と無愛想に返した。頼むからこれ以上言い募ってくれるな。
 なのに――。
「み、見られたからって……はいそうですかってまた見せるわけにはいかないんですけどっ! その、わたっ、私もっ、一応うら若き……おと……女性です……のでっ」
 って、そんなのお前より俺の方が分かってる。
 意識しすぎなんだよ、お前。
「遠慮なくうら若き乙女って言えばいいのに」
 思わず本音が漏れて、俺は意地悪く笑ってそれを誤魔化すと、「また俺にからかわれると思った? 自意識過剰」とか……さすがに感じ悪すぎたか。
 内心反省しつつも、それを言葉にできない俺は音芽にとって相当イヤな男だろうな。

「ほら、どうでもいいけどさっさとスカート上げろよ。濡れるぞ?」

 考えたら落ち込みそうだったので、シャワーヘッドを音芽おとめの足に向けながら、つっけんどんに言い放った。
 音芽が俺を見る視線が痛かったが、気づかないふりを決め込む。

「こ、これで満足ですか?」
 そんな俺の態度に、諦めたようにそう言って俺を睨みつける音芽。溜め息が出そうになった。
 俺はそれには答えずに、「――水、かけるぞ」と用件だけ告げた。

***

いったぁーーーーいっ!!」

 風呂場に、音芽の悲鳴が響き渡る。
 分かってる。傷口をゴシゴシこすられるとか、普通に考えて痛くないはずがない。

「ほら、じっとしてろ、動くなっ」

 それでも俺は、この傷口に砂の一粒だって残す気はないんだ。
 ギュッと音芽のすねを押さえつけて動きを封じると、シャワーの水を、傷口に結構な勢いで当てる。
 冷水を使っているのは、その方が少しばかり感覚が麻痺して痛みが和らぐから。けど、さすがに現状だとそんなの焼け石に水だよな。

 許せ、音芽。
 俺は心の中でつぶやきながら、淡々と作業を続けた。

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