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お兄ちゃん気質のあの人
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「?」
汚れるからダメ、とか渋い顔をされるなら分かるけれど、笑われるのは意味分かんない。
そう思ってキョトンとした私に、「いや、前に御神本先輩が言ってた通りだなと思ってさ」とか。
ちょっと待って、頼綱、何言ったの⁉︎
「別に食ってくれて構わねぇよ。――あと、一応断っとくけど助手席に乗ったからって俺、あんたのことどうこうしようとは思わねぇからな?」
ソワソワしながら後部シートに腰掛けた私に、「さすがにそこまで俺も飢えてねぇわ」って鳥飼さんが吐息を落として。
「飢えてない」のワードだけやけに耳に残った私は、「いま鳥飼さんが腹ペコじゃなくて本当によかったです!」って微笑んだ。
お腹いっぱいだからシュークリームくれたんですもんね?
ニコニコした私に、鳥飼さんが瞳を見開く。
私はそんな彼を見上げながら、さっき思ったことを口にした。
「……助手席は彼女さん専用シートってイメージなので後ろがいいんです」
助手席に座ったらどうこうされるとかは全然思ってなかったですけど……確かに真横で美味しそうなもの食べてたら、「やっぱ俺にも一口頂戴?」になる可能性ありますもんね。さすが鳥飼さん。先見の明ってやつですね!と心の中で付け加える。
あ、でも鳥飼さんは「どうこうするつもりはない」っておっしゃってましたね。
とすると、何て意思の強い人だろう。すごいなって改めて思って。
そんな素敵な人に迷惑をかけたら絶対ダメだ。
「前は私めには恐れ多いですから」
そこでふと頼綱と初めて出会った時、レクサスの助手席に無理矢理押し込まれたことを思い出した。
あの時も「いいの⁉︎」ってソワソワしたけれど、まぁ頼綱は出会ってすぐ、酔狂にも私を娶りたいとか言ってきた物好きだから。
でもこの人は違う。だから、ダメ。
自嘲気味に言いながら、手の中のシュークリームに視線を落とした私は、それでもやっぱり鳥飼さんの気が変わらないうちに食べちゃわないと!と、流れるように「いただきますっ!」と告げて戦利品の封を開けた。
と、今まで黙り込んでいた鳥飼さんにブハッと吹き出されて。
「気遣ってもらっといて申し訳ねぇんだけど。俺、今、特定の相手いねぇから」
助手席、乗せるとしても妹か幼なじみくらいだよ、と付け加えられて。
ああ、この人には妹さんがいるからこんなに世話焼きさんなのね?と、合点がいった。
そう言えばさっきもなんか、妹がどうとか言ってたような気がしなくもない。
汚れるからダメ、とか渋い顔をされるなら分かるけれど、笑われるのは意味分かんない。
そう思ってキョトンとした私に、「いや、前に御神本先輩が言ってた通りだなと思ってさ」とか。
ちょっと待って、頼綱、何言ったの⁉︎
「別に食ってくれて構わねぇよ。――あと、一応断っとくけど助手席に乗ったからって俺、あんたのことどうこうしようとは思わねぇからな?」
ソワソワしながら後部シートに腰掛けた私に、「さすがにそこまで俺も飢えてねぇわ」って鳥飼さんが吐息を落として。
「飢えてない」のワードだけやけに耳に残った私は、「いま鳥飼さんが腹ペコじゃなくて本当によかったです!」って微笑んだ。
お腹いっぱいだからシュークリームくれたんですもんね?
ニコニコした私に、鳥飼さんが瞳を見開く。
私はそんな彼を見上げながら、さっき思ったことを口にした。
「……助手席は彼女さん専用シートってイメージなので後ろがいいんです」
助手席に座ったらどうこうされるとかは全然思ってなかったですけど……確かに真横で美味しそうなもの食べてたら、「やっぱ俺にも一口頂戴?」になる可能性ありますもんね。さすが鳥飼さん。先見の明ってやつですね!と心の中で付け加える。
あ、でも鳥飼さんは「どうこうするつもりはない」っておっしゃってましたね。
とすると、何て意思の強い人だろう。すごいなって改めて思って。
そんな素敵な人に迷惑をかけたら絶対ダメだ。
「前は私めには恐れ多いですから」
そこでふと頼綱と初めて出会った時、レクサスの助手席に無理矢理押し込まれたことを思い出した。
あの時も「いいの⁉︎」ってソワソワしたけれど、まぁ頼綱は出会ってすぐ、酔狂にも私を娶りたいとか言ってきた物好きだから。
でもこの人は違う。だから、ダメ。
自嘲気味に言いながら、手の中のシュークリームに視線を落とした私は、それでもやっぱり鳥飼さんの気が変わらないうちに食べちゃわないと!と、流れるように「いただきますっ!」と告げて戦利品の封を開けた。
と、今まで黙り込んでいた鳥飼さんにブハッと吹き出されて。
「気遣ってもらっといて申し訳ねぇんだけど。俺、今、特定の相手いねぇから」
助手席、乗せるとしても妹か幼なじみくらいだよ、と付け加えられて。
ああ、この人には妹さんがいるからこんなに世話焼きさんなのね?と、合点がいった。
そう言えばさっきもなんか、妹がどうとか言ってたような気がしなくもない。
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