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わーん、ごめんなさいっ!
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「そんなにくるまらなきゃいけないほど寒いのかね? まさか……悪寒がしてるとかじゃないよね?」
その様を見て、頼綱が心配そうに眉根を寄せておでこに触れてこようとする。
私は慌ててのけぞって、布団にくるまったまま、またしてもベッドに倒れ込んでしまった。
ただし、今度は仰向けに――。
「花々里、キミはさっきから何をしているの?」
途端頼綱にクスクス笑われてしまって、私はぷうっと唇をとがらせた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
小さく文句を言いながら起きあがろうとして、巻きつけた布団のせいで手が出せなくてモタモタしてしまう。
きっと今の私、さながらベッドに転がったイモ虫だ。
と――。
「ひゃあっ」
結局見かねた頼綱にぐるぐる巻きのまま抱き上げられてしまった私は、そのまま彼の膝の上に横抱きに抱き抱えられてしまう。
「あ、あのっ」
手も足も出ないとはまさに今の私の状態を言うんだと思う。
これ、簀巻きにされた感じになってますよね?
布団にガッチリと両腕をホールドされて、さっき自分で巻きつけた時はここまでじゃ無かったのに、と思いながら頼綱を見上げたら、意味深に瞳を細められた。
「さて、では早速これについて説明してもらおうかな」
頼綱はベッドに転がった時に投げ出されたままになっていた私のスマートフォンを手に取ると、私に画面を見せるようにして――。
頼綱に抱かれた私に向けられた画面は、当然頼綱からもよく見える角度だと思う。
ピロロロピロロロ……。
と、私のスマートフォンの画面がパッと明るくなるや否や着信音が鳴り響いて、それが頼綱からの着信だと知った私は、瞳を見開いた。
ああ、まずいです、これ!
非常にまずいです!
お願い、頼綱。今、私の携帯の画面、見ないでっ。
思ったけれどそんな願い、聞き届けられるわけないの。
「ねぇ、花々里。〝給食当番〟って何だろうね? 僕は確かキミの携帯には自分の番号、〝御神本頼綱〟で登録したと思うんだけど」
あーん、この感じっ。
絶対今気付いたんじゃありませんよね!?
そこで私、頼綱がdoconoショップで私のスマートフォンを操作していて微妙な表情をしたことを思い出した。
あの時だ!
あの時にはもう気付かれてたんだっ。
なのに今まで言わずにいてこのタイミングで……。
しかも私をぐるぐる巻きにして逃げられないようにしておいてから責めてくるとか……。
絶対計画的犯行ですよねっ!?
これ、絶対に逃げられないやつ!
「わーん、ごめんなさいっ! ほんの出来心なんですぅ~っ!」
今、もしも手足が自由だったなら、私はスタコラサッサとこの場を後にしていたと思います。
逃げられないのが、めちゃくちゃ怖いですっ。
その様を見て、頼綱が心配そうに眉根を寄せておでこに触れてこようとする。
私は慌ててのけぞって、布団にくるまったまま、またしてもベッドに倒れ込んでしまった。
ただし、今度は仰向けに――。
「花々里、キミはさっきから何をしているの?」
途端頼綱にクスクス笑われてしまって、私はぷうっと唇をとがらせた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
小さく文句を言いながら起きあがろうとして、巻きつけた布団のせいで手が出せなくてモタモタしてしまう。
きっと今の私、さながらベッドに転がったイモ虫だ。
と――。
「ひゃあっ」
結局見かねた頼綱にぐるぐる巻きのまま抱き上げられてしまった私は、そのまま彼の膝の上に横抱きに抱き抱えられてしまう。
「あ、あのっ」
手も足も出ないとはまさに今の私の状態を言うんだと思う。
これ、簀巻きにされた感じになってますよね?
布団にガッチリと両腕をホールドされて、さっき自分で巻きつけた時はここまでじゃ無かったのに、と思いながら頼綱を見上げたら、意味深に瞳を細められた。
「さて、では早速これについて説明してもらおうかな」
頼綱はベッドに転がった時に投げ出されたままになっていた私のスマートフォンを手に取ると、私に画面を見せるようにして――。
頼綱に抱かれた私に向けられた画面は、当然頼綱からもよく見える角度だと思う。
ピロロロピロロロ……。
と、私のスマートフォンの画面がパッと明るくなるや否や着信音が鳴り響いて、それが頼綱からの着信だと知った私は、瞳を見開いた。
ああ、まずいです、これ!
非常にまずいです!
お願い、頼綱。今、私の携帯の画面、見ないでっ。
思ったけれどそんな願い、聞き届けられるわけないの。
「ねぇ、花々里。〝給食当番〟って何だろうね? 僕は確かキミの携帯には自分の番号、〝御神本頼綱〟で登録したと思うんだけど」
あーん、この感じっ。
絶対今気付いたんじゃありませんよね!?
そこで私、頼綱がdoconoショップで私のスマートフォンを操作していて微妙な表情をしたことを思い出した。
あの時だ!
あの時にはもう気付かれてたんだっ。
なのに今まで言わずにいてこのタイミングで……。
しかも私をぐるぐる巻きにして逃げられないようにしておいてから責めてくるとか……。
絶対計画的犯行ですよねっ!?
これ、絶対に逃げられないやつ!
「わーん、ごめんなさいっ! ほんの出来心なんですぅ~っ!」
今、もしも手足が自由だったなら、私はスタコラサッサとこの場を後にしていたと思います。
逃げられないのが、めちゃくちゃ怖いですっ。
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