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私にぴったりの?
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「こちらへどうぞ」
宝石店に入ると、店員さんがすぐさま奥に通してくださって、テーブルの上に少し大きめの白いリングケースを1つ置いてくださる。
あらかじめ中が見えるように蓋が開けられたそれを見て、「手にとっていいのかな?」ってドキドキしながら、何となくすぐ横に座る頼綱を見た。
「どうぞ、お手にとってご確認ください」
私の気持ちを察したみたいに店員さんがにっこり笑ってそう言ってくださって。
「遠慮せず見てご覧?」
頼綱にも優しく勧められた私は、恐る恐るリングケースに手を伸ばした。
まずは望月に見立てた石がキラリと光る、婚約指輪から。
リングの内側をそっと覗くと、注文通り「Y to K」の刻印。
それから何故か今日の日付。
――あれ? ここって入籍日を入れるって話だったような?
そう思った私だったけれど、入籍日がなかなか決まらないから納品に間に合わなくて、受取日を入れることにしたのかな?とか思って。
購入日だって、考えてみたらこの指輪を手にした記念日だもんね。
指輪なんてもらったことがないからよく分からないけれど、そんなこともあるのかしら、とか考える。
それよりも問題なのは、頼綱が店員さんとコソコソ話していた結婚指輪だ。
頼綱、私に内緒で店員さんに何を頼んだんだろう?
婚約指輪をリングケースに戻して、結婚指輪にそっと手を伸ばした私を見て、頼綱がクスッと笑ったのが見えた。
――な、なんで笑ったの?
頼綱の態度を不審に思いながらも指輪を手に取って内側を見て。
〝Bon appetite! Kagari〟
の文字を見て、最初「ボン アペチテ」って読んでから、違う、「ボナペティ」だって思って。けど、読めたところで「ボナペティって何だっけ?」と首をひねる。
「あの、これ、どういう意味……?」
聞いたことのある文言だけど、「愛してる」とかそんな意味の言葉だったかしら?
いや、でもなんか違う気が……。
うー、横文字苦手だから分かんないっ!
そんなことを考えながら恐る恐る頼綱を振り仰いだら、
「『Bon appetite! 花々里』って書いてあるんだよ? 食事を楽しんで、とかたくさん召し上がれ、って取ってもらっても構わないけどね」
ってにっこり笑うの。
「どうぞ召し……あ……?」
えっ!?
キョトンとする私に、頼綱が「俺としてはたくさん召し上がれ、って気持ちで入れたかな?」って繰り返して。
――なっ、何でそんな文言を結婚指輪に!?
って思った私だけれど、「僕はね、花々里。キミに美味しいものをたくさん食べさせるのが自分の使命だと思ってるから」って凄く幸せそうに微笑まれて何も言えなくなってしまう。
そうしておいて、「もうひとつの細工にも気付いて欲しいんだがね?」って催促してくるの。
「こちらへどうぞ」
宝石店に入ると、店員さんがすぐさま奥に通してくださって、テーブルの上に少し大きめの白いリングケースを1つ置いてくださる。
あらかじめ中が見えるように蓋が開けられたそれを見て、「手にとっていいのかな?」ってドキドキしながら、何となくすぐ横に座る頼綱を見た。
「どうぞ、お手にとってご確認ください」
私の気持ちを察したみたいに店員さんがにっこり笑ってそう言ってくださって。
「遠慮せず見てご覧?」
頼綱にも優しく勧められた私は、恐る恐るリングケースに手を伸ばした。
まずは望月に見立てた石がキラリと光る、婚約指輪から。
リングの内側をそっと覗くと、注文通り「Y to K」の刻印。
それから何故か今日の日付。
――あれ? ここって入籍日を入れるって話だったような?
そう思った私だったけれど、入籍日がなかなか決まらないから納品に間に合わなくて、受取日を入れることにしたのかな?とか思って。
購入日だって、考えてみたらこの指輪を手にした記念日だもんね。
指輪なんてもらったことがないからよく分からないけれど、そんなこともあるのかしら、とか考える。
それよりも問題なのは、頼綱が店員さんとコソコソ話していた結婚指輪だ。
頼綱、私に内緒で店員さんに何を頼んだんだろう?
婚約指輪をリングケースに戻して、結婚指輪にそっと手を伸ばした私を見て、頼綱がクスッと笑ったのが見えた。
――な、なんで笑ったの?
頼綱の態度を不審に思いながらも指輪を手に取って内側を見て。
〝Bon appetite! Kagari〟
の文字を見て、最初「ボン アペチテ」って読んでから、違う、「ボナペティ」だって思って。けど、読めたところで「ボナペティって何だっけ?」と首をひねる。
「あの、これ、どういう意味……?」
聞いたことのある文言だけど、「愛してる」とかそんな意味の言葉だったかしら?
いや、でもなんか違う気が……。
うー、横文字苦手だから分かんないっ!
そんなことを考えながら恐る恐る頼綱を振り仰いだら、
「『Bon appetite! 花々里』って書いてあるんだよ? 食事を楽しんで、とかたくさん召し上がれ、って取ってもらっても構わないけどね」
ってにっこり笑うの。
「どうぞ召し……あ……?」
えっ!?
キョトンとする私に、頼綱が「俺としてはたくさん召し上がれ、って気持ちで入れたかな?」って繰り返して。
――なっ、何でそんな文言を結婚指輪に!?
って思った私だけれど、「僕はね、花々里。キミに美味しいものをたくさん食べさせるのが自分の使命だと思ってるから」って凄く幸せそうに微笑まれて何も言えなくなってしまう。
そうしておいて、「もうひとつの細工にも気付いて欲しいんだがね?」って催促してくるの。
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