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初めての気持ち
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何だかよく分からないけど凄く嫌!って言うのは分かって。
だから私、頼綱にはこういうところでこんなことをするの、もう少しペースダウンしていただけたら有難いな、と思ったりするのです。
――そう、せめて人前でだけでもいいから目立たないよう大人しくしていて欲しい。
そうすればきっと、こんな目で貴方のこと、他の女性が見つめること、なくなるから。
そこまで考えて、
――ん? ちょっと待って。何……それ。
って自分の気持ちにソワソワする。
頼綱は、控え目に言っても頭脳明晰容姿端麗。
別に職業が明記された札をつけて歩いているわけじゃないからパッと見には分かんないけれど、お医者様の卵――産婦人科医を目指していると言うのはマイナスポイントかもしれないけれど――で、ご実家が結構な資産家のご様子。
オマケにこんなモテそうな容姿のくせに、この子と決めた女の子以外には目もくれず、胃もたれしちゃいそうなくらいの甘々溺愛モード。
私はそう言うのをすっ飛ばして頼綱が美味しいものを食べさせてくれるところにほだされたのだけれど、一般的な女性ならきっと、目がハートになっちゃうところが多々ある有料物件なんだと思う。
そんな頼綱だから。
今までは私、気づけなかったけれど、今日婚約者として彼の横に並んでいて、めちゃくちゃ自覚させられたの。
――頼綱は、かなり女性の目を引く容姿をしているみたいです!
話したら口調が独特でちょっぴり取っ付きにくいところがあるから、そういうのをマイナス評価と見なして離れていく子もいるかもしれない。
でも、もしかしたら逆にそこがクールで良いという子だっているかもって思うの。
現に私は頼綱のちょっぴり古風な物言いが嫌いじゃないし。
そう思った途端――。
私、今すぐにでも頼綱の腕をグイッと引っ張って、綺麗に整えられた髪の毛をグシャグシャにかき乱して、ビシッと着こなしたスーツをしわくちゃにしてやりたくなった。
「――有難う。そんな風に言っていただけて嬉しいよ」
彼女さんを溺愛しているところが素敵だと、綺麗な店員さんから熱い視線を向けられた頼綱が、どこか得意そうにそう言って微笑んで。
それを見た瞬間、私の中で何かがプチッと弾けた。
「頼綱っ!」
気が付いたら私、頼綱のスーツの裾をギュッと引っ張って頼綱を睨みつけていた。
だって、頼綱が私以外に笑いかけてるのを見るの、何だか凄く凄く嫌だったんだもん。
生まれて初めて感じたこのモヤモヤは……とっても気持ち悪くて落ち着かない。
ぐちゃぐちゃに感情がかき乱されているのを隠せないまま、頼綱を見上げた視界が涙でうるりと滲んだ。
だから私、頼綱にはこういうところでこんなことをするの、もう少しペースダウンしていただけたら有難いな、と思ったりするのです。
――そう、せめて人前でだけでもいいから目立たないよう大人しくしていて欲しい。
そうすればきっと、こんな目で貴方のこと、他の女性が見つめること、なくなるから。
そこまで考えて、
――ん? ちょっと待って。何……それ。
って自分の気持ちにソワソワする。
頼綱は、控え目に言っても頭脳明晰容姿端麗。
別に職業が明記された札をつけて歩いているわけじゃないからパッと見には分かんないけれど、お医者様の卵――産婦人科医を目指していると言うのはマイナスポイントかもしれないけれど――で、ご実家が結構な資産家のご様子。
オマケにこんなモテそうな容姿のくせに、この子と決めた女の子以外には目もくれず、胃もたれしちゃいそうなくらいの甘々溺愛モード。
私はそう言うのをすっ飛ばして頼綱が美味しいものを食べさせてくれるところにほだされたのだけれど、一般的な女性ならきっと、目がハートになっちゃうところが多々ある有料物件なんだと思う。
そんな頼綱だから。
今までは私、気づけなかったけれど、今日婚約者として彼の横に並んでいて、めちゃくちゃ自覚させられたの。
――頼綱は、かなり女性の目を引く容姿をしているみたいです!
話したら口調が独特でちょっぴり取っ付きにくいところがあるから、そういうのをマイナス評価と見なして離れていく子もいるかもしれない。
でも、もしかしたら逆にそこがクールで良いという子だっているかもって思うの。
現に私は頼綱のちょっぴり古風な物言いが嫌いじゃないし。
そう思った途端――。
私、今すぐにでも頼綱の腕をグイッと引っ張って、綺麗に整えられた髪の毛をグシャグシャにかき乱して、ビシッと着こなしたスーツをしわくちゃにしてやりたくなった。
「――有難う。そんな風に言っていただけて嬉しいよ」
彼女さんを溺愛しているところが素敵だと、綺麗な店員さんから熱い視線を向けられた頼綱が、どこか得意そうにそう言って微笑んで。
それを見た瞬間、私の中で何かがプチッと弾けた。
「頼綱っ!」
気が付いたら私、頼綱のスーツの裾をギュッと引っ張って頼綱を睨みつけていた。
だって、頼綱が私以外に笑いかけてるのを見るの、何だか凄く凄く嫌だったんだもん。
生まれて初めて感じたこのモヤモヤは……とっても気持ち悪くて落ち着かない。
ぐちゃぐちゃに感情がかき乱されているのを隠せないまま、頼綱を見上げた視界が涙でうるりと滲んだ。
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