163 / 317
可愛くてたまらない
1
しおりを挟む
【side:Yoritsuna Mikimoto】
鳥飼の携帯から花々里を名乗るメッセージが届いたとき、俺は何かの間違いだろうか?と思ったんだ。
でも、半信半疑でロビーに出向いてみたら、メッセージの内容そのままにあの子がそこにいて。
本当は大学はどうしたんだい?とか、何故鳥飼と?とか……言いたいことは山ほどあったんだ。
けれど花々里の顔を見た途端、全てがどうでもいいことのように吹き飛んでしまった。
そのぐらい、花々里がわざわざ俺に会いに来てくれたこと、また何時間も待ち続けてくれていたことがグッと心に響いて。
一切合切を不問にふして、俺は思わず「昼は食べたかい?」と問い掛けていた。
俺にとっては昼食の時間が14時を過ぎたりなんてことはざらだけれど、食いしん坊な花々里をそれに付き合わせてしまったかもと思ったら、にわかに不安になったんだ。
だけど幸いあの子の優秀なお腹の虫は宿主にそんな我慢をさせなかったらしい。
花々里がフルフルと首を横に振りながら、昼食は先に済ませたと言った時、俺は心底ホッとしたんだ。
なのに当の花々里は何故かそのことをすごく申し訳なく思っているようで。
別に気にする必要なんてないと言おうとしたら、「マテができませんでした」とか続けてくるから、思わずどこの忠犬だ!と笑いそうになった。
そうして同時に、花々里のことが心底可愛くてたまらないと思ったんだ。
あの食いしん坊の花々里が、俺相手にそんなことを思うようになってくれたとか。
――ねえ、花々里。少しは脈があると思っても構わないのかな?
この調子で、とびきり花々里を甘やかして、もっともっと俺になついてもらわねばね、と思ったんだが……そのあと連れて行った食堂で、何故か花々里は紅茶しか頼んでくれなくて。
先に昼飯を食べてしまったことをそんなに気にしているんだろうか?と本気で心配した俺だったけど、まさか鳥飼に餌付けされていたからだとか、誰が想像出来ただろう?
全く鳥飼という男は、やっぱり油断ならないね。
アイツ、見た目はチャラチャラしている軟派な男に見えるけれど、その実、中身は結構男気があって、オマケに面倒見がいいときている。
2つ年の離れた妹がいるからだと本人は言うが、だとしたら長男気質というやつは、案外厄介なものだと思わざるを得ない。
ひとりっ子の俺なんかよりよっぽど気がきくってところが、本当にいただけないじゃないか。
鳥飼の携帯から花々里を名乗るメッセージが届いたとき、俺は何かの間違いだろうか?と思ったんだ。
でも、半信半疑でロビーに出向いてみたら、メッセージの内容そのままにあの子がそこにいて。
本当は大学はどうしたんだい?とか、何故鳥飼と?とか……言いたいことは山ほどあったんだ。
けれど花々里の顔を見た途端、全てがどうでもいいことのように吹き飛んでしまった。
そのぐらい、花々里がわざわざ俺に会いに来てくれたこと、また何時間も待ち続けてくれていたことがグッと心に響いて。
一切合切を不問にふして、俺は思わず「昼は食べたかい?」と問い掛けていた。
俺にとっては昼食の時間が14時を過ぎたりなんてことはざらだけれど、食いしん坊な花々里をそれに付き合わせてしまったかもと思ったら、にわかに不安になったんだ。
だけど幸いあの子の優秀なお腹の虫は宿主にそんな我慢をさせなかったらしい。
花々里がフルフルと首を横に振りながら、昼食は先に済ませたと言った時、俺は心底ホッとしたんだ。
なのに当の花々里は何故かそのことをすごく申し訳なく思っているようで。
別に気にする必要なんてないと言おうとしたら、「マテができませんでした」とか続けてくるから、思わずどこの忠犬だ!と笑いそうになった。
そうして同時に、花々里のことが心底可愛くてたまらないと思ったんだ。
あの食いしん坊の花々里が、俺相手にそんなことを思うようになってくれたとか。
――ねえ、花々里。少しは脈があると思っても構わないのかな?
この調子で、とびきり花々里を甘やかして、もっともっと俺になついてもらわねばね、と思ったんだが……そのあと連れて行った食堂で、何故か花々里は紅茶しか頼んでくれなくて。
先に昼飯を食べてしまったことをそんなに気にしているんだろうか?と本気で心配した俺だったけど、まさか鳥飼に餌付けされていたからだとか、誰が想像出来ただろう?
全く鳥飼という男は、やっぱり油断ならないね。
アイツ、見た目はチャラチャラしている軟派な男に見えるけれど、その実、中身は結構男気があって、オマケに面倒見がいいときている。
2つ年の離れた妹がいるからだと本人は言うが、だとしたら長男気質というやつは、案外厄介なものだと思わざるを得ない。
ひとりっ子の俺なんかよりよっぽど気がきくってところが、本当にいただけないじゃないか。
1
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる