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私の本心、分かってますか?
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私が文学部を辞めて少しした頃、お母さんが無事退院。当初の予定通り御神本邸の一角を占める離れに移り住んできた。
同じ敷地内にいるんだし、何よりまだお母さん自身リハビリが必要な病み上がりの身体。
せめて身体が完全に回復するまでは母屋で一緒に暮らそう?って頼綱と一緒に誘ったんだけど。
お母さんは「新婚さんを邪魔するなんて野暮なことはしたくないし、何より気ままにひとり暮らしを満喫したいのよ」って首を縦に振ってくれなかった。
そればかりか、私や頼綱や八千代さんご夫妻が寝起きしている母屋と、木々などを挟んで隔絶されているところが気楽でいいのって笑うの。
そんな環境でなかったら、きっとここには厄介にはならなかったと思う、と言って気丈に振る舞う姿は、やはり私を女手ひとつでここまで育て上げてくれたお母さんらしいなって思えて。
でもその頑張り屋さんなところが今回の入院にも繋がったわけで。
あれこれ考えて不安になった私が「でもっ」って言い募ったら、「そんな風に花々里ちゃんがあんまり干渉するようなら、お母さんアパートを借りて出て行くわ」とか言うの。
それで結局、私はお母さんのことを気にしつつもそれ以上は口出し出来なくて一旦引き下がらざるを得なかった。
離れは、私たちがいつも出入りしている車庫近くの門とは別の門を有しているのもあって、近くにいるはずなのにお母さんの行動がほとんど見えないと言うのが実際のところ。
娘としては無理しがちなお母さんのことが心配でたまらないのに、お母さんは心配自体をして欲しくないというスタンスを貫くの。
頼綱は、「今までずっとひとりで花々里を育ててきた分、少し羽を伸ばされたいんじゃないかな?」って言うんだけど……そんなものなの?
「でも……」
何を言われてもどうしても納得がいかなくてうにゃうにゃと言い募る私に、「花々里が幸せでいてくれると思えるから、お母さんもキミを突っぱねることが出来るんじゃないのかね?」って頭をポンポンと叩かれた。
「お母さん……私やっぱり……」
それでもどうしても不安が拭えなくて、数日後ひとりで離れに出向いて眉根を寄せた私を、お母さんはなだめるように撫でながら、「花々里ちゃんが今一番気にしないといけないのは編入試験のことでしょう? それに受からないと頼綱くんも困るのよね? 私も、ご縁があった御神本レディースクリニックから産科がなくなるの、寂しいんだけどな?」と諌めてくるの。
「お母さんね、花々里ちゃんが大学を辞めてまで頼綱くんに寄り添いたいって言ってくれた時、実はすごくすごく嬉しかったのよ?」
私を突き放すように拒絶したのと同じ口で、そう言って私を抱きしめると、お母さんがつぶやくように続けた。
同じ敷地内にいるんだし、何よりまだお母さん自身リハビリが必要な病み上がりの身体。
せめて身体が完全に回復するまでは母屋で一緒に暮らそう?って頼綱と一緒に誘ったんだけど。
お母さんは「新婚さんを邪魔するなんて野暮なことはしたくないし、何より気ままにひとり暮らしを満喫したいのよ」って首を縦に振ってくれなかった。
そればかりか、私や頼綱や八千代さんご夫妻が寝起きしている母屋と、木々などを挟んで隔絶されているところが気楽でいいのって笑うの。
そんな環境でなかったら、きっとここには厄介にはならなかったと思う、と言って気丈に振る舞う姿は、やはり私を女手ひとつでここまで育て上げてくれたお母さんらしいなって思えて。
でもその頑張り屋さんなところが今回の入院にも繋がったわけで。
あれこれ考えて不安になった私が「でもっ」って言い募ったら、「そんな風に花々里ちゃんがあんまり干渉するようなら、お母さんアパートを借りて出て行くわ」とか言うの。
それで結局、私はお母さんのことを気にしつつもそれ以上は口出し出来なくて一旦引き下がらざるを得なかった。
離れは、私たちがいつも出入りしている車庫近くの門とは別の門を有しているのもあって、近くにいるはずなのにお母さんの行動がほとんど見えないと言うのが実際のところ。
娘としては無理しがちなお母さんのことが心配でたまらないのに、お母さんは心配自体をして欲しくないというスタンスを貫くの。
頼綱は、「今までずっとひとりで花々里を育ててきた分、少し羽を伸ばされたいんじゃないかな?」って言うんだけど……そんなものなの?
「でも……」
何を言われてもどうしても納得がいかなくてうにゃうにゃと言い募る私に、「花々里が幸せでいてくれると思えるから、お母さんもキミを突っぱねることが出来るんじゃないのかね?」って頭をポンポンと叩かれた。
「お母さん……私やっぱり……」
それでもどうしても不安が拭えなくて、数日後ひとりで離れに出向いて眉根を寄せた私を、お母さんはなだめるように撫でながら、「花々里ちゃんが今一番気にしないといけないのは編入試験のことでしょう? それに受からないと頼綱くんも困るのよね? 私も、ご縁があった御神本レディースクリニックから産科がなくなるの、寂しいんだけどな?」と諌めてくるの。
「お母さんね、花々里ちゃんが大学を辞めてまで頼綱くんに寄り添いたいって言ってくれた時、実はすごくすごく嬉しかったのよ?」
私を突き放すように拒絶したのと同じ口で、そう言って私を抱きしめると、お母さんがつぶやくように続けた。
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