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初めての気持ち
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何だか、私が今ここで「うん」って言ったら、即購入になりそうだなって思って……。
肯定していいものか凄く迷ったけれど、どうせ躊躇ったところで、他を勧められるだけなんだろうなってすぐに思い直して、素直にうなずくことにした。
頼綱はそんな私に満足そうに微笑むと、間髪入れずに今度は結婚指輪を提案してくるの。
「その婚約指輪に重ね付けにする結婚指輪は、水鏡をイメージしたというこの流線型のリングが合うと思うんだ」
そう頼綱が言って、ジュエリートレイの中から鏡面みたいにピカピカした柔らかいラインのひとつを指さした。
「ハードプラチナ製だからしっかりしてるしシンプルでも綺麗だろう? 同じシリーズに、小さな石がいくつか散りばめられたデザインもあるんだけど……花々里はきっと石なしを選ぶよね?」
聞かれて、よくお分かりですね、頼綱さん!と思う。
水鏡リングには男性用もあって、頼綱とお揃いになるのはそちらの指輪らしい。
雲間からのぞく、満月を移す水鏡。
なんだかロマンチックで素敵だな、と思った私だったけれど。
頼綱のリングも、自分が付けるものに左右されるとなるとどうしても言わずにはいられない――。
「あの……頼綱は……私が選んだので……いいの?」
そわそわしながら問えば、「むしろキミが選んだのがいいんだよ」と、ギュッと手を握られる。
ヒッ。
頼綱さんっ。
こんなところでそんな甘々なオーラ出さないでくださいっ!
て、店員さんの目が気になりますっ!
戸惑う私を知らぬげに、私の手をにぎにぎしたまま頼綱が続ける。
「この2つのデザインなら、婚約指輪も結婚指輪もどちらも問題なく重ね付け出来て、花々里をより独占できている感じがすると思わないかね? ――考えただけで、俺はすごく嬉しいんだけど」
ちょっ、そこで私の反応を窺うように上目遣いとか……。
わーん、頼綱さんっ!
そんなド・ストレートな恥ずかしい告白を、店員さんの前でやらかさないでくださいっ!
私だけじゃなく、何故か店員さんまで照れて赤くなってしまわれたじゃないですかぁ~っ!
「彼女さんは彼氏さんに、とってもとっても愛されていらっしゃるんですね」
挙げ句、店員さんってば何故か頼綱に熱い視線をチラチラ投げかけながら、ちょっぴり羨ましそうにそう仰って。
頼綱がそんな目を向けられたことに私、何だかよく分からないけど凄くモヤモヤして……胸の奥がチクチクと痛んだ。
――何だろう、コレ。私、こんな変な気持ち、初めてだよぅ。
肯定していいものか凄く迷ったけれど、どうせ躊躇ったところで、他を勧められるだけなんだろうなってすぐに思い直して、素直にうなずくことにした。
頼綱はそんな私に満足そうに微笑むと、間髪入れずに今度は結婚指輪を提案してくるの。
「その婚約指輪に重ね付けにする結婚指輪は、水鏡をイメージしたというこの流線型のリングが合うと思うんだ」
そう頼綱が言って、ジュエリートレイの中から鏡面みたいにピカピカした柔らかいラインのひとつを指さした。
「ハードプラチナ製だからしっかりしてるしシンプルでも綺麗だろう? 同じシリーズに、小さな石がいくつか散りばめられたデザインもあるんだけど……花々里はきっと石なしを選ぶよね?」
聞かれて、よくお分かりですね、頼綱さん!と思う。
水鏡リングには男性用もあって、頼綱とお揃いになるのはそちらの指輪らしい。
雲間からのぞく、満月を移す水鏡。
なんだかロマンチックで素敵だな、と思った私だったけれど。
頼綱のリングも、自分が付けるものに左右されるとなるとどうしても言わずにはいられない――。
「あの……頼綱は……私が選んだので……いいの?」
そわそわしながら問えば、「むしろキミが選んだのがいいんだよ」と、ギュッと手を握られる。
ヒッ。
頼綱さんっ。
こんなところでそんな甘々なオーラ出さないでくださいっ!
て、店員さんの目が気になりますっ!
戸惑う私を知らぬげに、私の手をにぎにぎしたまま頼綱が続ける。
「この2つのデザインなら、婚約指輪も結婚指輪もどちらも問題なく重ね付け出来て、花々里をより独占できている感じがすると思わないかね? ――考えただけで、俺はすごく嬉しいんだけど」
ちょっ、そこで私の反応を窺うように上目遣いとか……。
わーん、頼綱さんっ!
そんなド・ストレートな恥ずかしい告白を、店員さんの前でやらかさないでくださいっ!
私だけじゃなく、何故か店員さんまで照れて赤くなってしまわれたじゃないですかぁ~っ!
「彼女さんは彼氏さんに、とってもとっても愛されていらっしゃるんですね」
挙げ句、店員さんってば何故か頼綱に熱い視線をチラチラ投げかけながら、ちょっぴり羨ましそうにそう仰って。
頼綱がそんな目を向けられたことに私、何だかよく分からないけど凄くモヤモヤして……胸の奥がチクチクと痛んだ。
――何だろう、コレ。私、こんな変な気持ち、初めてだよぅ。
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