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この味、覚えてる!
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幸い、アレコレ思い悩んでいた割に、お昼に八千代さんお手製のお弁当に舌鼓を打って、お腹が一杯になったら、私、割とすんなり眠りに落ちることができて。
まさに食っちゃ寝を素でいってしまったのだけれど、カーテンの隙間から西日が差し込んできて顔を照らす気配で目が覚めたら、恐ろしいことに17時を過ぎていた。
食べたのは正午過ぎだったから、実に4時間以上寝ていたみたい!
食べてすぐに寝たら牛になるよ?って言うのはよく聞く言葉だけど、いまの私は豚さんになるのが怖くて堪りません!
あ、でもでも私ね、キャラメルは手をつけずにおけたの、自分で自分を褒めてあげたいっ!
頼綱にも食べさせてあげたいって気持ちが、お腹の虫を調伏したのよ!?
すごくない?
布団の中、机に置いたままのキャラメルの箱を眺めて「よし!」とガッツポーズのつもりで拳を握ったら、お腹の虫が不満そうに「ぐぅー!」と鳴った。
ダメダメ!
今はまだ食べさせてあげないんだからね?
あと数時間もしたら頼綱が帰ってくると思ったら、ソワソワとワクワクが止まらなくて口の中に生唾が浮いてきた。
あ。違う、生唾は間違い! 頼綱は食べ物じゃないっ!
――キャラメルから一旦、思考を切り離さなきゃ!
結局そこからは私、布団の中で右に左にゴロゴロゴロゴロ転がりながら、甘い甘い味に思いを馳せながら過ごしたの。
八千代さんの手作りキャラメルってば、ホント手強いんだもん!
***
「花々里、帰ったよ。ちゃんと良い子にしていたかね?」
頼綱は仕事から帰って手洗い・うがいをするや否や、着替えなどそっちのけですぐに私の部屋へ様子を見にきてくれた。
「お帰りなさい、頼綱っ!」
にっこり笑って言ったら、
「体調は?」
心配そうに聞かれて、私は心配ない旨をガッツポーズをして懸命に表した。
鞄を自室に置いてきてすらいない頼綱に、愛しさが込み上げて、ギュッと抱きつきたい衝動を身振り手振りに転嫁したともいう。
しっかり眠ったお陰で、頭痛はすっかり治まっていて、頼綱を認めるなり布団に身体を起こしたけれど何ともなかったから。
そのことにホッとしつつ、私はずっと気になっていたことを口にせずにはいられないの。
「疲れたでしょう? 一緒にキャラメル食べよう!?」
ってちょっと待って。
違う、そうじゃない。
「あ、あのね、キャラメルも大事なんだけど。私、頼綱にひとつだけ教えて欲しい事があるの。えっと……長くなるかもだし……甘いの食べながら話そう?」
幸い、アレコレ思い悩んでいた割に、お昼に八千代さんお手製のお弁当に舌鼓を打って、お腹が一杯になったら、私、割とすんなり眠りに落ちることができて。
まさに食っちゃ寝を素でいってしまったのだけれど、カーテンの隙間から西日が差し込んできて顔を照らす気配で目が覚めたら、恐ろしいことに17時を過ぎていた。
食べたのは正午過ぎだったから、実に4時間以上寝ていたみたい!
食べてすぐに寝たら牛になるよ?って言うのはよく聞く言葉だけど、いまの私は豚さんになるのが怖くて堪りません!
あ、でもでも私ね、キャラメルは手をつけずにおけたの、自分で自分を褒めてあげたいっ!
頼綱にも食べさせてあげたいって気持ちが、お腹の虫を調伏したのよ!?
すごくない?
布団の中、机に置いたままのキャラメルの箱を眺めて「よし!」とガッツポーズのつもりで拳を握ったら、お腹の虫が不満そうに「ぐぅー!」と鳴った。
ダメダメ!
今はまだ食べさせてあげないんだからね?
あと数時間もしたら頼綱が帰ってくると思ったら、ソワソワとワクワクが止まらなくて口の中に生唾が浮いてきた。
あ。違う、生唾は間違い! 頼綱は食べ物じゃないっ!
――キャラメルから一旦、思考を切り離さなきゃ!
結局そこからは私、布団の中で右に左にゴロゴロゴロゴロ転がりながら、甘い甘い味に思いを馳せながら過ごしたの。
八千代さんの手作りキャラメルってば、ホント手強いんだもん!
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「花々里、帰ったよ。ちゃんと良い子にしていたかね?」
頼綱は仕事から帰って手洗い・うがいをするや否や、着替えなどそっちのけですぐに私の部屋へ様子を見にきてくれた。
「お帰りなさい、頼綱っ!」
にっこり笑って言ったら、
「体調は?」
心配そうに聞かれて、私は心配ない旨をガッツポーズをして懸命に表した。
鞄を自室に置いてきてすらいない頼綱に、愛しさが込み上げて、ギュッと抱きつきたい衝動を身振り手振りに転嫁したともいう。
しっかり眠ったお陰で、頭痛はすっかり治まっていて、頼綱を認めるなり布団に身体を起こしたけれど何ともなかったから。
そのことにホッとしつつ、私はずっと気になっていたことを口にせずにはいられないの。
「疲れたでしょう? 一緒にキャラメル食べよう!?」
ってちょっと待って。
違う、そうじゃない。
「あ、あのね、キャラメルも大事なんだけど。私、頼綱にひとつだけ教えて欲しい事があるの。えっと……長くなるかもだし……甘いの食べながら話そう?」
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