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特典⑥『私あなたのここが好き♥』

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「たまには私の行きつけのお店に行こう?」

 いつも頼綱よりつなが連れて行ってくれるお店はちょっぴり高級で、庶民の私には敷居がお高め。

 たまには大衆的なお店もいいものよ?って教えてあげたくて、お昼時、私は頼綱の手を引っ張った。


花々里かがりの行きつけの店?」

 そんなものがあったのかね?と驚いている風なのが、ちょっぴり腹立たしい。

 でも、私にだってあるの。
 お母さんやお友達と何度か来たことのあるお店。

 頼綱よりつなが通うお店みたいに店主さんや女将おかみさんが挨拶をしてくれるような雰囲気じゃないし、沢山のバイトの人がシフト制で入れ替わるような所だから、店員さんあちらさまは私のことなんて覚えていないと思うけど。



***


「ジャジャーン! 全国チェーンのファミレス、ジョイジョイでーす!」

 私がナビに入れた通りに車を走らせてたどり着いたのは、日本全国どこに行っても店舗のあるファミリーレストラン『ジョイジョイ』。

 ランチセットならワンコインで食べられちゃうお店だよ?

「ファミレス?」

 レモン色の下地ベースに赤文字で『JOYJOY』と書かれた看板を見上げて頼綱がつぶやく。

「そう! 和食、洋食なんでもこーい!な上に、ランチタイムならワンコインで食事ができちゃうのっ」

 すごいでしょ?

 ニコッと笑って運転席の頼綱の太ももにそっと触れたら、頼綱が「それはすごいね」とつぶやいて。

「行こ?」

 私はそう言って頼綱をうながした。


 今日は日曜日。正午を過ぎているから、きっと結構人が多いと思う。
 下手したら、記名をして少し待たなきゃいけないかもね?


***


 お店に入ると、案の定店内はランチタイム目当ての人達でごった返していて。

 入り口入ってすぐのところに置かれた紙に片仮名で「ミキモト」と書きながらチェックしたら、私たちの前に4組が待っていた。


大盛況だいせいきょうだね」

 頼綱よりつなが感心したようにそうつぶやいて、私は「これでも少ない方かも?」と返す。

「予約すればこんなに待つ必要ないんじゃないのかね?」

 頼綱らしい言葉に、私はクスッと笑う。

ファミレスこう言うお店には基本的にそう言うシステムはないの。早く来た順だよ?」

 言ったら、心底驚いた顔をされた。
 
 さすが頼綱。ファミレスは初体験だったか。

 頼綱にはいつも私の初めてをさらわれてばかりなので、何だかちょっぴり嬉しい。

「社会勉強の一環だね」

 ニコッと笑ったら、頼綱が「そうだね」って表情を緩めて。
 私はその笑顔にドキッとしてしまう。


 ――もぉ! 何その表情かお! 反則だよ!
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