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眠れないのは誰のせい?
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「さて花々里。謝罪の代わりに、僕からキミに何らかの要求を突き付けても構わないよね?」
簀巻きにされた――実際には自分でやったんだけど――状態のまま、何とか彼の手中から逃れようとクネクネと悶える私に、頼綱がこれ以上ないくらいににっこりと微笑みかけてきた。
ひぃー!
その笑顔、「僕」口調でされるとめちゃくちゃ怖いですっ!!
「な、な、な、何をっ」
私は今からご主人様にどんなひどい折檻をされるのでしょうか!?
不測の事態に備えて何とか手だけでも出したいのに、頼綱はそれを許さないみたいに、毛布ごと私の身体をぎゅっと抱きしめてきて。
それはまるで「逃がさないよ?」と圧を掛けられているようで、ますます怖い。
「ねぇ花々里。うちに居候しているとか、俺に雇われている身だとか、そういうのを全て抜きにして正直に答えて欲しいんだけど」
いいね?と視線だけで念押しされて、私は蛇に睨まれた蛙みたいに射すくめられてしまう。
頼綱、何てかっこいいんだろう。
オールバックでバッチリ髪の毛を整えている頼綱も隙がなくて見栄えがするけれど、今みたいに無造作に下ろし髪にしている彼は堪らなく色気があって素敵だ。
そんな整った顔で、前髪越し、真剣に私の顔を見つめてくるなんて……ずるい。
私、その目には逆らえそうにないよ。
観念したように小さくうなずくと、途端、頼綱が何故か緊張したように居住まいを正した。
「頼、綱……?」
その様子にこちらまで気持ちが張り詰めてくるようで。
恐る恐る彼の名前を呼んで、頼綱を不安いっぱいになりながら見上げたら、彼はそんな私をじっと見下ろしてきて。
いつもより更に低い声音で囁くように問い掛けてきた。
「その、――俺のこと、男として好き…………になれそうか?」
明らかに、「好き」と「なれそうか?」の間に不自然な間があった。
いつも自信満々な、どこか傲慢にすら感じさせられる大人の男性なイメージの頼綱がっ。
私みたいな小娘相手に、「好きか?」と聞けずに不安そうに言葉を濁してしまったことに、どうしようもなくキュン、とさせられてしまう。
「……ご、ごめんなさいっ」
プレッシャーに耐えきれなくて、思わず顔を横向けて小さくつぶやいたら、頼綱が一瞬私を抱く腕に痛いくらいに力を込めたのが分かった。
「……そうか。ここまできても脈なしか……」
直後、ぽつんと頼綱がそうこぼしたのを聞いて、私は慌ててフルフルと首を横に振る。
「ち、違う!」
私、貴方にそんな悲しそうな顔をさせたかったわけじゃない!
「頼綱、最後まで聞いて!」
気がつくと、私はぐるぐる巻きにされたまま必死に身体をじたばたさせていた。
簀巻きにされた――実際には自分でやったんだけど――状態のまま、何とか彼の手中から逃れようとクネクネと悶える私に、頼綱がこれ以上ないくらいににっこりと微笑みかけてきた。
ひぃー!
その笑顔、「僕」口調でされるとめちゃくちゃ怖いですっ!!
「な、な、な、何をっ」
私は今からご主人様にどんなひどい折檻をされるのでしょうか!?
不測の事態に備えて何とか手だけでも出したいのに、頼綱はそれを許さないみたいに、毛布ごと私の身体をぎゅっと抱きしめてきて。
それはまるで「逃がさないよ?」と圧を掛けられているようで、ますます怖い。
「ねぇ花々里。うちに居候しているとか、俺に雇われている身だとか、そういうのを全て抜きにして正直に答えて欲しいんだけど」
いいね?と視線だけで念押しされて、私は蛇に睨まれた蛙みたいに射すくめられてしまう。
頼綱、何てかっこいいんだろう。
オールバックでバッチリ髪の毛を整えている頼綱も隙がなくて見栄えがするけれど、今みたいに無造作に下ろし髪にしている彼は堪らなく色気があって素敵だ。
そんな整った顔で、前髪越し、真剣に私の顔を見つめてくるなんて……ずるい。
私、その目には逆らえそうにないよ。
観念したように小さくうなずくと、途端、頼綱が何故か緊張したように居住まいを正した。
「頼、綱……?」
その様子にこちらまで気持ちが張り詰めてくるようで。
恐る恐る彼の名前を呼んで、頼綱を不安いっぱいになりながら見上げたら、彼はそんな私をじっと見下ろしてきて。
いつもより更に低い声音で囁くように問い掛けてきた。
「その、――俺のこと、男として好き…………になれそうか?」
明らかに、「好き」と「なれそうか?」の間に不自然な間があった。
いつも自信満々な、どこか傲慢にすら感じさせられる大人の男性なイメージの頼綱がっ。
私みたいな小娘相手に、「好きか?」と聞けずに不安そうに言葉を濁してしまったことに、どうしようもなくキュン、とさせられてしまう。
「……ご、ごめんなさいっ」
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「……そうか。ここまできても脈なしか……」
直後、ぽつんと頼綱がそうこぼしたのを聞いて、私は慌ててフルフルと首を横に振る。
「ち、違う!」
私、貴方にそんな悲しそうな顔をさせたかったわけじゃない!
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気がつくと、私はぐるぐる巻きにされたまま必死に身体をじたばたさせていた。
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