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■特典②『花々里の瓶詰め』
何に怒っているの?
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頼綱が用意してくれていたのは、デニム素材のノースリーブワンピースに、長袖ニットのボレロ。
ご丁寧に値札などのタグは全て取り外されていて、すぐに着られる状態になっていた。
多分お店でそうお願いして包んでもらったんだろうな、って思って。
つくづく至れり尽くせりだなぁって思って感心する。
でも、それだけにこれも何とかならなかったの?と無茶なことを思わずにはいられない。
くるぶしまであるフレアスカートと、厚手の生地のおかげで多分パッと見は問題ない……はず。
でも私も頼綱も知ってるもの。
いま私がこの服の下に、ブラもショーツも身につけていないって。
***
「あ、あの……」
鏡の前で何度もチェックしてみたけれど、ノーパン・ノーブラなんて絶対に分かりっこない。
そう思っていても、そのことを知られている頼綱の前に立つとなると、分かる分からないはまた別の話で。
モジモジしながら頼綱のそばに行ったら「下着つけてないの、分からないね」とか……わざわざ言わないでっ。
真っ赤な顔で頼綱を睨みつけたら、「まぁ、そう睨むなよ。第一今回下着を買わなかったの、ある意味意図的なんだから」って私をじっと見つめてくるの。
「え……?」
下着は買えなかったと謝ってきたのは嘘だったの?
男の人が女性ものの下着を買うのはハードルが高かったのかな、仕方ないよねって自分に言い聞かせていた私としてはそれ、聞き捨てならなくて。
思わず「酷いっ!」って抗議したら、「どっちが?」って右手首をギュッと掴まれた。
「痛いっ」
言ったけど無視されて。
そのことに頼綱の怒りを垣間見た気がして怖くなる。
「さて、僕が何に怒っているのか、と言う話だったよね。花々里、お風呂で答えは出せたかね?」
手首を捕まえられたまま、腰をグッと引き寄せられる。
そのままスカート越しに裸のお尻を撫でられて。
私は「ヤダッ、頼綱、やめてっ!」って泣きそうになりながら彼を見上げた。
「ねぇ、花々里。この可愛い口は憎まれ口しかきけないの?」
お尻を撫でていた手が、背中を這い上ってきて、後頭部から髪の毛を鷲掴んだのが分かる。
そのままギュッと髪の毛を引っ張られて上向かされたところで、深く口付けられた。
「ん、んっ」
私の口中を余すところなく舐め上げた頼綱が、
「今日は口の中、随分と甘いじゃないか。百花蜜の影響がまだ残っているのか……?」
言って、あからさまに不機嫌な顔をして舌打ちをするの。
こんな感情的な頼綱、私、見たこと……ない。
「頼綱、な、んで、そんな……」
怒ってるの?
自分で考えろって言われたけど、皆目見当がつかないよ。
じわりと涙に潤んだ瞳で頼綱を見上げたら、吐き捨てるように言われた。
「僕以外から簡単に餌付けされるとか……ありえないんだけど?」
いつもより明らかに低められた声音で告げられた言葉に、私は瞳を見開いた。
「何のために僕がキミに毎日旨いものを食わせてると思ってる? 誰かに手懐けられたくないからに決まってるよね?」
私は食べ物に弱くて簡単に釣られてしまうところがある。
それを、頼綱がそんな風に心配していたなんて思いもしなかった。
「……ごめ、なさ……」
思わず謝ったら、
「金輪際、俺以外からホイホイ食べ物をもらわないこと。――約束できるね?」
ギュッと抱きしめられて、そう言われた。
私はどんどん頼綱に絡め取られていっている自分を不安に思いながらも、小さくコクリとうなずいた。
これは利害の一致、だよね?
……一方的な享受じゃないから……だからきっと、失くならない、はず?
そう自分に言い聞かせながら。
END(2021/01/08-01/12)
ご丁寧に値札などのタグは全て取り外されていて、すぐに着られる状態になっていた。
多分お店でそうお願いして包んでもらったんだろうな、って思って。
つくづく至れり尽くせりだなぁって思って感心する。
でも、それだけにこれも何とかならなかったの?と無茶なことを思わずにはいられない。
くるぶしまであるフレアスカートと、厚手の生地のおかげで多分パッと見は問題ない……はず。
でも私も頼綱も知ってるもの。
いま私がこの服の下に、ブラもショーツも身につけていないって。
***
「あ、あの……」
鏡の前で何度もチェックしてみたけれど、ノーパン・ノーブラなんて絶対に分かりっこない。
そう思っていても、そのことを知られている頼綱の前に立つとなると、分かる分からないはまた別の話で。
モジモジしながら頼綱のそばに行ったら「下着つけてないの、分からないね」とか……わざわざ言わないでっ。
真っ赤な顔で頼綱を睨みつけたら、「まぁ、そう睨むなよ。第一今回下着を買わなかったの、ある意味意図的なんだから」って私をじっと見つめてくるの。
「え……?」
下着は買えなかったと謝ってきたのは嘘だったの?
男の人が女性ものの下着を買うのはハードルが高かったのかな、仕方ないよねって自分に言い聞かせていた私としてはそれ、聞き捨てならなくて。
思わず「酷いっ!」って抗議したら、「どっちが?」って右手首をギュッと掴まれた。
「痛いっ」
言ったけど無視されて。
そのことに頼綱の怒りを垣間見た気がして怖くなる。
「さて、僕が何に怒っているのか、と言う話だったよね。花々里、お風呂で答えは出せたかね?」
手首を捕まえられたまま、腰をグッと引き寄せられる。
そのままスカート越しに裸のお尻を撫でられて。
私は「ヤダッ、頼綱、やめてっ!」って泣きそうになりながら彼を見上げた。
「ねぇ、花々里。この可愛い口は憎まれ口しかきけないの?」
お尻を撫でていた手が、背中を這い上ってきて、後頭部から髪の毛を鷲掴んだのが分かる。
そのままギュッと髪の毛を引っ張られて上向かされたところで、深く口付けられた。
「ん、んっ」
私の口中を余すところなく舐め上げた頼綱が、
「今日は口の中、随分と甘いじゃないか。百花蜜の影響がまだ残っているのか……?」
言って、あからさまに不機嫌な顔をして舌打ちをするの。
こんな感情的な頼綱、私、見たこと……ない。
「頼綱、な、んで、そんな……」
怒ってるの?
自分で考えろって言われたけど、皆目見当がつかないよ。
じわりと涙に潤んだ瞳で頼綱を見上げたら、吐き捨てるように言われた。
「僕以外から簡単に餌付けされるとか……ありえないんだけど?」
いつもより明らかに低められた声音で告げられた言葉に、私は瞳を見開いた。
「何のために僕がキミに毎日旨いものを食わせてると思ってる? 誰かに手懐けられたくないからに決まってるよね?」
私は食べ物に弱くて簡単に釣られてしまうところがある。
それを、頼綱がそんな風に心配していたなんて思いもしなかった。
「……ごめ、なさ……」
思わず謝ったら、
「金輪際、俺以外からホイホイ食べ物をもらわないこと。――約束できるね?」
ギュッと抱きしめられて、そう言われた。
私はどんどん頼綱に絡め取られていっている自分を不安に思いながらも、小さくコクリとうなずいた。
これは利害の一致、だよね?
……一方的な享受じゃないから……だからきっと、失くならない、はず?
そう自分に言い聞かせながら。
END(2021/01/08-01/12)
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