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■あなたの名前はね
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「入院中にへその緒が取れて良かったですね」
助産師仲間の小野田さんが、松素材の小さな木箱に入ったへその緒を手渡してくれた。
木箱は、スタッフみんなからの出産祝いも兼ねているとかで、御神本レディースクリニックで普段使用されている無地のものより少しグレードが高いもので。
箱には、フタ側に生まれたばかりの時に撮ったうちの子の写真と生年月日、そうして『御神本 縁志』という名前が印字されていた。
裏返してみると、縁志の出生時の体重や身長などもプリントされていて。
「ありがとう! すっごく嬉しい!」
言ったら、「縁志くんのへその緒、花々里さんの入院中に取れなかったら空箱だけ渡すことになるトコでした~」とペロリと舌を出される。
それはそれで問題はないのだけれど、やっぱりフタを開けてみて、真っ白な脱脂綿の上に、貝ひものような我が子のへその緒が乗っかっているのはいいものだな、と自然口元がほころんだ。
「縁志くん、副医院長似ですよね」
生まれたばかりの頃は少し浮腫んでいて分かりづらかった顔つきも、生後5日が過ぎた今では、ハッキリとどこがどっち似というのが分かるようになっている。
「目元と爪の形だけは私なんだけど」
言ったら、「そこがアクセントになってていいんですよ~。絶対パパよりハンサムさんです」とにこやかに断言されてしまった。
私はベッドの中で眠る縁志の顔をまじまじと見下ろして、内心「う~ん、それはどうかなぁ」と思っていたりします。
だって、私にとってはやっぱり頼綱が世界で1番かっこいいんだもの。
縁志の顔は……そう、ただひたすらに〝可愛い〟。
「あ、いま花々里さん、『副医院長の方がカッコいいわっ♥』とか思ったりしました?」
途端見透かしたようにそう言われて、「はっ、ハートは付けてないからぁっ」と真っ赤になって小野田さんを見つめたら、「ですって! 良かったですね、副医院長先生♪」とカーテンの向こうに声を掛けられる。
私はそこで初めて、頼綱がすぐそこの死角に潜んでいたことを知った。
「入院中にへその緒が取れて良かったですね」
助産師仲間の小野田さんが、松素材の小さな木箱に入ったへその緒を手渡してくれた。
木箱は、スタッフみんなからの出産祝いも兼ねているとかで、御神本レディースクリニックで普段使用されている無地のものより少しグレードが高いもので。
箱には、フタ側に生まれたばかりの時に撮ったうちの子の写真と生年月日、そうして『御神本 縁志』という名前が印字されていた。
裏返してみると、縁志の出生時の体重や身長などもプリントされていて。
「ありがとう! すっごく嬉しい!」
言ったら、「縁志くんのへその緒、花々里さんの入院中に取れなかったら空箱だけ渡すことになるトコでした~」とペロリと舌を出される。
それはそれで問題はないのだけれど、やっぱりフタを開けてみて、真っ白な脱脂綿の上に、貝ひものような我が子のへその緒が乗っかっているのはいいものだな、と自然口元がほころんだ。
「縁志くん、副医院長似ですよね」
生まれたばかりの頃は少し浮腫んでいて分かりづらかった顔つきも、生後5日が過ぎた今では、ハッキリとどこがどっち似というのが分かるようになっている。
「目元と爪の形だけは私なんだけど」
言ったら、「そこがアクセントになってていいんですよ~。絶対パパよりハンサムさんです」とにこやかに断言されてしまった。
私はベッドの中で眠る縁志の顔をまじまじと見下ろして、内心「う~ん、それはどうかなぁ」と思っていたりします。
だって、私にとってはやっぱり頼綱が世界で1番かっこいいんだもの。
縁志の顔は……そう、ただひたすらに〝可愛い〟。
「あ、いま花々里さん、『副医院長の方がカッコいいわっ♥』とか思ったりしました?」
途端見透かしたようにそう言われて、「はっ、ハートは付けてないからぁっ」と真っ赤になって小野田さんを見つめたら、「ですって! 良かったですね、副医院長先生♪」とカーテンの向こうに声を掛けられる。
私はそこで初めて、頼綱がすぐそこの死角に潜んでいたことを知った。
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