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Epilogue
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「だからって……。何で私の悪阻、いつもいつも食べてないとダメなのぉぉぉぉ!?」
飴の甘さを舌の上で転がしながら言ったら、「食べられなくなって点滴しなきゃいけなくなるより、俺としては花々里らしいその悪阻の方がしっくりきて安心なんだがね」って頭をふんわり撫でられた。
「でもっ。頼綱も分かってると思うけど……初期にそんなに体重増やすわけにはいかないんだよっ?」
子豚ちゃんにまっしぐらの危機です! 由々しき事態です!と涙目で訴える私を、頼綱が「――もちろん対策は講じなきゃいけないけどね」って優しく抱きしめてくれる。
私の悪阻は、空腹になると吐き気がするタイプの、いわゆる「食べ悪阻」と呼ばれるもので、常に何かを食べていないとしんどいの。
だからと言って、もともと食いしん坊な私が、欲望の赴くままに何かを口にしちゃってたら体重計に載るのが恐ろしいことになってしまうのは火を見るよりも明らかで。
まさか、職場で食べ悪阻に苦しむ妊婦さんたちに偉そうにアドバイスしていたことを、自分自身が実践しなきゃいけなくなる日が来るなんて、私、思いもしなかった。
きっと、私のお腹の中の赤ちゃんは、私と長年連れ添ってきたお腹の虫同様、究極の食いしん坊さんに違いない。
お腹の中、食い意地の虫とちっちゃなちっちゃな赤ちゃんが、ミルクを酌み交わしながらおしゃぶり片手にどんちゃん騒ぎをしているのを想像してブルっと身震いしたら、頼綱が「何を想像したの?」って聞いてきて。
涙目で「私のお腹の中で腹ペコ虫と胎児がミルクで酒盛りしてるのっ」って訴えたら、変な顔をされてしまった。
「花々里が飲まなきゃ中の住人も酒盛りは出来ないと思うよ? ――っていうか、それ。そもそもミルクなの、酒なの? ねぇ花々里。まさかと思うけど、僕に内緒で飲酒とかしてないよね?」
突然私が支離滅裂なことを言ったりしたから、もしかして酔ってる?って疑われてしまったのかも?
「飲んでなんっ、……んん!」
飲んでなんかいないよ?って言おうとしたら、言葉半ばで頼綱に深く口付けられて。
まるでお酒を嗜んだりしていないことを確認するみたいに口の中を探られた上、「……甘い」とつぶやかれて「よしよし」と頭を撫でられた。
よ、頼綱の馬鹿っ。イメージの話だったのに、なに真に受けちゃってんのよ! びっくりしたじゃないっ。
照れ臭さにそわつく私をよそに、頼綱はケロリとした顔をして、「僕としてはご馳走出来る食いしん坊さんが増えるの、今から楽しみで堪らないんだけどね」って心底嬉しそうに私のお腹に触れてくるの。
頼綱めっ。
この子が育ち盛りになった時、エンゲル係数が跳ね上がってピィーピィー泣く羽目になっても知らないんだからね!?
村陰家直伝の食いしん坊遺伝子、舐めんなよーっ!?
飴の甘さを舌の上で転がしながら言ったら、「食べられなくなって点滴しなきゃいけなくなるより、俺としては花々里らしいその悪阻の方がしっくりきて安心なんだがね」って頭をふんわり撫でられた。
「でもっ。頼綱も分かってると思うけど……初期にそんなに体重増やすわけにはいかないんだよっ?」
子豚ちゃんにまっしぐらの危機です! 由々しき事態です!と涙目で訴える私を、頼綱が「――もちろん対策は講じなきゃいけないけどね」って優しく抱きしめてくれる。
私の悪阻は、空腹になると吐き気がするタイプの、いわゆる「食べ悪阻」と呼ばれるもので、常に何かを食べていないとしんどいの。
だからと言って、もともと食いしん坊な私が、欲望の赴くままに何かを口にしちゃってたら体重計に載るのが恐ろしいことになってしまうのは火を見るよりも明らかで。
まさか、職場で食べ悪阻に苦しむ妊婦さんたちに偉そうにアドバイスしていたことを、自分自身が実践しなきゃいけなくなる日が来るなんて、私、思いもしなかった。
きっと、私のお腹の中の赤ちゃんは、私と長年連れ添ってきたお腹の虫同様、究極の食いしん坊さんに違いない。
お腹の中、食い意地の虫とちっちゃなちっちゃな赤ちゃんが、ミルクを酌み交わしながらおしゃぶり片手にどんちゃん騒ぎをしているのを想像してブルっと身震いしたら、頼綱が「何を想像したの?」って聞いてきて。
涙目で「私のお腹の中で腹ペコ虫と胎児がミルクで酒盛りしてるのっ」って訴えたら、変な顔をされてしまった。
「花々里が飲まなきゃ中の住人も酒盛りは出来ないと思うよ? ――っていうか、それ。そもそもミルクなの、酒なの? ねぇ花々里。まさかと思うけど、僕に内緒で飲酒とかしてないよね?」
突然私が支離滅裂なことを言ったりしたから、もしかして酔ってる?って疑われてしまったのかも?
「飲んでなんっ、……んん!」
飲んでなんかいないよ?って言おうとしたら、言葉半ばで頼綱に深く口付けられて。
まるでお酒を嗜んだりしていないことを確認するみたいに口の中を探られた上、「……甘い」とつぶやかれて「よしよし」と頭を撫でられた。
よ、頼綱の馬鹿っ。イメージの話だったのに、なに真に受けちゃってんのよ! びっくりしたじゃないっ。
照れ臭さにそわつく私をよそに、頼綱はケロリとした顔をして、「僕としてはご馳走出来る食いしん坊さんが増えるの、今から楽しみで堪らないんだけどね」って心底嬉しそうに私のお腹に触れてくるの。
頼綱めっ。
この子が育ち盛りになった時、エンゲル係数が跳ね上がってピィーピィー泣く羽目になっても知らないんだからね!?
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